奴隷でもチートを目指す

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22話 低頭脳の阿吽の呼吸

「黒き炎は万物を滅する。故に、浄火の炎なり。この世の不純を、跡形も無く浄化せよ《黒滅・浄》」

 奴隷王が唱えると、デブ男の残骸の周りに黒い炎が現れ、デブ男を跡形も無く焼き付くした。

「手間が省けたな」

「こんな時に呑気なこと言ってんじゃねーよ。みたか? ありゃ大魔法の黒滅シリーズだ。今の俺なら使えない事もないが、あんな風に片手間には使えない」

 なぜだ、純粋に思ったことを言っただけなのに。呑気とはなんだ。呑気とは。

「さてと、《俺に付いてこい》」

 奴隷王が歩き出すと、それに合わせて俺達も動き始める。

「あいつを殺しても奴隷のままなんだな」

「そりゃな。奴隷から抜け出したいんだったらあの奴隷王を殺せってことだ。俺には全く勝てる気がしねぇ」

 そんなに強いのか、黒滅シリーズとか言う魔法は。

「まあ仕方ないか。それにしてもどこに向かってるんだ?」

「俺に解るか」

 そうだよなぁ。

「ここの道を一番よく知ってるのはお前らじゃねぇのか?」

「おっと、意外な場所から返事が」

「声に出てるぞ」

「え、声に出てた?」

 そんなつもりは一切無かったのに。

「で、この道を一番知ってるのはお前らだろ?」

「あ、えーと」

 どこだここ?

「あー、よく見たら奴隷達の野営地までの道だな」

 おお、ガンダルフ頭良いね。

「はあ、なんでお前らはそんなに頭が悪いんだ?」

「「そんなの解るか」」

 あ、ハモった。

「お前ら、息ピッタリだな」

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