東方狐著聞集
百尾 狐と階段と隙間
狐ことラグナはおかっぱ頭の少女を抱え長い階段を上っていた。なぜ、おかっぱ頭の少女を抱えているのかは先ほどの戦闘で気絶させてしまいそのまま放置することができなかったからだ。
「ぜぇ……ぜぇ……やっと、門が見えた……」
なぜ妖獣であるラグナが疲れているのかは門の見える場所まで来るのに約八千九百六段という呆れかえるほどの段差を上ってきたからだ。普段の彼女なら余裕で上れるのだが人を抱えたまま上るのは辛いようだ。
「門までが……また長いな……」
門まで残り約千四十段といったところだろうか、ラグナにお姫様だっこされたまま目を覚まさない少女を一瞬ここに捨てていこうかと本気で悩んだ後首を振ってものすごい速度で階段を上り始めた。
途中、気絶していた少女が「うぅ……幽々子様。それはお皿です……」「私の……食べないでください」など言っていたがラグナは気づかなかった。
そしてついに。
「の、上りきった!」
うれしさのあまりお姫様だっこしていたおかっぱ頭の少女を落としてしまったが自身の尻尾でぎりぎり掬い上げることに成功した。
ラグナは誰かいないかとあたりを見回すと自分をここに連れてきたであろう犯人がによによと笑いながら近づいてきた。
「あら、遅かったわね。どこで道草売っていたの?」
「やっぱり、おまえの仕業だったか、紫」
 紫は『なんのことかしら?』とワザとらしく首をかしげたがラグナから送られる視線に耐えれなくなったのか舌をちろっと出しながら『ごめんなさぁい』とワザとらしく謝罪をした。
「で、なんで私を白玉楼なんかに連れてきたんだ?」
「あら、ここ白玉楼だってわかってたの?」
「あぁ、忘れるわけがないだろ」
それもそのはずここ白玉楼はラグナにとって人間の友達ができた場所であり良き好敵手と手合わせしてきた場所なのだから。
「あ、もしかしてこの子は春雪異変の時に咲夜と戦っていた妖夢というこか?」
「あら、もしかして忘れてたの?」
紫は笑いながら『ひどいわね~』と笑った後左手に持っていた扇子で空をなぞると尻尾で寝ていた妖夢を隙間の中に送った。
「おい、どこにやったんだ?」
「屋敷の中よ。それで妖夢はどうだった?」
「どうというと?」
ラグナが首をかしげながら紫に問うと紫は扇子で口元を隠しながら胡散臭い笑みを浮かべ
「強かったのって聞いているのよ」とラグナに答えた。
「はぁ、やっぱりお前に差し金だったか……結構強かったな、それに良い太刀筋だったよ」
「そう、さすがあの子の孫ね」
「弟子じゃなくて孫だったのか……どうりで戦い方が似ているわけだ」
「あ、孫だけど弟子でもあるわよ?」
「そうか……」
一言返すとラグナは何かを考えているのか目を瞑てしまった。
それをみた紫は
「考え事はいいけど屋敷の中に入らない? さすがに寒いわ」
「あぁ、すまん。案内してもらえるか?
「ここの住人じゃないけど……まぁいいわ」
ラグナを屋敷の中に案内するために歩き出した。
ラグナは紫の後ろをついていきながらさきほどの戦闘を思いだしていた。
つづく
「ぜぇ……ぜぇ……やっと、門が見えた……」
なぜ妖獣であるラグナが疲れているのかは門の見える場所まで来るのに約八千九百六段という呆れかえるほどの段差を上ってきたからだ。普段の彼女なら余裕で上れるのだが人を抱えたまま上るのは辛いようだ。
「門までが……また長いな……」
門まで残り約千四十段といったところだろうか、ラグナにお姫様だっこされたまま目を覚まさない少女を一瞬ここに捨てていこうかと本気で悩んだ後首を振ってものすごい速度で階段を上り始めた。
途中、気絶していた少女が「うぅ……幽々子様。それはお皿です……」「私の……食べないでください」など言っていたがラグナは気づかなかった。
そしてついに。
「の、上りきった!」
うれしさのあまりお姫様だっこしていたおかっぱ頭の少女を落としてしまったが自身の尻尾でぎりぎり掬い上げることに成功した。
ラグナは誰かいないかとあたりを見回すと自分をここに連れてきたであろう犯人がによによと笑いながら近づいてきた。
「あら、遅かったわね。どこで道草売っていたの?」
「やっぱり、おまえの仕業だったか、紫」
 紫は『なんのことかしら?』とワザとらしく首をかしげたがラグナから送られる視線に耐えれなくなったのか舌をちろっと出しながら『ごめんなさぁい』とワザとらしく謝罪をした。
「で、なんで私を白玉楼なんかに連れてきたんだ?」
「あら、ここ白玉楼だってわかってたの?」
「あぁ、忘れるわけがないだろ」
それもそのはずここ白玉楼はラグナにとって人間の友達ができた場所であり良き好敵手と手合わせしてきた場所なのだから。
「あ、もしかしてこの子は春雪異変の時に咲夜と戦っていた妖夢というこか?」
「あら、もしかして忘れてたの?」
紫は笑いながら『ひどいわね~』と笑った後左手に持っていた扇子で空をなぞると尻尾で寝ていた妖夢を隙間の中に送った。
「おい、どこにやったんだ?」
「屋敷の中よ。それで妖夢はどうだった?」
「どうというと?」
ラグナが首をかしげながら紫に問うと紫は扇子で口元を隠しながら胡散臭い笑みを浮かべ
「強かったのって聞いているのよ」とラグナに答えた。
「はぁ、やっぱりお前に差し金だったか……結構強かったな、それに良い太刀筋だったよ」
「そう、さすがあの子の孫ね」
「弟子じゃなくて孫だったのか……どうりで戦い方が似ているわけだ」
「あ、孫だけど弟子でもあるわよ?」
「そうか……」
一言返すとラグナは何かを考えているのか目を瞑てしまった。
それをみた紫は
「考え事はいいけど屋敷の中に入らない? さすがに寒いわ」
「あぁ、すまん。案内してもらえるか?
「ここの住人じゃないけど……まぁいいわ」
ラグナを屋敷の中に案内するために歩き出した。
ラグナは紫の後ろをついていきながらさきほどの戦闘を思いだしていた。
つづく
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