ヒーローアフターヒール(リメイク連載中)

手頃羊

その3・Applied of a dark magic

[クロノ]
盗賊が吐いた情報を頼りに森の中に入る。
クロノ「結構深い森なんだな。」
いったいどこにあるのか…と思ったが、
クロノ「これは…足跡?人間と馬と…」
ということは誰かがここを馬と一緒に通ったということだろう。
道が一直線に伸びているから、おそらく何度もここを通ったということ。
つまり、
クロノ「盗賊達はここを出入りしている、と。」
ここから森を出てどこかに隠れて、商人の馬車を見つけて襲う、という感じだろう。
この道を進めばアジトにつけるだろうが…
クロノ「普通放っとかねぇよなぁ…」
罠があるかもしれない。
クロノ「でもま、アポは取ったし。」
(むりやり。)
開けている道を辿って進む。

途中、足首程の高さの道を横断する紐があった。
クロノ「どっかと結んでんのか?」
これは足を引っ掛けると罠が作動する古典的かつ割と気づかないタイプの罠だ。
クロノ「上からなんか降ってきたりなんかトゲトゲしたもんが横からグァッ‼︎って来たり…」
置いておくか、あえて作動させるか…
クロノ「えい。」
紐を踏む。
クロノ「何が来る…?」
すると上から何か音がした。
クロノ「うん?」
ガサガサと動くような音。
そして上から何かが落ちてくる。
細長い楕円よような形の胴体に、左右3本ずつの節々とした足。
クロノ「虫ィ⁉︎」
全力でダイブして虫を避ける。
虫はこの世で1番嫌いなものだ。
見ただけで発狂するくらい嫌い。
その辺の虫嫌いな女子がゴキブリを見た時にキャーキャー言うが、あれを超える自信がある。
クロノ「ちっくしょう‼︎なんつーひでー罠を‼︎ぜってぇ許さん‼︎」

かなり奥まで進んでいく。
やがて、丸太で取り囲んだ壁のような物が見えてきた。
クロノ「これがアジトかな?」
近づこうとすると、アジトの方から矢が飛んでくる。
クロノ「ほっ!」
矢を避ける。
後ろにあった木に刺さる。
クロノ「ビンゴってわけだな。よし。」
道の先に門がある。
門の方へ向かおうとすると、また矢を射られた。
門の上の方で見張りが弓を構えてこちらに向けていた。
見張り「そこで動くな‼︎」
クロノ「やだ!って言ったら?」
見張り「射殺す‼︎」
クロノ「あんたらのボスとちょったお話したいんだけど?」
見張り「だからって通すわけにはいかないね‼︎帰りな‼︎」
クロノ「どうしても話したいんだが?」
すると見張りが後ろを向く。
誰かに呼ばれているようだ。
やがて、見張りがもう一度こちらを向く。
弓は構えていない。
見張り「門を開ける!さっさと入れ‼︎」
クロノ「あらあら、すいませんねぇ。」
門が開く。
門の中は広い庭が広がっていた。
そして道を作るように、盗賊達が集まっていた。
道の先にはひときわ目立つ女が立っている。
身長は他と同じくらいだが、他の盗賊達が顔を晒すのに対して、鼻から下を隠すマスクをしている。
盗賊達は何かしら武器を持って立っているが、この女は武器を持っていない。
クロノ「あんたがボス?」
ボス「あぁそうだ。」
クロノ「俺はカミヅキ・クロノ。」
ボス「カミヅキ・クロノっていったらレギオンを倒したっつーアレかい?こんなひょろっちい男だとは思わなかったよ。」
辺りがざわつき始める。
「カミヅキ・クロノ?」
「こんなのが?」
「ないない。あんなデカブツを倒せるようなタマじゃないさ。」
ボス「もっと強そうなやつかと思ってたよ。」
クロノ「見た目はどうでもいいだろ?」
ボス「それで?何の目的でここに来たんだ?」
クロノ「そうそう。取り引きでもしたいなーって思ってね。」
ボス「取り引き?あたし達と?」
クロノ「そう。」
ボス「何を取り引きしようってんだい?」
クロノ「簡単だよ。俺の部下になって欲しい。」
ボス「は?」
クロノ「商人の馬車襲うのをやめて、リースの周辺の警備係をやって欲しいのよ。魔獣が近づいてきたりしたら追い返すとかそういうの。勿論、ちゃんと報酬も出す。生活も保障する。」
ボス「なるほどねぇ。」
クロノ「結構悪くない条件だと思うよ?」
ボス「そうだな。確かに悪くない。むしろ今より圧倒的に良い。商人の馬車襲うのだって、意外と収穫ってのは少ないからね。」
クロノ「でしょ?俺あそこの村長に頼まれてのよ、商人を守ってって。だからこれから先ずっとあんたらの邪魔をするつもりではあるのよ。でもお互いメンドイじゃん?俺だって他にやりたいことややるべきことがあるし、いつまでやればいいんだって話だし。あんたらは俺が邪魔するから更に収穫は減るだろうし。」
ボス「あぁ、そうだね。」
肯定の意思は出ているが…
クロノ「なーんか納得いってないっぽいね。」
ボス「あぁ。確かに条件はいいが…」
クロノ「いいが?」
ボス「なんで自分より弱い奴の下につかなきゃいけないのかって話さ。」
あー。
クロノ「意外と分かりやすいことで助かったよ。」
ボス「あんたがあたしより強いって証明してくれるんなら、従ってやってもいいぞ?」
クロノ「そうくると思ったよ。」
ボス「どうする?」
クロノ「やるよ。俺はこう見えて強いんだ。」

