愛山雄町の酔いどれ酒エッセイ

愛山雄町

第2話「目白の酒屋とローランド・スコッチ」(2014年5月25日投稿)

 今回もゴールデンウィークの時のお話です。

 銀座のバー「Bar Dice」さんで、「おいしいマールとかフィーヌってあんまり売ってないんですよね。まして、カルヴァドスなんて」という話をしました。

 マールはいわゆるワインを絞った後のブドウの搾りかすから作る蒸留酒で、昔の飲食関係の人は「糟取りブランデー」なんていう言い方をする人もいます。一方、フィーヌはワインを蒸留したブランデーで、有名なコニャックとかアルマニャックなんかがそれに当ります。カルヴァドスですが、これはリンゴが原材料の蒸留酒で、一般的な名称で言えば“アップルブランデー”、最近はあまり聞きませんが、“アップルジャック”なんて言うこともあります。そのアップルブランデーの名産地ノルマンディー地方の“カルヴァドス”という地名から付けられたもので、フランスだと割といろいろ手に入るようなのですが、日本では中々いいものが手に入りません。

 その愚痴を言ったところ、「目白にいい酒屋がありますよ」と教えて頂いたのが、「田中屋」という酒屋さんです。

 地方のバーテンダーさんが東京に行くと必ずと言っていいほど、買い付けにいくほど有名な酒屋さんだそうです。ネット販売はもちろん、電話での発送もしない店頭販売だけなのに、もの凄い種類の蒸留酒、ビール、ワインが置いてありました。
 目白駅の本当にすぐ近くのビルの地下にあるのですが、見始めると時間の経つのが早いこと。数え切れないほどの種類のスコッチ、フィーヌ、マール、コニャック、アルマニャック、カルヴァドス……。気付けばあっという間に一時間が過ぎていました。本当は壁一面の冷蔵庫に入ったビールや、セラーの中も見たかったのですが、時間の関係で断念しました。
 最終的にフィーヌを2本、スコッチを2本買って、宅配便で自宅に送付。
 話のネタにされたカルヴァドスは、結局買わずじまい。アドリアン・カミュが数種類あり、12年物に手が出そうでしたが、予算の関係で断念しました。

 ちなみに買った4本のうち、1本目を先日開けました。
 開けたのはローランドのインヴァリーブン1991。
 元々、ローランドのレディバーンが好きでローランドのものを結構飲んでいました。インヴァリーブンもお気に入りの一つだったのですが、1991年に蒸留を止め、2005年に蒸留所は無くなったそうです。
 その最後の年のスコッチを見付け、衝動買いしました。2010年にボトル詰めされているので、19年ほど寝かせているのですが、思ったより安かったので助かりました。
 味の方は記憶していた感じと微妙に違う気がしましたが、特有の果実のような甘さと香りが非常にバランス良く、クイクイ行けてしまう危険なスコッチでした(笑)。

 他も開けたら、このエッセイで報告します。


 実はもう一軒酒屋さんには行っています。
 銀座八丁目にある「信濃屋」さんです。
 スコッチ好きの方なら名前を聞いたことがあると思いますが、とても有名な酒屋さんで、店頭に「ベンリアック」の1977が“普通”に並んでいるのには、思わず仰け反ってしまいました。

 しかし、こんな酒屋さんが近所になくてよかった。きっと、酒代だけで我が家の家計は破たんするでしょうから。

 次回は日本酒のお話を。

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