ヒーローアフターヒール(リメイク連載中)

手頃羊

その5・Did you dispelled?

[クロノ]
マストに入る。
ボロボロの身体で村に入ったせいで村人から心配されたが、うまいことごまかしアリシアの家に着く。
帰りを待っていたアリシアとシーラは驚いていたが、外で話すには目立つので中に入れさせてもらった。
アリシア「マキノさん…」
マキノ「言わなきゃいけないことがある…」
アリシア「…お兄ちゃんのこと?」
マキノ「ガイアが死んだのは私のせいだ。私がカイズの研究に力を貸したせいで…」
アリシア「研究?」
マキノ「カイズ町長は今私達がいる世界とは別に、どこか別の世界があるんじゃないかと考えた。その世界を探し、そことここを繋げるという研究だ。私はそれに協力していた。私に何か企みがあったわけじゃない。私はただ、そんなことができたら素晴らしいなと研究者の視点で思っただけだ。だがカイズはその向こう側の世界で良からぬことをしようとしていた。私はそれを早くに知ることができたが、カイズに脅されてハゼット達に話すことができなかった。その辺の危険な世界に繋げてそこに放り込んでやるとな。だが私言えなくても、ガイアが言うだろう。ガイアは町長と繋がりが深いのに、正義感はある。町長はガイアに自分の企みのことを言わなかったが、いずれ知られるだろう。だから、レギオン襲来という都合の良い出来事を利用して殺されたんだ。」
アリシア「…それがホントのことなの…?」
マキノ「あぁ…。私が手を貸さなかったら…」
アリシア「……いいよ。」
マキノ「えっ…?」
アリシア「ホントのこと話して謝ってくれたから…いいよ。マキノさん悪くないもん。」
マキノ「悪くないって…」
アリシア「お兄ちゃんが殺されたのがマキノさんのせいってのはそうなのかもしれないよ。でも、マキノさんだってそうなってほしかったわけじゃないし、ちゃんと謝ってくれたもん。」
マキノ「クロノといい…なんでみんなそんなに優しいんだ…」
アリシア「みんなマキノさんのことが好きだからじゃないかな。みんなにとって大事な仲間の1人だからだよ。もちろん、私にとっても大事な友達だよ。」
マキノ「アリシア…。」
クロノ「どうだ?吹っ切れたか?」
マキノ「あぁ。やはりあの研究に加担した私を、他の誰が許しても私自身が許すことができない。だからといって逃げるのはなく、だからこそ向き合わなくてはいけない。」
クロノ「あんたなりに答えを見つけられたんならいいじゃないか。」
マキノ「年下であるお前に諭されるとはな…」
アリシア「そういえば、結局その研究って成功したの?」
マキノ「実験自体は2,3年前に成功していたが、安定して成功とはいえなくてな…。何回か実験をしたんだ。」
アリシア「向こう側と繋げるってことは、何か物とか人とかが行き来できるってことでしょ?できたの?」
クロノ「できてたよ。だから俺がここにいるんだ。」
アリシア「え?」
クロノ「俺がその実験結果。」
アリシア「え?…えっと…クロノさん…別の世界の人…?」
シーラ「クロノさん、言っていいんですか?」
クロノ「いいんだよ。本当はあんまり公に知られちゃいけないから人に話すのは避けてるんだが、俺はアリシアを信じてる。」
アリシア「公に知られちゃいけないって?」
クロノ「またカイズみたいな奴が現れたら困るだろ?異世界ってのは、名前だけでも心がときめいちゃう場所だからな。」
アリシア「はー…。」
クロノ「さてと、それじゃあ用事は済ませたな?」
マキノ「あぁ。」
クロノ「そうだ、アリシア。」
アリシア「なに?」
クロノ「来週くらいにリースにある俺のギルドでパーティでも開こうと思ってな。お前も来るか?」
アリシア「…ううん、遠慮する。」
クロノ「そうか?お菓子たくさん作るぞ?ハゼット達も来るし…」
アリシア「ううん…また今度誘って。」
クロノ「…そうか、分かった。それじゃあまた今度な。」


