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穴の空いた靴下

36章 宴

 「ただいま」

 急に抱きしめられながらその声を聞いた瞬間、
 私の心が止まるかと思った。

 「おかえり……タカシ!」

 私は勢い良く振り返り、そして私の一番大事な人の名前を呼ぶ、
 夢にまで見た人に抱きつく

 「タカシ! タカシ! ほんとにタカシなのね!」

 「ああ、サオリ! ただいま! 逢いたかったよ!」

 「私も……、なんかタカシ痩せた?」

 「そうかも、向こうではトレーニング続けてたからね。」

 「アツアツだニャ。」

 「え?」

 聞いたことのない声がした。

 「誰?」

 「ああ、そうだ紹介するよ。もとウロボロスのウーニャだよ。」

 「サオリ様お久しぶりニャ。」

 部屋の明かりがついて目の前に一匹のネコが自己紹介をしていた。

 「かわいーーーーーー!!!」

 そういえばサオリはネコ派だったなぁ、とタカシはウーニャに頬ずりしているサオリを見つめる。
 そして、帰ってきたんだなと強く強く感じるのであった。



 「あーあ、せっかく私が頑張ってタカシを迎えに行こうと思ったのになぁー」

 「うん、すこし女神様から聞いた。ありがとう。」

 「なんかタカシ大人になったね。」

 まじまじと見つめられるとドキドキしちゃう。(タカシです)

 「結構、頑張ったからね、何年も。」

 「そうだよね、一人で、途中からはウーニャちゃんも手伝ってくれたんだね、
 ありがとね。」

 「ウーニャもマスターと一緒に頑張ったニャ! マスターのサオリ様への愛情がすごすぎて一度サオリ様の姿になった時は困ったニャ?」

 「ば、馬鹿!?その話は……」

 ゾクリ、久しぶりのこの悪寒、ご、ご褒美なんかじゃないよね……
 そーっと後ろを振り向くとそこには一人の修羅が立っていた。

 「ソ ノ ハ ナ シ ク ワ シ ク オ シ エ テ ネ」



 正座して説教される俺を救ってくれたのはヒマワリちゃんのDMだった。
 俺は帰還の報告と宴のためにみんなのところへ移動することになった、
 しびれた足を何度もサオリにつねられながら……


 

 「それではタカシ君の帰還と、俺達の竜神ダンジョン90階踏破を記念して……


 「「「「「「「「「「「「「「かんぱーーーい」」」」」」」」」」」」」」

 俺の帰還はヒマワリさんからの連絡でいろんな人に伝えられ、
 結果現在の大宴会に発展した。
 お祭り騒ぎが好きな人が多いので、別に俺の人徳とかではない。

 「前からチートだったけど更に酷いチート野郎になって帰ってきたね。」

 結構酷い言われようだ。

 「マスターはたった一人で戦い続けたニャ! 酷いニャ!」

 「冗談だよーくぁわいいなーお前は!!」

 ウーニャはさっきからいろんな人にからかわれて、可愛がられている。
 特にさっきサオリを超える爆なアレをお持ちな女性に可愛がられていた時にはそりゃーもう裏山けしからん状態だった。

 「最低なこと考えてたでしょ?」

 サオリの冷たい目線も感じられて俺は幸せだ!!

 「それにしても本当におかえり。大変だったろう。」

 香川さんは大人な対応で俺を労ってくれる、

 「で、早速だけど明日からは僕達と攻略に出ようじゃないか」

 違った。

 「あ、ずるいっすよ! おーいドラゴンファングが抜け駆けしてるぞー!」

 その結果、俺は各ギルドからの引き抜き構成でもみくちゃにされた、
 俺はサオリと一緒じゃないと嫌だといえば、

 「何言ってるんだサオリ嬢も今では超一流の攻略者、ぜひ二人共来てほしい!」

 と、火に油を注ぐ結果になってしまった……

 「ま、取り敢えず今日は騒ぎましょー!」

 調子よくそう言ってみんなにお酒を注いでくれたダイチさんに感謝。



 「だーかーらーねー、わたしはーがんばってタカシをー、こんどこそーたすけるつもりだったのにー、またタカシはーじぶんひとりでーかえってきちゃうしー、わたしのがんばーりはーなんなのよーってはなしなんですよー、ねぇきいてる!?」

 「はい、聞いてます。」

 「でもー、かえってきてくれてー、ほん、ほんとうに、う、うっ、うれしんだよー、えーーーーーん!!」

 誰ですかこの人にお酒飲ませたの。
 いまサオリさんは俺の膝の上に座って首の後に手を回してピッタリとその肢体をくっつけている。

 「あ、あのサオリさん、大変この格好は素敵なんですが少々恥ずかしいなんて思ったり、あとちょっと体の一部がその当たって」
 「当ててんのよ」
 「あ、ハイ」

 「サオリちゃんはそれだけ頑張ってたの、タカシを今度こそ私が助けるんだ!ってね。なのにあっさり帰ってきちゃうし、しかもその力、そりゃやけ酒にもなるよ! 仕方ないね! 諦めてサオリちゃんの抱き枕になっときなさい!」

 「タカシー、なんか胸板とかも凄いしー、腕とかも鍛えられてるしー、精悍になってるしー、かっこいいしー、もう大好き」

 「むごぉ」

 いきなり唇を奪われた。

 「「「「「「「キャー大胆!!(ニャ!)」」」」」」

 「あー、もう目の毒だから続きは家でやりなさい。」

 ダイチさん他男性陣に椅子ごと持ち上げられて、
 領地へのワープゾーンへぶん投げられた。

 俺は悪く無い!!



 

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