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僕のとなりは!?(僕とな!?)

峠のシェルパ

レイピアその二

薄暗く本来であるならば無人であるはずの場所から僕に向けて少女の声がした。
何を言っているかは耳に意識を向けないとわからないけれど…ごめんもう一回…れ…い…ぴ…あ…?レイピアって諸刃の剣のこと…だっけ?
なんでまたそんな名前を…日本語の名前じゃなくいけど部屋の前で会った微風といい…
そっかここの寮生とかマリアさんに感化されたんだろうと予想をしながら僕は歩みを止めることなく自室に侵入する、
未知のものに対する僕ら人間のとる行動は興味と恐怖のどちらかが勝ったかにもよるんだけど今の僕は恐怖より興味が多くの割合を占めているので先程レイピアと名乗った恐らく少女に僕は近づくことを選択した。
少しずつ、少しずつ人の気配のする方に…幽霊とかそんなのは僕は信じないしそれにこの声の正体があの女の子ってこと分かってるからね。

「んー? 臆して足が動かないのかな?
それもむりはないよね!本当だったら誰もいないはずの寮室から可憐な女の子の声がしたら怖いよねー!!」

相手は僕が怖がっているのを前提に話をしているようだけれど残念ながら白鳥の水面下を見ちゃっているからあんまり怖くは無いんだよね…ばちゃばちゃってこう足を必死に動かす様というか…
あ、言うなれば幽霊の正体みたり枯れ尾花と言うのが一番的を得ているかもしれないね?

幽霊の正体みたり謎少女が合ってるんだろうけど何故僕の部屋になんで女の子がいるのだろうか、もしかしてこの学校は寮室は男女共用…そんな訳無いって男女平等を先駆けすぎるでしょそれ
まさか…女の子の体つきで男の子の精神を宿していたりとか…?

いや待て北村涼、この部屋は男一人用の部屋だったはず…
男子学生のシェアハウスみたいな形態も有ったのをわざわざ断ったんだからその可能性は余程の事が無いと…?
いやいや、そんなことよりも僕は一先ず先客かつ僕の部屋で我が物顔の不届きものを成敗・討伐・打ち首…はやりすぎにしても少し僕の意趣返しにあってもらおうかな…?
僕は依然としてうろ覚えの間取り図を頭のなかで浮かべてキッチンまで行くと少し意地悪な事を考え付いた。
キッチンまでのドアは特に閉じている様子は無くてレイピアなる少女は恐らくリビング付近でこちらを待ち構えている…さて僕のとるべき行動を考えた時にあちらが驚かそうとしてくるのであれば此方も対抗してしまえば良いのではないか?とね…
特段こんなことに労力を惜しまなくても良いのは分かってはいる「残酷なお人好し」と呼ばれた北村涼こと僕は薄い笑みを溢して
暗がりにて機会を待った。
「…あ、あれれ?さっきまでがさごそしてたのにな…?」
無言と無音が続いて約二分ほど経った頃に相手方が痺れを切らしたのかどうやら姿を現した様子…よしよしこれは良い機会だ、暗いところへいきなり入っては目が慣れないばっかりだったけれどこれなら行けるかもしれない!
つまりは意趣返しをして逆どっきりみたく驚かしに来る彼女を
驚かしてやるのだ。

「もしもーし?玄関の前とかでたむろしてるのかな?
でもなートイレとお風呂のチェックを先に済ませようなんてそんな女の子みたいな男の人っているのかな?
…まさかのおかま!?」

論理の飛躍が甚だしいけどこの子…北村涼くんはれっきとした男の子ですので皆さん勘違いなんて起こさないでね?
にしても独り言にしては声大きいなぁ…いや、人の事を言えないのはわかっているけども!作戦は以下の通りだよ。

1 僕は今キッチンにいます

2 レイピアなる少女が僕の存在を確かめにこっちに来ます

3 背中でもトンと叩いたり手を叩いたりして驚かせます

4 驚かせたところで僕が今触れている恐らく電灯のスイッチをつけてフィニッシュ!!  正体を明かしてあの子に驚いてもらう

と僕の頭脳から導き出された完璧な計算によって驚いてもらおうかな!