シーラとレオを一旦アリアンテに帰らせて、マキノを連れてリースに着く。
(日帰りな筈なのに無駄に濃い1日だったなぁ…)
商店で食材を買ってからギルドに向かう。
ジュリは高坂さんに迷惑かけてないだろうか。
そんなことを思いながらドアを開けると、
カサンド「あ、おかえり。」
ジュリ「おかえりなさいみなさん!」
クロノ「ちょっと待てなんだこの状況。」
ジュリがカサンドに縛られている。
リミと高坂さんはどうしたらいいのかと慌てている。
カサンド「いや待て聞いてくれよ。こいつがお話しようとか言うから色々と世間話してたんだよ最初は。そしたらいつの間にかこうなってだけであってこれは反逆とかじゃなくてだな。」
クロノ「うん、なんとなく想像はつく。」
ジュリ「ほんとに不思議ですね!」
ハァハァしながら言うんじゃねぇ。
サクラ「ジュリ‼︎私という人がいながら…‼︎」
ジュリ「え、サクラちゃんどうしたの?」
サクラ「縛ってほしいなら私がやるのに‼︎」
カサンド「えぇ…」
この2人は見た目だけなら1番マトモな性格してそうなのに…
マキノ「クロノ…これは…」
クロノ「ラフよりキャラ濃いだろ…変態度も…」
マキノ「なんというか…がんばれ…」
リンコ「クロノさん、シーラさんとレオくんは?」
クロノ「一旦ラフに戻らせた。そんで来週くらいにこっちにハゼット達を呼んでくる。」
マキノ「パーティを開くとか言ってたな。」
クロノ「そうそう。」
ジュリ「カサンドさんありがとうございました。」
カサンド「あ、あぁ…自重しとけな?」
もしかしたらこのギルドの良心というか、1番マトモなのはカサンドかもしれない。
クロノ「……そんなことよりも…」
カサンド「この状況をそんなことで済ますほどの用事があんのか?」
クロノ「おうよ。俺はな、これが楽しみなんだよ。」
買った食材を机の上に並べる。
リンコ「卵…牛乳…小麦粉…ケーキでも作るんですか?」
クロノ「カステラを作ろうと思う。」
マキノ「カステラ?また聞いたことない名前だな。」
クロノ「俺のいた世界でかなり人気のお菓子だ。」
カサンド「へー、あんたお菓子作れるんだ。」
と言いながらドアに向かう。
クロノ「あれ、帰んの?」
カサンド「あぁ。」
クロノ「ふーん。あ、後で来いよ。」
カサンド「なに、なんか用事?」
クロノ「いや、完成したカステラ奴らに配ってほしいから取りに来てほしいだけなんだけど。」
カサンド「…あたしらにもくれんの?」
クロノ「当たり前だろ?一応仲間なんだぞ?それに、美味いお菓子みんなで食うものだ。」
カサンド「へいへい。」

クロノ「はい完成…かな。」
前にプリンを作った時もそうだが、この世界にオーブンはない。
それゆえ、調理にも魔法が欠かせない。
しかし、火を出す魔法でものを焼くのは結構難しい。
本来は攻撃用の魔法だから火力が高いのだ。
ジュリ「美味しそう…」
クロノ「意外と上手くいって良かったかな。」
マキノ「ケーキのスポンジ部分みたいな感じだな。」
クロノ「でもあれとはまた違う味と食感だ。んじゃあマキノ味見よろしく。」
マキノ「あ、あぁ。」
マキノがカステラを一口サイズに切り、口に運ぶ。
クロノ「ど?」
マキノ「確かに、ケーキとは全く別の物だな!最高に美味い!蜂蜜が使われていたっけか…後からかけるのではなく、調理過程で使うとまた一味違ったものになるな…」
クロノ「そうか。」
マキノ「どうした?そんなにニヤけて。」
クロノ「あれ、笑ってた?」
マキノ「あぁ。」
クロノ「いやね、あんたはやっぱりお菓子食って笑ってる方が合ってると思ってね。」
マキノ「そこまで菓子ばっかり食べてるイメージか…?」
クロノ「うん。」

