奴隷でもチートを目指す

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25話 二つ名

「ええと、俺達が直属奴隷? それに俺がリーダー? どういう事だ?」

 直属奴隷はまだしもリーダーって、俺にリーダーの素質は無いぞ。

「どういう事だって、そのまんまの意味だ。お前らは俺の直属奴隷で、ケンがリーダー。それだけだ」

「えぇ、リーダーとかやだな」

「そこかよ!?」

 カズラルからツッコミが有ったけど気にしない。リーダーとかめんどくさいよ。

「いいか? 俺は奴隷命令を使っちゃいない。お前らに頼んでるんだ。俺の直属奴隷になってはくれないか?」

 やだなー、だって俺がリーダーでしょ? やだなー。

「……具体的に何をするんだ?」

「「うおぅ、喋った」」

 突然喋るからビックリした。

「普段は俺の側に居てくれればいい。飯も今より良いものにしてやる。待遇も良くしてやる。そのかわり、あらゆる不祥事に対応してもらう。それだけだ」

 ふむふむなるほど、なかなか良い条件だな。

「リーダーでやること追加されたりすんの?」

 リーダーとか全部任されるイメージしかない。

「安心しろ、他のやつらに限定した命令権をやるだけだ」

「よし受けた」

 命令できるとか最高じゃん。

「ケンがそうするなら俺も受けるぞ」

 おおガンダルフ、お前は同士だ。

「それだったら俺も受けて良いぜ」

「……受けよう」

「よし、決まったな? 《お前らは今日から俺の直属奴隷だ》《ケンに限定的な命令権を与える》」

「お、手の模様が変わったな」

 声がした方を見ると、カズラルが手の甲を見ていた。円が何重にも重なった模様になっているのが解る。まるでどこまでも続くトンネルみたいだ。

「模様が違うみたいだな」

 ガンダルフは、十字架の横線が強調された模様になっていた。横線をよく見ると黒い手のようになっているようにも見える。

「……」

 ライズは、ギョロリとした眼の模様になっていた。こわっ。

「俺のはどうなってんだ?」

 ええと、どうやら剣みたいだな。刃の部分を下に向けた模様になっている。

「お、ケンも十字架か?」

「十字架? ……あー、そうも見えるか」

  確かに縦線が強調された十字架に見えなくもない。

「《無限の深淵》《真実の眼》《拘束の十字架》《断罪の十字架》これがお前らに与える二つ名だ。今からお前らは、俺の直属奴隷だ」

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