奴隷でもチートを目指す
4話 絶望の始まり ――2日前――
――2日前――
ガタガタと、俺が乗っている馬車が音をたてて揺れる。馬車の中には、俺以外にも10人近くのマッチョな男が乗っていた。マッチョ男達の両手の甲には、俺の手の甲に有るものと同じ魔方陣が描かれていた。
「なんか、実感ないなぁ」
俺の空気を読まない独り言に反応し、マッチョ男達が俺を睨んできた。こわっ。
『熟練度が一定に達しました。阿呆を修得しました』
今のは通達か。阿呆を修得って、馬鹿にしてんのか?
……そういえば通達って俺にしか聞こえないのかな? マッチョ男達は聞こえてないみたいだし。まぁいいか。
「はぁー、暇だなー」
「少し黙っててくれないか?」
「すまんすまん」
だから恐いよ。なんで睨むの? 思ったことを言っただけじゃん。
『熟練度が一定に達しました。恐れ知らずを修得しました』
通達は通達でなんなんだよ。一々俺を馬鹿にしないと気が済まないのか?
あー、それにしても実感が無い。勇者召喚された俺が奴隷だなんて。でもこの状況を見る限り本当っぽいんだよなぁ。このマッチョ男達はみんな奴隷らしい。で、この馬車は奴隷を輸送するための馬車。そんな馬車にマッチョ奴隷達と一緒に乗せられている俺も奴隷。あーあー、なんで奴隷なんだろ。
「おい、おめぇら。飯だ」
おっと、色々考えてる間に食事の時間らしい。馬車もいつの間にか止まっている。
盗賊風男は、俺を含む奴隷達全員の前にパンと灰皿のような容器を一つずつ置いて行った。
「清きせせらぎは潤い満ちて、形作るは無数の雫《清水多粒》。俺が食い終わったら出発するからな」
盗賊風男が魔法を唱えると、全ての容器にどこからともなく現れた水が注がれた。
今日の昼食はパン一つと水が容器一皿分だ。日本の食事に慣れている俺にとっては質素極まりないが、この世界の奴隷の食事としては破格だそうだ。それこそ、新米冒険者が野宿するときに滅多に食べれない程に。
それならまだいいのかな? 盗賊風男は奴隷主としてまだ良い方らしいし。そうは見えないけど。とりあえず食うか。
「なあお前。ずいぶんと弱そうだが、どうしてこの馬車なんだ? この馬車は強いやつしかいないと思ってたのに」
黙々とパンを齧っていると、マッチョ男の一人が話し掛けてきた。マッチョ1号と呼ぼう。それで、強いやつしかいないことは見てても分かる。だって俺以外マッチョしかいないもん。
「俺が勇者だからじゃないか?」
俺がそう言った瞬間、マッチョ男達は一斉に睨んできた。だからなんで睨むの?
『熟練度が一定に達しました。阿呆が蛮勇に進化しました』
「それは本当なのか? 勇者って、あの勇者か?」
「あの勇者はどの勇者か知らんけど、少なくとも俺は勇者召喚されてこの世界に来た。そして奴隷に成った」
あと通達うるさいぞ。
「ならなんで勇者が奴隷に成ったんだ?」
と、言われましても。
「俺にもよく解らん。気付いたら奴隷に成ってた。はぁー、この水美味いな」
盗賊風男が魔法で作ったとは思えない味だ。
「……そうか。なら――うわっ」
馬車が突然動き始め、マッチョ1号が飲もうとしていた水がマッチョ1号に掛かる。
ぷぷぷ、ざまぁ。
『熟練度が一定に達しました。嘲笑を修得しました』
なんだろう。通達に嗤われた気がする。
ガタガタと、俺が乗っている馬車が音をたてて揺れる。馬車の中には、俺以外にも10人近くのマッチョな男が乗っていた。マッチョ男達の両手の甲には、俺の手の甲に有るものと同じ魔方陣が描かれていた。
「なんか、実感ないなぁ」
俺の空気を読まない独り言に反応し、マッチョ男達が俺を睨んできた。こわっ。
『熟練度が一定に達しました。阿呆を修得しました』
今のは通達か。阿呆を修得って、馬鹿にしてんのか?
……そういえば通達って俺にしか聞こえないのかな? マッチョ男達は聞こえてないみたいだし。まぁいいか。
「はぁー、暇だなー」
「少し黙っててくれないか?」
「すまんすまん」
だから恐いよ。なんで睨むの? 思ったことを言っただけじゃん。
『熟練度が一定に達しました。恐れ知らずを修得しました』
通達は通達でなんなんだよ。一々俺を馬鹿にしないと気が済まないのか?
あー、それにしても実感が無い。勇者召喚された俺が奴隷だなんて。でもこの状況を見る限り本当っぽいんだよなぁ。このマッチョ男達はみんな奴隷らしい。で、この馬車は奴隷を輸送するための馬車。そんな馬車にマッチョ奴隷達と一緒に乗せられている俺も奴隷。あーあー、なんで奴隷なんだろ。
「おい、おめぇら。飯だ」
おっと、色々考えてる間に食事の時間らしい。馬車もいつの間にか止まっている。
盗賊風男は、俺を含む奴隷達全員の前にパンと灰皿のような容器を一つずつ置いて行った。
「清きせせらぎは潤い満ちて、形作るは無数の雫《清水多粒》。俺が食い終わったら出発するからな」
盗賊風男が魔法を唱えると、全ての容器にどこからともなく現れた水が注がれた。
今日の昼食はパン一つと水が容器一皿分だ。日本の食事に慣れている俺にとっては質素極まりないが、この世界の奴隷の食事としては破格だそうだ。それこそ、新米冒険者が野宿するときに滅多に食べれない程に。
それならまだいいのかな? 盗賊風男は奴隷主としてまだ良い方らしいし。そうは見えないけど。とりあえず食うか。
「なあお前。ずいぶんと弱そうだが、どうしてこの馬車なんだ? この馬車は強いやつしかいないと思ってたのに」
黙々とパンを齧っていると、マッチョ男の一人が話し掛けてきた。マッチョ1号と呼ぼう。それで、強いやつしかいないことは見てても分かる。だって俺以外マッチョしかいないもん。
「俺が勇者だからじゃないか?」
俺がそう言った瞬間、マッチョ男達は一斉に睨んできた。だからなんで睨むの?
『熟練度が一定に達しました。阿呆が蛮勇に進化しました』
「それは本当なのか? 勇者って、あの勇者か?」
「あの勇者はどの勇者か知らんけど、少なくとも俺は勇者召喚されてこの世界に来た。そして奴隷に成った」
あと通達うるさいぞ。
「ならなんで勇者が奴隷に成ったんだ?」
と、言われましても。
「俺にもよく解らん。気付いたら奴隷に成ってた。はぁー、この水美味いな」
盗賊風男が魔法で作ったとは思えない味だ。
「……そうか。なら――うわっ」
馬車が突然動き始め、マッチョ1号が飲もうとしていた水がマッチョ1号に掛かる。
ぷぷぷ、ざまぁ。
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