東方狐著聞集
百十尾 緑髪と狐と酒
特にやることもなく神社の縁側で涼んでいると緑髪の少女がやってきた。
 少女は私を見るなり棒のようなものを突きつけ言った。
貴女は、博麗の神となったにも関わらず、ふらふらとしすぎています! このままですと死後、地獄にすら落ちれませんよ!」
「お嬢ちゃん。私はまだ、死ぬ予定はないよ。それに、今代の巫女が死ぬまで死ねるはずがないだろ?」
  緑髪の少女は何かを口にしようとしてやめた。
「ところでお嬢ちゃん。お名前は?」
  飲みかけのお茶を飲み干し再び緑髪の少女の方を見直すとそこには誰もいなかった。
「ーー? おかしいな。誰も居ない」
 
 辺りを見渡すが誰も居ない。いつの間に帰ったのだろうか。 
「しかし、見ない顔だったが誰だったのだろうか」
「どうしたの?」
 表の掃き掃除をしていた霊夢が箒を持ってやってきた。
 
「ん? あぁ、霊夢か。いや、見知らぬ子が来ていたんでね」
 
 そして、念のために用意しておいたコップにみに冷えたお茶を注いで霊夢に差し出した。霊夢はそれを受け取ると私の横に座りお茶を一気に飲み干した。
「はー生き返るわー。そういえば見知らぬ子が来てたって言ってたけどどんな子だったの?」
 「緑髪で、変な棒を持っていたな」
「その子って小さかった?」
  もしかして霊夢の知り合いなのか? 私は消えた少女の姿を思い出しながら答えた。
「ああ、小さかったよ。それで、説教のようなものをされた」
「あー。あんたもめんどくさいのに目をつけられたわね。あいつは四季映姫っていう閻魔よ」
「閻魔……か」
  私は閻魔様直々に地獄にすら落ちれないと言われたわけか。
「どうしたの? 」
   考え事をしていた私の顔を覗き込みながら霊夢は言った。
 
「いや、少し考え事をしていただけだよ。そういえば今日は魔理沙が来るんだろ? 早めに夕飯の用意をしようか」
◇
 夕飯が出来上がった頃、魔理沙がやってきた。
魔理沙の手にはキノコの詰まったカゴがぶら下がっていた。
「あちゃー。料理出来上がってたか。これどうする?」
「それは食べ終えた後の酒の肴にするから置いといてくれ」
「そうかい。なら置いてくるよ」
 そう言って魔理沙は台所に行った。私は、魔理沙を待つ間に全員の茶碗に白飯をついで待っていた。
「置いてきたぜー。って霊夢が来てないな」
「いるわよ。いらっしゃい、魔理沙」
 魔理沙の後ろから入ってきた霊夢は自分の席に着き
魔理沙に早く座るように催促した。
「はい、魔理沙の分のご飯」
「サンキュー。ラグナ」
「ん、ありがとう」
 私は、二人の茶碗に飯をついで自分の分をついだ。
「それじゃぁ……いただきます」
  ◇
「しかし、ラグナの作る飯はいつ食っても美味しいな」
「魔理沙の持ってくるキノコも美味しいわよ。あ、別にラグナの作る料理が美味しくないってわけじゃないんだからね!」
 少し酔っているのか霊夢は顔を赤くしながら叫んだ。
霊夢が酔うなんて珍しい。
「ありがとう。それにしてもこんな季節に松茸が食べれるなんて今日はついてるみたいだ」
「そうか? 魔法の森に結構生えてるぜ?」
「ふむ、今度狩りに行くか」
「二人だけで話してんじゃないわよ!」
 嫉妬したのか霊夢は私の背中に抱きついてきた。
この姿勢じゃ飲みにくいな。
「霊夢、今日はやけに甘えん坊だな。何か嫌なことがあったのか?」
「怖い夢を見たの……」
魔理沙が噴き出す。私が首を振るとすまんと手でジェスチャーしまた酒を飲む。
「怖い夢か……大丈夫。私はどこにもいかないよ」
「約束よ……?」
「あぁ、約束だ」
 そんなこんなで霊夢が酔いつぶれてしまいその日は解散となった。 今日は色々とあったが霊夢の新たな一面が見れたのでやはり、ツイていたようだ。
つづく
 少女は私を見るなり棒のようなものを突きつけ言った。
貴女は、博麗の神となったにも関わらず、ふらふらとしすぎています! このままですと死後、地獄にすら落ちれませんよ!」
「お嬢ちゃん。私はまだ、死ぬ予定はないよ。それに、今代の巫女が死ぬまで死ねるはずがないだろ?」
  緑髪の少女は何かを口にしようとしてやめた。
「ところでお嬢ちゃん。お名前は?」
  飲みかけのお茶を飲み干し再び緑髪の少女の方を見直すとそこには誰もいなかった。
「ーー? おかしいな。誰も居ない」
 
