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僕のとなりは!?(僕とな!?)

峠のシェルパ

第二章冒頭八話「マスター」

 「うーん、涼くんは色々と思うところは有るんだね?」
レイピアを一通りからかった後でこの部屋に新学期以降彼女がこの部屋に滞在するかについての僕らにとっては珍しく真面目な話合いになった。

「想うところもそうだけれど考えてもみてよ
一つ屋根の下に若い男女がいるんだよ? こう間違った方向に進まないか心配なんだけど…」

思いきって僕の意見を吐露してみるとレイピアは話を飲み込んだ様で「フムフム」と頷く
「でもなー行く宛が無いわけでもないけど他の寮も一杯だろうしそこにまたもや厄介になるわけにもいかないの、
マリアから聞いてるとは思うけど私家出少女だからさ…」

なら尚更一番穏便にすむのは家に戻ることなのではとも考えたけど、今のところ僕は彼女の語ってくれたことはあのやり取りからも真実であると思いたい。
わざわざリスキーな真似をして実家ではなくヒモ生活を求める子だとは思えないし…。
「…聞いても良いかな?」「私が答えたいと思えることなら何でもどうぞ?」
結構な確率でそれ博打なんじゃ…。
とは思ったのだが答えてくれなくともレイピアさ顔に出やすいから推測の余地はあるが
彼女の口から答えを聞かなくてはと思い
僕は思いきって聞いてみた。
「……言いたくなかったら言わなくていいからね?」「うん」
「なんで家出してこの小谷荘に来たの?
答えたくないなら答えなくても良いんだ、僕だって隠しておかなきゃいけないこととか人に言いたくないいわゆるプライベートなことってあるからね、無理強い何てしないよ?
でも、家出少女を保護するんだから僕はその監督をする責務があるからね!」

ウソっぱちだ本当は興味本意のくせして
頭のなかでチクリと何時もの自己嫌悪が芽を出す、
知ったところで僕に解決案なんて提示できないのは良くわかっている、直接解決するのはレイピア自身で僕は精々手助けが出来れば良いところだ、
もしかしたら足を引っ張ってしまう事になるかもしれないし、僕がレイピアの事情を知ることで家庭内のいざこざに巻き込まれてしまう危険性もある、
危ない橋は叩いて渡れというが目の前少女は危ない橋かどうか
確かめている自身が情けなく感じた。

「うーんとねぇ~あんまりはっきりしたことはまだ言いたくない私の気持ちは汲んでくれると嬉しいなって思うけど
簡単に言っちゃうと家がものすごーくつまんなくて、つまんなくて、つまんなくて、つまんなくて…」
レイピアは自分の言葉を何度も、何度も噛み締めるように繰り返して小さく息を吐くと
「それにとっても家がもの冷たかったから…かな?
冬に暖房器具が無くって寒いなーってことじゃぁないんだよ?」
何かを諦めてしまったかのような悲しげと言うには言葉が足りない脆く壊れてしまいそうな笑顔を浮かべたのだ。
「ねぇレイピア…」 
「ご、ごめんね? 訳分かんないよね
もう、何言ってるんだろうなぁわたし!
初対面の同級生にしかもこれから暮らすなんて考えてるのに
こんなの涼くんにしてみたら急に何言ってるんだって話だよ!?
でも今日なんか舞い上がっちゃってるんだ私!
色々とはじめてなことが起きちゃって
幻滅だよね! こんな女の子!」

あー駄目だ、こんな子放っておける心厳しき鉄の意思を持った野郎がいるなら教えてくれよもう…。
この部屋に転がり込む打算の上、僕を懐柔するために虚言言ってるのかなんてどうでも良いですよ
僕は騙されるだけのお人好しでいい、もしこれで家財道具なりを盗まれたり売られてたりしたらマリアさんに請求書送りつけてやるんだからな!

「はぁ…ずるいなぁレイピアは、そんな顔をされちゃったら…
僕は君を笑顔にさせたくなっちゃうじゃないか」
もう僕のなかで上手い切り返し方やら元々得意じゃない打算と計算が出来ない位には頭のなかは複雑怪奇と化している、
ならばもう既にぶれてしまった僕のキャラなんて捨てておけ
こんなのをなんていうのかって? 高校デビューだ。

「平気だってレイピア、まだ学校は始まってすらいないんだ
同居人と事情を説明されただけでこんな子は嫌いだなんて急には考えないしそれに……
君が家出したことを僕は責めるつもりは無いよ?」

親や保護者に迷惑をかけているのは確だけど悪いがレイピアに同情の念は浮かぶけれど正直に言って彼女の親にはなんにも言えないな

「ほんと?」
どうにも少しだけ疑われている様子だがここで選択を誤るとまずい事は間違いない。

直感とか今までの勘が働いているんじゃないかという位にレイピアの言葉は単純に重みがあった。
きっと彼女ら自分を無条件に先ずは肯定してくれる人を探している、

「温かく見守ってくれる人」

僕には少なくても出来そうに無いと思えてしまう、なんとも情けない話だけどこんなただの高校生に成り立ての奴に一体何が出来るのだろうか

「僕は単なる第三者だからね、レイピアの味方にはなれても
問題自体の解決は多分出来ないよ。」
なんと中途半端な答えだろう、もっとはっきり言ってやれば良いんだ。
「僕は君の味方だから安心していいよ」と僕の真意は偽善者らしく言っているのにその真意が表に出てくることは人間案外と少ない、本音だけで生活なんてしていたら人間関係なんて滅茶苦茶になってしまう
からだけれど建前だらけで一向に本音を出さない人がいるとしたらそれは多分僕だろうな…