盗賊のボスに案内され、少し奥の広場に進む。
中心でボスと自分が向き合い、それを盗賊達が囲む。
クロノ「武器は?あんたの。」
ボス「あたしは武器は使わないのさ。」
クロノ「素手か。悪いが、俺は使わせてもらうぞ。」
右手で剣を作る。
ボス「さて、それじゃあ始めるよ。」
盗賊のボスが構える。
クロノ「あんたから先にどうぞ。」
ボス「そうかい?じゃあ遠慮なく。」
ボスが突撃してくる。
顔を狙って回し蹴りしてくるのを避け、剣で足を狙う。
それを飛んで避け、ムーンサルトのように回り、靴のつま先で顔を狙ってくる。
早めに避けようとしたが、顔につま先が当たってしまった。
いや、当たったのはつま先ではない。
顔に何かで斬られたような傷が付いている。
(当たってないかと思ったが…いやそもそも、なんで靴なのに斬られたような傷が…?)
ボス「そらそら‼︎」
今度は連続でパンチを繰り出してくる。
避けているはずなのに、切り傷をあちこちに作られる。
クロノ「まさか‼︎」
相手の突きを掴み、手を見る。
小さなナイフのような物が手から落ちる。
(素手だったんじゃ…)
すると手をえび反りのように動かす。
手首から別のナイフが出てきて、それを自分の顔に投げてくる。
クロノ「くっ‼︎」
腕を離し、ナイフを避ける。
クロノ「あ、ちくしょ‼︎」
背中にナイフが刺さっていた。
さっき掴んでいた時に相手の右手はフリーだったからだろう。
気にしておけばよかった。
だが、謎は分かった。
クロノ「暗器か。」
ボス「ばれちまったか。」
クロノ「ってことはなんだ?その服の裏側には武器が満載か?」
ボス「あぁ。武器だけで鎖かたびらみたいになってるからね。あんたのその剣は体には刺さらないよ。」
(あちゃー。)
どうするか…。
剣を消す。
ボス「いいのかい?」
クロノ「あぁ。ダメならこれでいく。」
右手の指を伸ばし、魔力を集中させる。
右手から魔力が伸び出る。
名付けるならレーザーソードといったところだろうか。
ボス「それで何ができるんだい?」
クロノ「これはな、物を斬れないんだ。むしろ物を透過する。だからこそ、面白い戦い方ができるんだ。」
ボスに向かって走る。
相手の攻撃を避け、右手のレーザーソードで相手の胴体を斬る。
ソードは腹を通り過ぎる。
ボス「ん?何も起こらないぞ?」
痛みも違和感も何も感じない。
クロノ「まだあんたの体に魔力を引っ付けただけだからな。」
ボス「なに…?」
右手のソードを解除し、右手を腹に向けながら、指を鳴らす。
ボス「ぐあぁ‼︎」
「ボス⁉︎」
「何があったんだ⁉︎」
盗賊のボスの腹の辺りの服が破け、そこから暗器がボロボロといくつか落ちる。
その向こうで腹が見えるが、ダメージを負っているのが見える。
ボスが膝をつき、苦しそうにこちらを向く。
ボス「どういうことだ…?」
クロノ「あのソードは物を透過するが、触れた物に魔力を引っ付けることができる。あんたの服ごとあんたの体に魔力を流してたのさ。そしてその魔力を起爆する。そうすることであんたにダメージを与えたのさ。爆発以外にもいろいろできるがな。昔は似たようなことするのに時限型でやってたが、ようやく遠隔操作でできるようになった。まぁ、弱点とすれば…」
もう一度ソードを作り、ボスを何度か斬り刻む。
斬り刻むように動かすだけで、実際何度もボスを通り過ぎるだけだが、
クロノ「そんなに長時間は使えないところかな。魔力の消費がやばいんだわ、これ。さて、今あんたにた〜くさん魔力が流れてるが…この魔力は何かに形を変えることもできるんだ。例えば…剣なんかにな。」
ボス「まさか…」
クロノ「ここらでギブアップしてくれてもいいぞ?してくれなかったら、してくれるまで指を鳴らすだけだ。」
ボス「待て‼︎分かった‼︎」
クロノ「あ、意外と早い。」
ボス「お前の言うことを聞こう。取り引きだったか?それを呑む。」
クロノ「あんがとさん。」
ボスが立ち上がる。
ボス「とりあえず魔力を解除してくれないか?体に危ないモノが流れてるのはさすがに気分が悪い。」
クロノ「はいはい。
指を1回鳴らす。
ボス「おい‼︎」
クロノ「違うよ、解除もこうするんだよ。」
ボス「そ、そうか…ならいいんだ…。」
クロノ「さて、解除っと。それじゃあとりあえ…‼︎」
体にロープが巻き付けられる。
クロノ「何が⁉︎」
後ろにいた盗賊によって投げられたロープで縛られたようだ。
ボス「最後まで油断してはいかんのではないか?ん?」
しかもロープのあちこちに意図的にトゲトゲしたものが付けられている。
そのせいで体のあちこちにトゲが刺さっている。
クロノ「あーまじか。」
ボス「さーて…」
マスクに手をつけ、取り外す。
口には大量の針が加えられていた。
クロノ「含針ふくみばり⁉︎」
両手で顔を掴まれる。
クロノ「あ、顔近いっす。」
(なら3つ目のアレをやってみるとしよう。)
ボス「ふっ‼︎」
クロノ「はぁ‼︎」
顔には針が1本も刺さっていない。
全て弾き返した。
ボス「なっ、その顔は…⁉︎」
今の自分の顔は真っ黒になっている。
黒いだけでなく、顔つきもちょっと化け物じみている。
クロノ「ちょいと変わっててな、俺は。はっ‼︎」
ロープを焼き切る。
数日前に手に入れた闇の力の3つ目、魔獣化。
本来は闇魔獣を召喚する力なのだが、その闇魔獣を自分の体に宿すことができる。
体を硬くしたり、筋力を上げたりなどと、魔力強化とあまり変わらないが、魔力強化より高い効果を発揮する。
ただし、宿すことができるのは右手から。
右手から胴体を通って、左手や足や顔に宿すことはできるが、右手を魔獣化させずに両足だけ魔獣化させるといったことはできない。
その為、今の自分は右手から顔にかけての一直線が黒くなっている。
クロノ「ま、闇魔獣の召喚の一種だ。さーて…」
ソードで腹を刺す。
ボス「しまっ‼︎」
クロノ「えい。」
指を鳴らす。
ボス「がああああああ痛い痛い痛い‼︎」
クロノ「腹の中に石を作った。剣でなくても、内臓の中に無理やり石を埋め込んでるんだ、かなり痛いだろ。」
ボス「もうしないから‼︎もうしないから解除してくれ‼︎」
クロノ「はいはい。」
指を鳴らして解除する。
魔力で作った物なので、消去はできる。
さすがに消去できないとかそんな鬼畜仕様ではない。
クロノ「それで?」
ボス「もう…言うこと聞く…聞くから…」
クロノ「サーンキュ。それじゃあそうだな…明日にでもリースにある俺の家まで来てくれ。村の人に聞きゃあ分かるだろ。そんじゃ。」
来た道を引き返す。