1週間経ち…
クロノ「はい完成。」
ケーキ、プリン、その他お菓子を作り、机に運ぶ。
マキノ「カステラ以外も作るんだな。」
クロノ「カステラパーティとは言ってないからな。たくさんあった方が楽しいだろ?」
リンコ「太っちゃいそう…」
クロノ「誰も気にせんでしょ。」
リンコ「私が気にするんです!」
女子というものはなぜそこまで体重を気にするのか…
カサンド「で、客ってのはいつ来るんだ?」
クロノ「昼前には着くように来るって手紙では書いてたけど…」
サクラ「ならそろそろですね。」
その時、ドアが開く。
クロウ「おぉ〜意外と綺麗なギルド。」
クロノ「クロウ⁉︎なんでお前が‼︎」
ジュリ「クロウさん、どうしたんですか⁉︎」
アマノ・クロウ。イクツキという町でギルドのリーダーやっている男だ。
サクラとジュリの元上司でもある。
クロウ「いや、シーラちゃんからお手紙来てさ。クロノんとこでパーティやるって。」
サクラ「あらあら。」
クロウ「ほー!美味そうだなおい!誰が作ったの?」
クロノ「俺だ。ハゼット達が着くまで待て。」
クロウ「え、うそ。お前料理できんの?」
クロノ「1人暮らしが長かったんだ。暇な時に家で菓子を作ってたりしてた。」
クロウ「お前がお菓子作りとか似合わねぇ…」
クロノ「言ってろ。」
またドアが開く。
シーラ「遅れました‼︎」
クロノ「おう、来たか。」
ということは、
ハゼット「久しぶりだな。」
クロノ「やーっと本命の到着か。」
ハゼット「久しぶりに会えてうれうお⁉︎」
家に入ろうとしたが後ろから他のメンバーが押しかけてきたせいで押しのけられてしまった。
クロノ「あーあ。」
アクア「お、いい匂いすんねぇ!」
クロノ「義足はどうだ?」
アクア「あぁ。もう完全に自分の足さ。」
フレア「久しぶりだなクロノ!」
クロノ「あれ、髪切った?ってか整えた?」
フレア「ま、まぁな!その…ちょっとな…」
ブラン「わー!お菓子のにおーい!」
アクア「そうだよ、聞いてくれよクロノ!こいつとうとうブランに告白しやがったんだぞ?」
フレア「ばか、言うなって‼︎」
カサンド「アクア?」
アクア「えっ…?カサンド?おい、あんたかい⁉︎」
カサンド「やっぱりアクアか‼︎久しぶりじゃないか‼︎」
クロノ「なに、知り合いなの?」
カサンド「昔ちょっと色々あって別れたっきりでな。」
アクア「あたしの恩人さ。」
カサンド「別に助けてないさ。むしろ森の中に放り込んだだけだろ。」
アクア「あんな場所にいるよりマシさ。」
ブラン「クロノ‼︎久しぶり‼︎」
クロノ「おう久しぶり。フレアに告白されたって?」
ブラン「な⁉︎誰から聞いたの⁉︎」
クロノ「顔赤くなりすぎ。アクアから聞いた。」
ブラン「ちょっとアクア‼︎言わないでって言ったでしょ‼︎」
エリー「クロノさん、調子はどうですか?」
クロノ「エリーさん、そっちこそどうよ?」
エリー「あんな別れ方してすごく不安でしたけど、杞憂でしたね。」
クロノ「こっちはこっちでまた別の面白さがあるよ。」
ジェス「ほーら、報酬のお菓子を食らいに来てやったぜ。」
クロノ「おおー、あんたもう完全にラフの一員だな。」
ジェス「前も言ったが、俺が追いかけてた人に関してもう色々済ませたからな。1人で寂しく傭兵やるよりギルドに入りたいな〜って思ってたから入れてもらったんだ。」
クロノ「ヒーロー様は健在かい?」
ジェス「当たり前だ。なんたってラピッドイーグルだからな‼︎」
クロノ「そっちより窮地のヒーローの方がカッコいい。」
ジェス「うそぉ…?絶対こっちの方がカッコいいって。」
クロノ「ないない。」
ターニア「久しぶりだな。」
クロノ「ターニア!それとレーニャ…」
レーニャ「どうしました?」
2人が腕を組んでいる。
クロノ「あんたら何?カップルなの?恋人なの?」
レーニャ「え!いや…」
ターニア「私は別にいいんだが、レーニャがどうしてもと…」
レーニャ「いやその、あれです‼︎こう…その…‼︎」
ターニア「まぁ私としては以前のような硬い関係よりは良いとは思うけどな。」
レーニャ「にゅ〜…」
顔を赤らめて俯いているが、ターニアは絶対そのつもりで言ってないな。
これがタラシというやつか。
クロノ「はいはい。楽しんでってね。」
シレイノ「クロノ。」
クロノ「ほう、あんたも来たのか。」
シレイノ「あの子は…?」
指差した方を見ると、リミが天井から顔を覗かせていた。
クロノ「リミ・ハルツ・レヴァイン。幽霊の女の子だ。」
シレイノ「ということは…触れない…?」
クロノ「残念ながらな。」
シレイノ「ちっ…」
シレイノの舌打ちを初めて聞いた気がする。
クロノ「というか、俺に対して久しぶりはねぇのかよ…」
シレイノ「何を言ってるんだ?クロノよりかわいい女の子の方が大事に決まっているだろう?」
クロノ「そういう正直なところちょっとだけ好き。」
シレイノ「冗談だ!久しぶりだな、クロノ。色々と大変だったようだが、何とかやっていけてるようじゃないか。」
クロノ「まぁな。」
サシュ「あの…」
クロノ「サシュ!」
サシュ「来てもよかったんですか…?」
クロノ「ラフの一員全員呼んだんだぞ?あんたにも来てほしかったんだよ。」
サシュ「そうですか…ありがとうございます!それで…メイさんは…」
クロノ「あそこ。」
メイ「サシュさん!」
サシュ「メイさん‼︎」
(えんだーとかBGMで流れてきそう。)
クロノ「さて…んでラストが…」
ハゼット「みんなガッつきすぎだぞ…」
クロノ「久しぶり、ハゼット。」
ハゼット「あぁ、そうだな。」
数週間ほど前まで自分が所属していたギルドのリーダー。
不老不死の男、ハゼット・ローウェル。
クロノ「そっちの様子はどう?町長になったって聞いたけど。」
ハゼット「大変だが、まぁ意外と何とかなる。そっちこそギルドのリーダーはどうだ?」
クロノ「前とあんまり変わってない。ただラフの連中よりキャラ濃いのが仲間になっちゃったから大変だけどな。」
ハゼット「どんだけ濃いんだ…楽しそうだな。」
クロノ「楽しめないよりはマシだからな。折角だから何もかも楽しんじゃおうかなって。」
ハゼット「それはいい考えだな。」
サクラ「クロノさーん!」
クロノ「なにー?」
サクラ「乾杯の音頭取ってくださーい!」
クロノ「あぁ、はいはい。シンプルでいいよね?はいそれじゃ、乾杯‼︎」

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