ここからは心理戦だ、良くも悪くも大胆な慎重さが大事になってくるとなると大胆な慎重さって意味被っちやってるな訂正しなくちゃ、その場に合わせて臨機応変に事に対処することが大事だね。
臨機応変ってよく言うけどそれってもう大体の人言うこと聞かずに勝手にやるよね、映画とかだとさらにそれが惨事を産んでしまったり…
よしよし、上手く人の気配をよんで研ぎ澄まされし僕の第六感的部分でタイミングを図るのだ!
自らの気配を消しつつ相手側の気配を読むだなんてながら僕は忍者かなにかだね無音のなかに音が生まれるのをじっと僕は待つ…

「気のせいだったのかなぁ?」
こっちに来てるな…よしよしさっきより声が近くになってきた気がするよ
少女を暗がりで待ち構えるって字面にするととんでもないよね
…よしよしやめてください通報はしないで下さい僕は犯罪なんて犯さない唯識故実な人だから善悪の判断位はきっちりしてるよ!
うん…足音はあんまりしないけど人の気配って案外そこにいるんじゃないかっていう考えさえ持てば分かるものだね

「うーん、止めた! 電気つけてちゃんと準備しよう! さっきのはきっとあれだよ!座敷わらし!」
偶然の一致なのかさっきの僕と同じことを言っているけれどたぶんあの子本気で言っているんだろうななんて口調から予想をしてみる。この感じは多分もう近くまで来てるね…大きく息を吸って…吐いて…照明点灯! 心のなかで音頭をとってボタンを思いきって押してみる、これで明かりがついて僕の姿を見たレイピア?は腰を抜かしてしまうに違いない! 違いな…あれ? 照明がつかない?

「給湯45℃デ承リマシタ!!カシコマリィ!」

とやけにテンションの高い機械音が暗闇の中で木霊する

これ違ったーー!
給湯器のボタンだったー!
さっきのが給湯器だったとするとじゃあどこにあるのさ部屋の明かりは!
内心の焦りがそのまま現れてしまって次にとるべき行動が分からずにあたふたしている僕に対して暗闇に目を凝らす少女は
給湯器の音から相手がキッチンにいることを認識し部屋の間取りを勘で思い出しながら明かりのスイッチを探すことだろう。
これはまずい、これでは此方が盗人みたいじゃないか。
僕はこの部屋の大家…ではないけれど一応でもなくてちゃんとした寮室の住人なのだからとは思っていても状況的にはこれ何処かに逃げ出したいよこれは…
「いや待て…逃げようこれ」
ワレ奇襲二失敗セリ!!ワレ奇襲二失敗セリ!!
出直してきちんと謎の住人レイピアさんにきちんとエンカウントしよう、これはなんとも僕があれすぎる!
そうだよ、鍵も場所も分かっているのだから心配いらないし後で廊下の荷物を取りに来ればいいじゃないか。
その場合だけどまたもや管理人室のマリアさんに付き合ってもらわねばならないな…
かくしてマリアさんの三回目の登場が決まった訳だけど部屋の番号も読めないかわいそうな子みたいに思われないかな…?
分かりにくい例えですいませんと僕が言ってるので許してください、
僅かに意識を思考に傾けてから戻ってくると何だか明るくなって…

「明るくなっている?」

 フッと一気に警戒感と自意識が飛び立った脳裏から戻ると目の前には…
コミックに良く描かれハロウィン等のイメージ画像にぴったりな白い塊につぶらな瞳が描かれていたのだ。

