高校ラブコメから始める社長育成計画。
09.ひなたⅠ
ボクは今、進路指導室にいる。
進路希望調査には『進学』
将来何をしたいかって言われてもよくわからない。
結婚して、子供産んで、幸せな家庭が築ければそれが一番だと思う。
ゆーまは何て書いたんだろう。
やっぱり『社長』とか書いたんじゃないかな。
さっき会ったとき少し落ち込んでた感じだったし。
先生に嫌な事言われたんなら、後でいっぱい聞いてあげよう。
ゆーまは凄いよ。
何がしたいか解らないって言ってるけど、ボクの知らない世界、色んなことを知ってる。
ワクワクしながらいつも話してくれる。
初めて出逢ったあの時から、ずっと憧れで――
うちは父親が警察官ということもあって、転校が多かった。
女子の派閥に属することが苦手だったボクは、まともな友達もできず。
せめて高校だけでも転校せずに通えるようにと、お婆ちゃん家に居候しながら光月高校に通わせて貰えることになった。
お婆ちゃんは大好きだけど、お盆や正月に会うぐらいだったから、色々と気を使ってしまう。
心配させたくないし、迷惑は掛けたくない。
勉強も頑張る。
「ひなたはいい子だから、あなたの思うように生きなさい。ずっと応援してますよ」
そういつも言ってくれるお婆ちゃんに笑顔でいてもらいたいから――
記憶は二年前、高校入学式の前日。
ボクは近所のコンビニへ買い物に行ってた。
茶髪の高校生たちが前でたむろしている。
制服を来ているところをみると、先に始業式が行われた二、三年生に当たるのだろう。
その中の一人がガムの包み紙を開き、それをその辺にポイと捨てた。
地球はゴミ箱じゃないよ……
ボクはそれを拾ってゴミ箱に捨てた。
するとその人が眉間にシワを寄せ、グワツと睨みつけてきた。
「おい、てめえ、喧嘩うってんのか?」
いきなり、な、なんだろ……
「ボ、ボクはそんな……」
他の人たちも立ち上がってボクに迫ってくる。
「こいつ、感じ悪いガキだな」
怖い。
足がガクガク震える。
その時、コンビニから出てきた目つきの悪い人が、高校生達との間に割って入ってきてボクの肩を横から組んだ。
その人はヤンキー高校生たちに向かって口を開く。
「すんませんっした、俺らこのコンビニで万引きしようしたらバレて捕まってさ、罰として普段からゴミ拾いさせられてて」
え?
どうゆうこと?
俺らって、ボクとこの人?
「なんだ、かっこわりーなお前ら!」
高校生たちは、見下した目でケラケラ笑ってる。
「そんな!」
「いいから、ほら、行くぞ」
目つきの悪い人はボクの腕を掴んで歩き出す。
後ろから罵声が飛ぶ。
「しっかり反省すんだぞーお前ら! あははは」
蔑んだ笑い声が聞こえる。
ボクは引っ張られ、路地裏に連れて行かれた。
「ボクは万引きなんてしてないです!」
「知ってるぜ。お前たまにあそこのコンビニに来るやつだよな。見たことある。てか、さっきのやつら、いつも素通りだったから知り合いじゃねーだろ?」
ボクは若干涙目でうなづく。
「いいか、ボウズ」
いや女ですけど。
まあ、いつもパーカーとジャージ姿だからしょうがないか。
「あれ、嫌味にしか見えないから」
ゴミを拾って捨てたことを言ってるらしい。
そうなの?
どこが?
