高校ラブコメから始める社長育成計画。
11.ばんばん
そして翌日の練習――
「優里、しゅごい、しゅごいお!!」
驚く夏香。
言い方がどこか卑猥《ひわい》であるのが気になるが、それは置いといて。
早速屋根上げ練習に替えてから、思っていた以上に成果が出だした。
織田優里には得意なスタートをもっと伸ばせるようにさせたのだ。
するとどうだ。
タイムが縮んでいるではないか。
それに触発されてか、各々苦手なところも練習するようにもなり、全体の士気が上がった。
「織田優里! めちゃくちゃかっこいいぞ!」
「えへへ。ありがとうございます!」
あいかわらず語彙力のない俺だが、素直に喜んでくれる織田優理。
だって男の俺から見てもスタート速いのってかっこいいんだもん。
後から追い上げる箕面もこれまたかっこいいんだが。
俺が女なら、きゅんきゅんさせられるんだろうな。
なんかトレーナーをやってることが急に面白くなってきた。
ああ、そうか。
院長が俺に人を見分ける才能があるって褒めてくれたこと。
あれ自体も院長が俺をやる気にさせるための褒めキングだったんだな。
手のひらで転がされているなー。
いいんだけど。
なら――
練習だけでなく、すべてを分担してみるか。
副部長うふふ先輩はコミュニケーション能力もあるから、俺が顧問と話すときや部員に練習を説明するときに、傍に置いておく秘書にしよう。
夏香は良くも悪くもムードメーカーだな、ほっとくと大変だから敢えてリーダーにしよう。
責任持たせてスケジュールの指示出しをしてもらうのだ。
ツインテ後輩ちゃんは、生意気だけど負けず嫌いの頑張り屋ってとこか……エリカ属性だな。
無理しすぎそうだから、みんなの健康管理させよう。
カルテ作って交換ノートみたいにしてみようかな。
織田優里は……
織田優里は、なんだろう。特徴ねーな。
そうだなー、とにかく一番に動いてくれるよな。
俺がこうしてくれって練習の指示出したときも、一番に適応してくれたのはコイツだ。
適応能力って感じか。
流れにすぐ順応できるタイプ。
なんだかんだでみんなを気にかけてくれるから、おとなしいが誰からも好かれていそう。
コイツを見本に引っ張りだして、他の部員のやる気を誘うか。
こうして俺の、『現実世界《リアル》ではじめるトレーナー生活』は本当の意味で始動した――
「六個目の龍玉おくれ」
俺は院長にそう訴えた。
報告がてら、部活の帰りに院へ寄り道しているのだ。
陸上部の練習も順調。
それぞれの強みを活かしてうまくまとまっている。
むしろ俺がもういらなくなってしまったぐらいに。
さみしいぞ……
「もう次は六個目ですか。あと二個になっちゃいましたね」
「全部もらったらすぐ辞めるなんてしないっすから、大丈夫っすよ。いろいろ楽しんでやってますし」
「ええ、ありがとうございます。では六個目を紹介する前に、君がどれぐらい人を楽しませる才能があるか、試してもいいですか?」
人を楽しませるだと……?
何をボケたことを言ってんだ。
「俺は究極に面白くない人間なので無理です。お疲れさまでした」
「あいかわらずネガティブですね。君自身もきっと、楽しみながらできることでテストしますから心配ないですよ」
「……なんすか」
テストという言葉に変な汗が出てくる。
「実はですね、夏には毎年、うちの会社全体で懇親会をしているんですよ。その企画を任せていいですか?」
「懇親会? 企画?」
懇親会ってあれだよな、参加した同士がお互い知り合いになったり、親しみを深めたりっていう――
「はい。去年は仮装ボーリング大会でしたね。介護のほうの施設長が考えてくれたんですが。くじ引きでチームにわけて普段交流のないスタッフと協力したり。優勝すればいいってわけでもなくて、一位を予想して当たったら景品を出したり。けっこう盛り上がりましたよ」
「企画って、結構重大な役割じゃないっすか……」
「ちなみにうちの会社は二十代が多いですが、子連れの社員もいます。身内や友達もつれてきていいですが、みんなが楽しめるような企画で、会費は福利厚生で出しますから」
みんなが楽しめる……か。
まあでもみんなが集まるってのは大事だろうな。
顔を合わせて想いを直接伝える大切さ。
今は俺が院長を独占しているけど、きっと話したい人もいっぱいいるだろうから。
色々と魅力的な院長だもんな。
「君も友達連れてきてもいいですよ、どうせいないでしょうけどプクク」
前言撤回。
episode『ばんばん』end...