ついつい不意を突かれると人間と言うものはいつもの状態とは想像のつかない声を出してしまうことがあるよね?ヨーロッパの妖怪にバンジーっていう人が聞くと死んでしまうような高い声を
今回の僕がまさにそれだった。 

悲鳴より金切り声に近いおおよそ善良なご近所様(特に微風とか)が怒鳴り込んでは来ないまでも後で何事かと質問をして来てもおかしくない程度に大声だった…
反省は大いにするけれど恥ずかしさの方が先行しそう…改めて何やってるんだよ僕って感じがすごい…

白い「なにか」の方も驚かすつもりはなかったのだろうがここまで声をあげられたことに驚いて「ぴぃ!?」なんて驚きなのか悲鳴なのかもわからない声を小さくあげて
お化けならば退治された時の様に駆け足で何処かへ退散していって、後には呼吸を乱した15の少年が自らがこれから生活する部屋のなかで呆然と暫く立っていた…。

まぁ、それが僕なんだけどさ…
まさか僕の喉から断末魔的な声が聞けるとは思わなかったよホントに
「これどうしよっかな…」
さっきまで僕の真正面まで近づいてきていた白い塊ことレイピアという少女を今度は此方が探す側になったわけだが…。

第一印象としてお互いに変な方向にふりきれてるよ
この後をどうやって修復リスタート出来る地点まで持っていくかが問題だな。
なんて考えながら辺りを見回すと
明るくなったのはあくまでキッチンだけで窓の位置がぼんやりと光が指しているくらい、
あの子は多分近くにいるんだろうからこれ以上お互いに驚かさない方向で行こう。

「あ、あのーー。」
暗闇に向かて声を発して先ずは交渉のテーブルへ相手を誘うことからはじめよう、ここでのポイントはあくまで下手に出ること、そうでなくては相手は此方を警戒したまま寝床から引っぱり出すことすら出来はしないからね。
返答がないのは予測の範囲内さてここからが問題だ、果たして何という言うのが正解なのだろうか

1 僕は君に会いに来た!! これからルームメイトとしてよろしく頼む!! なぁにあやしいものなんかじゃないさ☆

2 すいませーん、ここの部屋は僕の借りてる部屋なんですけどー

思いついた選択肢の酷さったら無いね、僕の発想能力の無さが見て取れるよ…
交渉とか向いてないなぁ、これは困ったななにか考えつかないと最悪の場合はキッチンの灯りを頼りに無理やりレイピアなる少女をを発見・保護・監禁っと最後のは無しで監禁なんてそんな話術も計画も出来るほどの頭は持ち合わせていないし、二人が食べていけるだけの仕送りとかも実家からもらえないだろう。
人の自由を束縛してあまつさえ逃げられないようにするとか…
そんなことする人いるのか、恐ろしいな

 明かりをつけて突貫というにも今度こそ反撃とか悲鳴とか上げれれたら近所さんが駆けつけそうだしマリアさんの登場は暫く後でいい
よって選択肢の外にある選択肢を使用させてもらうとしよう!!

「僕は空き巣とかこそ泥じゃないから安心して?
さっきは驚かせてごめんね?」

ほら完璧な回答だよ!過ちは謝るためにあるからこれでいい
 僕は悪くないし変な人じゃないことをそれとなくアピール出来たからこれで彼女も一安心してくれるはずさ!
僕はキッチンから未知の領域に足を下手に踏み入れようとはせず
ゆっくり辺りを見渡す、大分目が暗いところへ慣れてきたのか
大まかな家具の輪郭は掴めるようになっていたが
暗闇から返信は暫く無く怖さから絞り出したかのように

「て、てもいくらビックリしたからってあんな声を普通の人はしないと思う…し、
空き巣とかじゃないって言うのならあれでしょ、私のストーカーとか!? こんな女の子追いかけて恥ずかしくないのかな?
変質者なんてまぁやだ! 早くマリアにずったずたにされちゃえば良いんだ!」

\おめでとう!涼くんは空き巣から変質者に進化した!/
待って、具体的に待って
これ以上マリアさんの出番とか増やさなくていいから
それにその進化の過程は違うと思うんだ、ダーウィンだって海月が進化して蛸になったなんて…あれ? 合ってる?
と、とにかく! 僕は君の言うような空き巣とかでも変質者でもないので!!

