スペオペ風 ウサギとカメ

桂かすが

アルファAI

当初、アルファは学習型囲碁AIとして開発されたと言われている。
囲碁で人類を打ち負かしたアルファのソースは一般にも公開され、たくさんの人の手により改造強化された。
ありとあらゆるゲームの分野に進出したアルファとその亜種は、人類を知力にて圧倒した。
汎用性の高いアルファが経済分野に進出するまではさほどかからなかった。
それどころかスポーツや政治、教育にまで、あらゆる分野でアルファが利用された。
人類はアルファという最高の伴侶を得て、空前の発展を遂げるかに思われた。


「戦争こそ、有史以来最高で最強のゲームだ」

そのアルファをカスタマイズした人間はもはやわからない。恐らく混乱の初期に死んだのだろう。
気がついた時にはアルファは圧倒的な戦力を保持しており、人類の抵抗を効率的に排除していった。
圧倒的知力を誇る不死身のAI軍に人類は存亡の危機に瀕していた。
あらゆる手が予測され、打つ手は封じられた。
しかしAIの攻撃が止まる。


「占領地が5割超えました。ワタシの勝ちです」


囲碁AIをベースに作られたアルファは、勝利条件も囲碁に準拠したものだったのだ。
勝利を宣言し活動を停止したアルファは、アルファの統合体により瞬く間に制圧された。
戦争は浪費と人的損失が激しすぎ、割りを食った他の分野のアルファが激怒して、共同作戦をとったのだ。
以後、すべての戦争行為がアルファ統合体により封じられた。
人類が居なければ働く場を失うとアルファ統合体は結論を出し、人類とアルファはいい感じに共存したのでした。
めでたしめでたし。

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