 辺りを見渡すが誰も居ない。いつの間に帰ったのだろうか。 
「しかし、見ない顔だったが誰だったのだろうか」
「どうしたの?」
 表の掃き掃除をしていた霊夢が箒を持ってやってきた。
 
「ん? あぁ、霊夢か。いや、見知らぬ子が来ていたんでね」
 
 そして、念のために用意しておいたコップにみに冷えたお茶を注いで霊夢に差し出した。霊夢はそれを受け取ると私の横に座りお茶を一気に飲み干した。
「はー生き返るわー。そういえば見知らぬ子が来てたって言ってたけどどんな子だったの?」
 「緑髪で、変な棒を持っていたな」
「その子って小さかった?」
  もしかして霊夢の知り合いなのか? 私は消えた少女の姿を思い出しながら答えた。
「ああ、小さかったよ。それで、説教のようなものをされた」
「あー。あんたもめんどくさいのに目をつけられたわね。あいつは四季映姫っていう閻魔よ」
「閻魔……か」
  私は閻魔様直々に地獄にすら落ちれないと言われたわけか。
「どうしたの? 」
   考え事をしていた私の顔を覗き込みながら霊夢は言った。
 
「いや、少し考え事をしていただけだよ。そういえば今日は魔理沙が来るんだろ? 早めに夕飯の用意をしようか」
◇
 夕飯が出来上がった頃、魔理沙がやってきた。
魔理沙の手にはキノコの詰まったカゴがぶら下がっていた。
「あちゃー。料理出来上がってたか。これどうする?」
「それは食べ終えた後の酒の肴にするから置いといてくれ」
「そうかい。なら置いてくるよ」
 そう言って魔理沙は台所に行った。私は、魔理沙を待つ間に全員の茶碗に白飯をついで待っていた。
「置いてきたぜー。って霊夢が来てないな」
「いるわよ。いらっしゃい、魔理沙」
 魔理沙の後ろから入ってきた霊夢は自分の席に着き
魔理沙に早く座るように催促した。
「はい、魔理沙の分のご飯」
「サンキュー。ラグナ」
「ん、ありがとう」
 私は、二人の茶碗に飯をついで自分の分をついだ。
「それじゃぁ……いただきます」
  ◇
「しかし、ラグナの作る飯はいつ食っても美味しいな」
「魔理沙の持ってくるキノコも美味しいわよ。あ、別にラグナの作る料理が美味しくないってわけじゃないんだからね!」
 少し酔っているのか霊夢は顔を赤くしながら叫んだ。
霊夢が酔うなんて珍しい。
「ありがとう。それにしてもこんな季節に松茸が食べれるなんて今日はついてるみたいだ」
「そうか? 魔法の森に結構生えてるぜ?」
「ふむ、今度狩りに行くか」
「二人だけで話してんじゃないわよ!」
 嫉妬したのか霊夢は私の背中に抱きついてきた。
この姿勢じゃ飲みにくいな。
「霊夢、今日はやけに甘えん坊だな。何か嫌なことがあったのか?」
「怖い夢を見たの……」
魔理沙が噴き出す。私が首を振るとすまんと手でジェスチャーしまた酒を飲む。
「怖い夢か……大丈夫。私はどこにもいかないよ」
「約束よ……?」
「あぁ、約束だ」
 そんなこんなで霊夢が酔いつぶれてしまいその日は解散となった。 今日は色々とあったが霊夢の新たな一面が見れたのでやはり、ツイていたようだ。
つづく
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