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穴の空いた靴下

31話 男の子だもの

 「マスター……想い過ぎなのにゃ……」

 目の前にサオリにそっくりな女の子が立っている。

 全裸で。恥ずかしそうに手で隠しているが、逆にとんでもない攻撃力だ。

 目をそらそうとしても理性の命令を身体が受け付けない……

 舐めるように全身を見てしまう、手で無理やり押さえつけれて、
 余計に強調してしまっている胸、まだ見ぬ未開の地……
 その時、身体に電撃が走る!

 「あっ……」

 俺はその子を押しのけ外のプールに飛び込んだ!!

 「ホアアアアアアアーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

 雄叫びを上げてプールから顔を出す、そこにはボー然としているサオリにそっくりのウーニャ、ウーニャなんだと思う子がこっちを見ている。

 「う、ウーニャなんだろ、どどどうしたんだらそのスガラは!」

 「何を言ってるのかもよくわからにゃいけど、朝起きたらこうなってたニャ、
 寝てる間もサオリ様のことマスターが考えているのは伝わってきたんニャけど、どうしたら良いか聞きに来たにゃ、そしたらいきなりマスターはプールに飛び込むし意味がわからないのニャ!」

 仕方ないだろ。僕だって健全な高校二年生の男なんだ。しかもこの地に残されてから人とふれあうことも殆ど無いんだ。エロ本なんて売ってないし動画もないし……そりゃ、仕方ないじゃないか。

 「と、とりあえず部屋にある何か着てよ、そのまんまじゃ目のやり場に困る。」

 その後、サイスの大きい男の子のTシャツを裸の女の子が着る。というむしろ攻撃力が増強された姿に再び電撃が走るのもしかたがないことであった。




 「なんとか、洋服は手に入れたけど、想いに応えるってこういう機能もあるのかよ・・・」

 目の前には白を基調としたワンピースにジーパンというスタイルのウーニャがいる。ブラの付け方なんて知らなかったけど試行錯誤してなんとか押し込んだニャって言ってた。
 久々に見るサオリっぽい姿は俺の胸をかきむしった。
 とある理由により冷静さを取り戻していたのでウーニャをほにゃららとかは、
 理性で抑えることが出来たけど、

 「この体だと思うように動けないニャ、マスター元の姿に戻るようにまた強く思ってほしいニャー」

 「え、やだよ」

 「え?」

 「え?」

 本音がするりと出てしまった。

 「って、、ていうのは冗談で。戦えないと困るもんな。」

 その姿で戦われたらきっとアレがこうなって俺の俺が俺になっちゃうから戦えない。それは間違いない。

 でも……惜しい、あまりに惜しい。

 背に腹は変えられないので、ウーニャはネコ、ウーニャはネコ、ウーニャはネコ、あー、ぎゅっとしたい、キスしたい、ウーニャはネコ……

 散々邪念が入って苦労はしたが、もとのネコの姿へ無事戻れました。
 僕の心の一番大事なところにあの姿は焼き付けておきます。
 サオリに対して罪悪感は凄いけど、罪悪感があるほど。。。

 (サイテー)

 久々のゾクゾクは最高のご褒美になりました。


 なんか、その日はせっかく決意は出来たものの、
 もうバトルモードには頭がならないので一日ゆっくりすることにした。
 これならあの姿のまま……って思ったりもしたけど、
 もしその時間を知ってしまったら、ウーニャと二人でこの世界でっていう選択肢に逃げてしまう気がする。ウーニャは大切な相棒だ。
 俺はウーニャと一緒にサオリと会いに行くんだ。
 そして、サオリと……

 いかんいかん、今日はどうにもシリアスに出来ない。

 とんだハプニングはあったけど、夜の食事の時にはっきりと自分の意志をウーニャに告げる。

 「俺はサオリと逢うために今まで生きてきた。それを諦めてここで暮らすぐらいなら、最後までサオリと逢うための挑戦を続けたい。その結果がどういうことになっても!」

 「わかったニャ、マスターが叶えたいことがウーニャの叶えたいことニャ!最大限の協力をするニャ!」


 俺は明日の塔攻略を無事に終わらせることを強く強く信じて眠りについた。

 邪念を払ってから。


 

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