「うんうん、問題なんてこれっぽっちもないよ?」「いやいやだって」
「それ以上言うんだったら私初対面の人でも怒るよ? 分かってる?」「分かんないよ、そこまで自分の家を嫌ってるのに何で……」

自分の家を悪く言わないのかが僕には疑問だがそれにレイピアは
「色々と込み入ったじじょーがあるのですよ
まだ涼くんはそれを知らない、なら先入観で物事を判断しちゃうのはいけないことだよ」
と答えて深く息を吐くのをこちらは反論も賛同もせずにただじっとしていた
レイピアの諭すかのような言い方に僕はいつの間にか自分が嫌っているものを思い出したのである
「嫌っているもの」
それは無知な自分と物事の判断のつかない自分
どうにも僕は自分を好きになれそうにない
何処から来たのか減点主義に走りがちでずっと損ばかりしている
後個人的に嫌いなものは五月蝿いと賑やかを混同して騒ぎ立てる人
なんて自分のネガティブキャンペーンしたって現状は一歩も進まない、取り敢えずはレイピアとの話に戻ろう。

「過ぎた話とか自分の話とかそればっかりやってもただただ有限な時間は流れていってしまう……
なら有効に活用してこそだよね!(oゝД・)b!」

「有効にかぁ、money is time(お金は時間を生む)だ!」
暗い話題の後だからと二人とも空元気が混ざっているがそこはご愛敬と言うことでほら、可愛いでしょ?
空元気が噛み合わなくなる前に現実的な話とかごちゃ混ぜにしていくことにしよう
「涼くん!この寮室の床面積約3分の一を私に貸してください! 大丈夫! 最後まで面倒は私が見るから!」

次に切り出す話は現実的な話になると思ったらド直球投げてきた!?
しかもその捨て犬を拾ってきて親に飼って良いか直談判するときみたいな台詞!?
僕は犬じゃないし貸すのは部屋の面積だけじゃないよ?

「いや……その…貸すのは別に構わないんだけど
ほら、一ヶ月で幾らとかその手の問題が出てくるから
後マリアさんに聞いてると思うけどここ家賃とか発生するけど…」
恐らく稼ぎのないレイピアにとってはこの話題は耳が痛いだろうと思って言ったのだが
「ふふーん、涼くん一手二手先を行くのは策士として当たり前だけれど甘かった様だね!
もう私はここの家賃の三分の一の三ヶ月分は既に払っているのだよ!」 「な、なにぃー!?」

この手は読まれていたとでも言うのか!?
しかも支払い済みとなれば変に難癖を付けて追い出そうとするとかえってこの寮内では印象が悪くなる…!
幼くて可愛らしい性格をしているから油断していたけどこれはなんとも…とんだ女の子に捕まってしまったぞこれは…!?

苦い顔をしている僕とは対称的になんとも勝ち誇った余裕を見せるレイピアだがしかし何か策は無いのか…!
この寮室をレイピアから奪還する策は!?

「ねぇ涼くん、質問しても良いかな?」
レイピアに少しでも情報を引き出してボロを出すのを待つか
自分で方策が思いつかないのなら入念に相手の隙をつく準備をしなければ…

「涼くんは私の都合が悪いから止めておこうっていってるけど正直な話…これはねぶっちゃけた話なんだけど…
私と…コホン、女の子と生活するの嫌なの?」

頬を赤らめて女の子にさせる質問でもないし、まさかそんなことを聞かれるなんて思ってもみないよ!
質問の意図を理解するまで数秒を要した。
「え、あーうんと…その……」
答えに困る事をレイピアからしてこようとは思ってもみなかった……
レイピア、恐ろしい子!

「そんなことは…ないです、はい……。」
思春期の男のプライベートが女の子に覗かれる事を抜きにすれば
こんな子が…こんな可愛らしい子が自分のそばにいてくれるというのはなんとも…なんともだ。
僕の男一人ののんびりライフは当初の方向からななめ45°傾きの違う事にどうやらなりそうである
と先に言っておこう、いや待てまだ時間は残されている…

「これは提案なんだけれど…」
僕はそう言うと首を傾げるレイピアへある条件を付けた、
学校生活が定着化していない今だからこそ出来る奥の手
時間稼ぎにしかならないとしてもこれは必要なことだろう
「ほうほう成る程考えたねぇ涼くん
確かにそれなら心変わりをさせようとするならうってつけだね!
でも…涼くんにとっても有利に働くのならまた逆もしかりってことをお忘れなくだよ!
別に涼くんを色んな意味でおとしてしまっても構わんのだろう!?」
明るく意気込むのは良いんだけど…その台詞を使った人色々な目に遭ってるのと意味深長で僕みたいな男の子をどぎまぎさせる言い回しは出来れば止めていただきたい…

「そーだね!ゴタゴタしてたのも一件落着というか休戦協定が結ばれたからちょっとマスターのとこに行こっか!
おやつを食べに行こーーおー!」

マスター?
マスターって主人?
え? レイピアは確かに犬に似てるなーとは思うけども…まさか…

あらぬ妄想が残念ながら止まらない北村少年なのでした…。


 次回へ続く…

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