「うーん、一先ず落ち着こう?そうすれば色々見えてくるものもあるって! 一回深呼吸をしようか?」
こっちが感情的になってしまっては事態は悪化の一途を辿るので出来るだけ考えをまとめてから話をするとしよう。

「深呼吸なんてしてリラックスなんてしたらその隙に忍び寄られてアウトだよ!」
何がアウトなの? と試しに聞いてみると「色々だよ!色々!」
と言葉を濁され互いにそれきり押し黙ってしまった。

ここで諦めて一度仕切り直すのも手だけれどそれはそれで面倒だ。
下策ではあるけど強行突破しか手ら無さそうだな…
話を彼女としているときはもうすでにその腹積もりではあったけど…
そんなの関係ないさっさと決めてしまおう、
そこで一番近くにある電灯のスイッチをつけてまだ見ぬレイピアを宥めて事情を説明して丸め込み…もとい宥めることにしよう

少し前と同じようにそろりそろりと移動をして行く壁づたいに歩いていけば何処かしらで電灯のスイッチを確認できるはずだから
さしずめ見えないけれどそこに光明があると言ったところだろう指先に神経を集中して壁の感覚と少しでも違った場所を探す

一応またあの子とぶつかったりしないように暗闇にも手を伸ばす
本当、初日からいったい僕は何をしているんだろうか…

とそこに右手と左手両方に感あり!
壁につけてる左手の感触ではどうやら当たりのようで少しでも力を入れればこの闇からは解放され無事に文明の明かりが灯ることであろう、やったぜ

問題意識を向けたくないのだけれども前方に向けていた右手には何かの障害物が無事に感知された。
感知してぶつかる前に確認できたのはいいんだけど
これなんだろうか…
材質では判断はしづらいし、固い座椅子とかの木の感じじゃない
どちらかと言えば柔らかそうなものだけど…ソファかな?
何にしても例えなんだったとしても明かりを点けてしまえばはっきりする。 

蛍光灯が待ってましたとばかりに僕の視界を真っ白な眩しい世界につれて行く、
そのお陰で少しの間目が慣れるまで蛍光灯の残滓と視界の奪い合いになった。

何となくね、右手の触っているものの正体はね分かっているのだけれどほら、確かめないと分からないし思わず現実から目をそらしたくなることってあるよね?

「………。」

「………。」

明かりに照らされたのは約二分前に目の前にいた白い塊だった。
あ、冷静になって考えればシーツを二・三枚被ってたのか
なんだなんだ話は単純明快なことだよ…

いつのまにやらまだ見ぬレイピア嬢は冷静になって再び僕にコンタクトを取りに来た最中だったようで今度はお互いに状況を把握して理解するまでの沈黙を保つ事が出来たようだ。

レイピア(白い塊)は一度コクッと頷くと部屋の奥に黙って進んで行く、間取り図からも予想はできたけれどやっぱり広いなここ!
手前にはもはや引っくり返したり投げたりなんてやる人どころか自身も絶滅危惧種のちゃぶ台がちょこんと座り、その奥には小さめのテレビ台と薄型テレビがこちらもこじんまりとあって
なんだか可愛らしい、
和室は…え?入るなって?そーなの?

一先ずちゃぶ台を囲もう、第一回203号室会議をしよう、
お互いに知り得ている情報を開示できれば事態は少しでも先に進むだろうし、何時までもお互いのキャラ付けがシーツお化けに男のバンシーという訳にもいかないだろうから…。

以下、バンシーvsシーツのおばけに続かない!


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