リースの入り口に着き、合流したサクラ達と家に戻る。
サクラ「クロノさん、お帰りなさいませ。」
ジュリ「どうでした?盗賊は。」
クロノ「成功。明日くらいに盗賊のボスが家まで来るはずだ。」
サクラ「なぜ?」
クロノ「うちで働かせる。正しくはリース周辺の警備係をやらせんのさ。」
サクラ「なるほど。」
ジュリ「それって傭兵とかじゃなくてギルドに近くないですか?」
クロノ「ギルド?」
ジュリ「だって傭兵って本来チームで働くことはありませんし…」
クロノ「あ〜…チームで働く傭兵集団がギルドってことか。」
サクラ「そういえばクロウさんからクロノさんはギルドに所属していたことがあるって言ってましたね。」
クロノ「うん、まぁね…そうか…まぁ、それもありか。傭兵だって仲間ができるとは予想してなかったからそう考えてたわけだし。しちゃうか、ギルド。」
ジュリ「となると、名前か…。」
家に着いた。
クロノ「ここもギルドになるのか…。」
家に入る。
クロノ「あれ?」
家の中に人がいた。
リミではなく、ちゃんと生きてる人が。
しかも知り合いだ。
クロノ「高坂さんに、レオとシーラ?」
高坂「玄野さん‼︎」
高坂さんが抱きついてくる。
レオとシーラもそれに続く。
クロノ「ちょっ待て‼︎3人も来るな‼︎苦しい‼︎」
何か言っているようだが、3人とも泣きじゃくってるせいで何て言ってるか分からない。
リミが天井から顔を出す。
どうやら避難していたようだ。
サクラ「クロノさん…この人たちは…」
クロノ「あーえーと前のギルドの仲間…なんだけど…ちょっと落ち着けって!とりあえず中に入れさせて!周り見てるから!」

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