「優里、しゅごい、しゅごいお!!」
驚く夏香。
言い方がどこか卑猥《ひわい》であるのが気になるが、それは置いといて。
早速屋根上げ練習に替えてから、思っていた以上に成果が出だした。
織田優里には得意なスタートをもっと伸ばせるようにさせたのだ。
するとどうだ。
タイムが縮んでいるではないか。
それに触発されてか、各々苦手なところも練習するようにもなり、全体の士気が上がった。
「織田優里! めちゃくちゃかっこいいぞ!」
「えへへ。ありがとうございます!」
あいかわらず語彙力のない俺だが、素直に喜んでくれる織田優理。
だって男の俺から見てもスタート速いのってかっこいいんだもん。
後から追い上げる箕面もこれまたかっこいいんだが。
俺が女なら、きゅんきゅんさせられるんだろうな。
なんかトレーナーをやってることが急に面白くなってきた。
ああ、そうか。
院長が俺に人を見分ける才能があるって褒めてくれたこと。
あれ自体も院長が俺をやる気にさせるための褒めキングだったんだな。
手のひらで転がされているなー。
いいんだけど。
なら――
練習だけでなく、すべてを分担してみるか。
副部長うふふ先輩はコミュニケーション能力もあるから、俺が顧問と話すときや部員に練習を説明するときに、傍に置いておく秘書にしよう。
夏香は良くも悪くもムードメーカーだな、ほっとくと大変だから敢えてリーダーにしよう。
責任持たせてスケジュールの指示出しをしてもらうのだ。
ツインテ後輩ちゃんは、生意気だけど負けず嫌いの頑張り屋ってとこか……エリカ属性だな。
無理しすぎそうだから、みんなの健康管理させよう。
カルテ作って交換ノートみたいにしてみようかな。
織田優里は……
織田優里は、なんだろう。特徴ねーな。
そうだなー、とにかく一番に動いてくれるよな。
俺がこうしてくれって練習の指示出したときも、一番に適応してくれたのはコイツだ。
適応能力って感じか。
流れにすぐ順応できるタイプ。
なんだかんだでみんなを気にかけてくれるから、おとなしいが誰からも好かれていそう。
コイツを見本に引っ張りだして、他の部員のやる気を誘うか。
こうして俺の、『現実世界《リアル》ではじめるトレーナー生活』は本当の意味で始動した――
「六個目の龍玉おくれ」
俺は院長にそう訴えた。
報告がてら、部活の帰りに院へ寄り道しているのだ。
陸上部の練習も順調。
それぞれの強みを活かしてうまくまとまっている。
むしろ俺がもういらなくなってしまったぐらいに。
さみしいぞ……
「もう次は六個目ですか。あと二個になっちゃいましたね」
「全部もらったらすぐ辞めるなんてしないっすから、大丈夫っすよ。いろいろ楽しんでやってますし」
「ええ、ありがとうございます。では六個目を紹介する前に、君がどれぐらい人を楽しませる才能があるか、試してもいいですか?」
人を楽しませるだと……?
何をボケたことを言ってんだ。
「俺は究極に面白くない人間なので無理です。お疲れさまでした」
「あいかわらずネガティブですね。君自身もきっと、楽しみながらできることでテストしますから心配ないですよ」
「……なんすか」
テストという言葉に変な汗が出てくる。
「実はですね、夏には毎年、うちの会社全体で懇親会をしているんですよ。その企画を任せていいですか?」
「懇親会? 企画?」
懇親会ってあれだよな、参加した同士がお互い知り合いになったり、親しみを深めたりっていう――
「はい。去年は仮装ボーリング大会でしたね。介護のほうの施設長が考えてくれたんですが。くじ引きでチームにわけて普段交流のないスタッフと協力したり。優勝すればいいってわけでもなくて、一位を予想して当たったら景品を出したり。けっこう盛り上がりましたよ」
「企画って、結構重大な役割じゃないっすか……」
「ちなみにうちの会社は二十代が多いですが、子連れの社員もいます。身内や友達もつれてきていいですが、みんなが楽しめるような企画で、会費は福利厚生で出しますから」
みんなが楽しめる……か。
まあでもみんなが集まるってのは大事だろうな。
顔を合わせて想いを直接伝える大切さ。
今は俺が院長を独占しているけど、きっと話したい人もいっぱいいるだろうから。
色々と魅力的な院長だもんな。
「君も友達連れてきてもいいですよ、どうせいないでしょうけどプクク」
前言撤回。
episode『ばんばん』end...
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