みんな無課金俺課金(課金するとは言っていない)

穴の空いた靴下

22章 メンテ明けのパッチ情報

時計の針が9:00を示す

『おまたせしましたーーー!!とうとう変更の発表だよー!
みんなのDMに送っておいたから熟読しておいてね!!
いままで貯めに貯めていた構想を詰め込んだ渾身の仕様変更!
これでまたた~くさんこのゲームを楽しんで僕を楽しませてね!!
じゃ!僕のところに会いに来てくれることを楽しみにしてるよ!!』

絶対神様は物凄いハイテンションだった。
しばらくあっけにとられてた勇者たちも少しづつDMの確認を始めた。

大型アップデートついに実装!!
構想1,500年!! 作業には500年をかけた珠玉のアップデートの全貌が今!!
明らかになります!!!!

目玉は中央の塔の最上階から行けるNew MAP!!
天空城 ラグデオリオン!!
エンドコンテンツの一つとして待望の実装!
様々な種類の景観を持つ美しいフィールド、
一方様々なギミックでプレイヤーを楽しませるダンジョンマップ!
そしてエンドコンテンツにふさわしい強力で多彩なモンスター!

さらに、まだまだ今回の大型アップデートはひと味もふた味も違う!!

職業システム実装!!
スキルツリーシステム実装!!
それによって技やあこがれの魔法も貴方のものに!!

まだだ!
まだ今回のアップデートは終わらない!

仲魔システム、パーティシステムの一新!!

プレイヤーの戦闘をともに戦い補助するオトモタイプ!
プレイヤーの能力をあげる憑依タイプ!
仲魔を操作して戦う搭乗タイプ!
3つの方式から選べる新システム!
仲魔を装備していた過去のシステムも、
各種族に合わせた装備品を装備する新システムへバージョンアップ!!

おっと!!以前のシステムは仲魔強化憑依システムとしてパワーアップ!!

減らすんじゃなくて足していく、今までの楽しさはそのままに!!
さらにさらに楽しくしてゲームライフを充実させていく大型アップデート!!

パーティプレイの大幅パワーアップ!!
全種族の勇者と新しい旅へ出かけよう!!
最大4人から6人のパーティで旅に出かけよう!!
※オトモ仲魔は0.5人扱いだよ!5人+オトモ仲魔2匹までOK!!

モンスターの行動、アルゴリズム、種類、全て一新!!
今まで見たことのない世界が貴方の前に!!

さらにさらにさらに!
みんなを悩ませていたダンジョン入場規制を完全廃止!
輝石の消費なくダンジョンへ入ることが出来ます!
5個使用してブースト状態で攻略は可能です!
バーン! と強くなってドカーン! と攻略しちゃいましょ!
こちらの世界に来て一年以上たった人々も垢BAN処置はありません!!
輝石での復活は出来ますが、撤退するとアイテムはロストしますが、
拠点としている街の教会へ送り届けます!!
(ゼーニは半分になるよ、ごめんねテヘペロ)
リアルの追求のため、ダンジョン内時間経過を外時間と同じにしました!
安心してください!!モンスターの速度も同じように現実時間と合わせています!

そして今回のアップデート最大の目玉は……

天空城の最上階にいる私こと絶対神を倒したものに
ゲームクリエイト権利を与えます!!
あなたの思い通りのシステムをゲームに反映させる夢の様な権利をプレゼント!

これだけの巨大なヴァージョンアップは今まであっただろう!?

いや、ない!!!!!!!

そう断言できる最高の物となったと自負しております!

これからもみなさまの楽しいゲームライフを応援しております!

あんまり細かく説明すると面白くなくなっちゃうし、
あとはプレイして確かめてね!!

パッチが大きいから少しづつ分割で渡していくから
楽しみにね!!

バイバーーーーイ!!                   絶対神


突っ込みどころが満載である。

「う……胡散臭い運営の謳い文句みたいだね。」

苦笑いをしながらサオリに話しかける。

「張り切りすぎて変えすぎて滅茶苦茶になったゲームってたくさんあるよね。」

周りの勇者の方々もみんななんだかなぁ~とかもう別ゲーじゃんとか
それぞれ文句は言いつつもちょっとニヤニヤしていた。
何も変化のない日々にそろそろ嫌になってきている人も多いんだろう。
中には本当に嬉しそうに今回の変化を喜んでいる人も多い。
女性陣は少し不安になっている人も多いみたいだ。
直接戦闘に参加することになるのだし確かにそうだ。

俺はもう近接戦闘は慣れてきているとはいえ、
自分の体で直接モンスターと対峙するのはまた話が違う。

「ダメージで痛かったらやだなぁ・・・・・・」

「あー、それは嫌、痛いの嫌い。」

なんだかんだ頼りになるサオリもまだ中学3年の女の子、当然の感想だね。

それよりも俺が一番嬉しかったのはパーティの制限がなくなることだった。
サオリと二人での攻略も楽しいけど、これからはもっと楽しくなる。
基本一人で戦っていたのでこれからのバトルに心が踊っていた。

ヒマワリさんやダイチさんからもこれでパーティー組めるねーとか、
他のいわゆる大手チームの人からぜひ一緒にとたくさんの誘いも受けていた。

それからはみんなと談笑しながら12:00のアップデート終了を待っていた。

もうまもなく12:00になる、別になんの気もなく軽い気持ちで

「なんか分割してパッチって言ったけど、何も来ないね?」

その一言に周りのみんなが え? って

「え? タカシステータスとか更新されてないの? スキルツリーとかは?」

驚いた顔でサオリはそう聞いてくる。

「うっそ!? 来てるの?」

俺はコンソールを確認して、

「やっぱりなにもないよー」

視線を戻すと、サオリがいなくなっていた。

サオリだけじゃなく。すべての人がいなくなっていた。
周囲も音が消えて、何の気配も消失してしまった。

「・・・・・・え?な・・・・・・」

わからない、何が起きたのかわからなかった、
時計の針は12:00をさしていた。

「サオリー!!! 誰かーーーー??」

周りを少し探しても誰もいない、眷属の人もいない、無人。

ピコン

DMが届いた音がする。

題名:ゴメン
差出人:絶対神
本文:なんかさー、その仲魔のせいで君に干渉できないんだよ、
悪いんだけど師匠にはこっちから連絡できないからそっちの世界の
中央塔の最上階までクリアしたり、その後の隠しダンジョンクリアしたりして、
師匠へ通知行くはずだから気づいてもらって~、ほんとゴメンね!頑張って!
あ、モンスターとか全部作り直したからもとのは今まで通りにあるから、
レベルアップとかゼーニ、アイテムは大丈夫だよ!じゃ!


「は!?」

その後、返信は出せないし、
フレンド欄は他の人の名前が黒くなって何も出来ないし、
領土へ行ったりチーム集合場へ行ったりしたけど
内政関係はできるけど、誰もいなかった。

この世界に、
俺以外の全ての人が、
いなくなった。

一番大切な人もいない。
俺には課金しか残されなかった。

その日から、俺にとっての地獄の始まりだった。

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