不思議に思いながら彼を見つめた。
「はあ……お前いわゆるあれか、空気読めない奴か」
「でも、お婆ちゃんはボクが正しいと思うことをやればいいって」
「あのなあ。正しいことをやってれば人に嫌われないと思ってんのか?」
呆れたような顔でそんなことをボクに言ってきた。
正しいことが嫌われるならボクは一生嫌われるじゃないか。
警察官であるお父さんまで否定された気分。
「人に嫌われない方法はこの世に二つある。その二つのうちどっちかをやってればいいんだよ」
どうやらその人が言うには――
進路希望調査には『進学』
将来何をしたいかって言われてもよくわからない。
結婚して、子供産んで、幸せな家庭が築ければそれが一番だと思う。
ゆーまは何て書いたんだろう。
やっぱり『社長』とか書いたんじゃないかな。
さっき会ったとき少し落ち込んでた感じだったし。
先生に嫌な事言われたんなら、後でいっぱい聞いてあげよう。
ゆーまは凄いよ。
何がしたいか解らないって言ってるけど、ボクの知らない世界、色んなことを知ってる。
ワクワクしながらいつも話してくれる。
初めて出逢ったあの時から、ずっと憧れで――
うちは父親が警察官ということもあって、転校が多かった。
女子の派閥に属することが苦手だったボクは、まともな友達もできず。
せめて高校だけでも転校せずに通えるようにと、お婆ちゃん家に居候しながら光月高校に通わせて貰えることになった。
お婆ちゃんは大好きだけど、お盆や正月に会うぐらいだったから、色々と気を使ってしまう。
心配させたくないし、迷惑は掛けたくない。
勉強も頑張る。
「ひなたはいい子だから、あなたの思うように生きなさい。ずっと応援してますよ」
そういつも言ってくれるお婆ちゃんに笑顔でいてもらいたいから――
記憶は二年前、高校入学式の前日。
ボクは近所のコンビニへ買い物に行ってた。
茶髪の高校生たちが前でたむろしている。
制服を来ているところをみると、先に始業式が行われた二、三年生に当たるのだろう。
その中の一人がガムの包み紙を開き、それをその辺にポイと捨てた。
地球はゴミ箱じゃないよ……
ボクはそれを拾ってゴミ箱に捨てた。
するとその人が眉間にシワを寄せ、グワツと睨みつけてきた。
「おい、てめえ、喧嘩うってんのか?」
いきなり、な、なんだろ……
「ボ、ボクはそんな……」
他の人たちも立ち上がってボクに迫ってくる。
「こいつ、感じ悪いガキだな」
怖い。
足がガクガク震える。
その時、コンビニから出てきた目つきの悪い人が、高校生達との間に割って入ってきてボクの肩を横から組んだ。
その人はヤンキー高校生たちに向かって口を開く。
「すんませんっした、俺らこのコンビニで万引きしようしたらバレて捕まってさ、罰として普段からゴミ拾いさせられてて」
え?
どうゆうこと?
俺らって、ボクとこの人?
「なんだ、かっこわりーなお前ら!」
高校生たちは、見下した目でケラケラ笑ってる。
「そんな!」
「いいから、ほら、行くぞ」
目つきの悪い人はボクの腕を掴んで歩き出す。
後ろから罵声が飛ぶ。
「しっかり反省すんだぞーお前ら! あははは」
蔑んだ笑い声が聞こえる。
ボクは引っ張られ、路地裏に連れて行かれた。
「ボクは万引きなんてしてないです!」
「知ってるぜ。お前たまにあそこのコンビニに来るやつだよな。見たことある。てか、さっきのやつら、いつも素通りだったから知り合いじゃねーだろ?」
ボクは若干涙目でうなづく。
「いいか、ボウズ」
いや女ですけど。
まあ、いつもパーカーとジャージ姿だからしょうがないか。
「あれ、嫌味にしか見えないから」
ゴミを拾って捨てたことを言ってるらしい。
そうなの?
どこが?
不思議に思いながら彼を見つめた。
「はあ……お前いわゆるあれか、空気読めない奴か」
「でも、お婆ちゃんはボクが正しいと思うことをやればいいって」
「あのなあ。正しいことをやってれば人に嫌われないと思ってんのか?」
呆れたような顔でそんなことをボクに言ってきた。
正しいことが嫌われるならボクは一生嫌われるじゃないか。
警察官であるお父さんまで否定された気分。
「人に嫌われない方法はこの世に二つある。その二つのうちどっちかをやってればいいんだよ」
どうやらその人が言うには――
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