東方狐著聞集

稜さん@なろう)

九十三尾 狐と特製おにぎり

「朝……か? 」
いつ以来だろうか朝日が昇る前に目が醒めるのは。
うぅ、布団が温くて布団から出れない……

「なごりおしがそろそろ出るか……うぅ、寒い」
 よし、完全に目も覚めたことだ今からどうするか考えるか。ここから太陽の畑まで徒歩でいくとしたら今の時間帯だと昼くらいにつくな。飛べばあっという間だけど景色を見ながら行きたいし……よし、もう行くか。
「誰かに伝えて行ったほうがいいか? んー時間が時間だからまだ寝ているだろうし。手紙を置いていくか」


……狐作業中……

「よし、できた。後はこれを畳んだ布団の上に置いてと……よし。じゃあ行くか」

 うぅ、廊下寒いな……えーと玄関はっと……

「ん、あっちか」
 人気のない廊下は少しきみが悪いなぁ。そういえば輝夜の料理は凄まじかったな……まだ胃が甘ったるい



「よし、玄関についた。一日お邪魔しました」

「あら? どこに行くの?」
「っ!? だ、誰?」
「私よ」
 「あ、永林か……驚いたよ」
 すぅ……はぁー。よし、落ち着いた。

「永林こそ、こんな朝早くに起きてどうしたの?」
「ふふ、ラグナが部屋から動いたから気になってね。それよりもう帰るの?」
「あぁ……今日行くところが結構遠くてな、そろそろ出ないと夜になってしまうんだ」
「そう、ならこれを持って行きなさい」
「これは?」
「私特製のおにぎりよ」
「……!? 本当にか?! 何千年振りだろう永林の手作りを食べれるなんて」
「そう言ってもらえると嬉しいわ」
「本当にありがとう! それじゃあ」
「ええ、また来てちょうだい?」
「ああ、近いうちにまたお邪魔させてもらうよ」
 





   竹林の医者は狐の姿が見えなくなるまで手を振り続けていたそうな。


   

つづく

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