東方狐著聞集
閑話 七夕
ある日の幻想郷。
博麗神社になんなやかんやあって居候しているラグナは自分の背より高い竹を持って境内に突っ立ていた。
「ちょっと。あんた何してんのよ」
 すると、不審者を見るような目で博麗神社の巫女、博麗霊夢が神社の中から現れた。
「いや、今日は七夕だろ? だから迷いの竹林から一本捕ってきたんだ」
「捕ってきたぁ? それどうするのよ! 」
「飾って短冊でもつけようか?」
「あんた、子供みたいなことが好きなのね。勝手にしてちょうだい」
 そう言うと霊夢は溜め息を一つついて神社の中に戻っていった。
「さて、短冊もある竹もあるあとは何があれば面白くなるか……そうだ!」
 ラグナは不敵に笑うと手に持っていた竹を地面に突き刺し何処かに飛んで行ってしまった。
そして、時間は過ぎ夜になった。
夜、神社には溢れんばかりの妖怪が酒を飲み交わしていた。
 
「ねぇ……何これ」
 状況が理解できていない霊夢が頭を押さえながらこの状況を作り出したであろう人物に睨みつける。
「いやぁ。せっかくの七夕だから宴会でもと思ってな」
「いや、だからって地底の連中や冥界の連中を呼ぶ?!」
 「ほれ、今日は綺麗な天の川が出てるだろ?」
 「知らないわよ! はぁ……勝手にしなさいって言ったけど」
「おーい、霊夢」
 するとそこに白黒エプロンの少女が顔を赤らめ近づいてきた。
「げぇ、魔理沙。あんたもうよってるじゃない! 何飲んだらそうなるのよ!」
「はぇー? 魔理沙さんは酔ってにゃいんだぜぇ? 」
 「って、あんたこれ、ラグナの作ったやつじゃない!」
 魔理沙が持っていた酒瓶を取り上げた霊夢は銘柄をみて声を上げた。それも無理はないだろう。ラグナの作る酒は酒好きすら恐る程美味しく度数が高いからだ。
「その酒があるなら早く呼びに来なさい! 飲むわよ!」
 顔色が変わった霊夢は体を揺らされ少し顔色が青くなった魔理沙を引っ張って連れて行ってしまった。
「ふむ、一人になったか……神社の屋根で飲むか」
 一人置いてきぼりにされたラグナは酒を一本掴むとすぅーと浮かび屋根に向かって飛んだ。
「久しぶりに一人で静かに飲むな。そして、天の川を目視しながら酒を飲むなんて贅沢だ」
  
「感傷に浸りながら酒をちびちび飲む姿は美しく思う。 と私八雲紫はスキマの中で思った。っと」
「なにを言っているんだ」
 気がつくと妖怪の賢者こと八雲紫が顔を真っ赤にして真横で何か言っていた。
「いえいえ。私は酔ってないですわよ」
「いや、何も聞いてないんだが。まぁ、今日は彦星と織姫の出会える日なんだ無礼講といこうじゃないか」
 この狐も少し酔い出したようで支離滅裂になってきたようだ。
「うむ。寝よう」
ラグナはそう言うとまたふわりと浮かび神社の自分の部屋に入って寝てしまった。
 後に残されたのは飲めや歌えやの大騒ぎする妖怪と変てこりんな人間だけであったとさ。
  おわり
  地面に刺さった竹に短冊が付いていた。
「魔法使いになる。 魔理沙」
「賽銭箱にお金。霊夢」
「幽々子様の食欲を抑えて下さい。妖夢」
「お嬢様の喜ぶものが欲しい。咲夜」
「神奈子様諏訪子様と一緒に入られますように」
 いろんな者たちの願い事が書かれている。 
 どれもこれもいろんな願い事が書かれている。
そして、一番上には
「これからもみんなと一緒に入られますように。ラグナ」
おわり
博麗神社になんなやかんやあって居候しているラグナは自分の背より高い竹を持って境内に突っ立ていた。
「ちょっと。あんた何してんのよ」
 すると、不審者を見るような目で博麗神社の巫女、博麗霊夢が神社の中から現れた。
「いや、今日は七夕だろ? だから迷いの竹林から一本捕ってきたんだ」
「捕ってきたぁ? それどうするのよ! 」
「飾って短冊でもつけようか?」
「あんた、子供みたいなことが好きなのね。勝手にしてちょうだい」
 そう言うと霊夢は溜め息を一つついて神社の中に戻っていった。
「さて、短冊もある竹もあるあとは何があれば面白くなるか……そうだ!」
 ラグナは不敵に笑うと手に持っていた竹を地面に突き刺し何処かに飛んで行ってしまった。
そして、時間は過ぎ夜になった。
夜、神社には溢れんばかりの妖怪が酒を飲み交わしていた。
 
「ねぇ……何これ」
 状況が理解できていない霊夢が頭を押さえながらこの状況を作り出したであろう人物に睨みつける。
「いやぁ。せっかくの七夕だから宴会でもと思ってな」
「いや、だからって地底の連中や冥界の連中を呼ぶ?!」
 「ほれ、今日は綺麗な天の川が出てるだろ?」
 「知らないわよ! はぁ……勝手にしなさいって言ったけど」
「おーい、霊夢」
 するとそこに白黒エプロンの少女が顔を赤らめ近づいてきた。
「げぇ、魔理沙。あんたもうよってるじゃない! 何飲んだらそうなるのよ!」
「はぇー? 魔理沙さんは酔ってにゃいんだぜぇ? 」
 「って、あんたこれ、ラグナの作ったやつじゃない!」
 魔理沙が持っていた酒瓶を取り上げた霊夢は銘柄をみて声を上げた。それも無理はないだろう。ラグナの作る酒は酒好きすら恐る程美味しく度数が高いからだ。
「その酒があるなら早く呼びに来なさい! 飲むわよ!」
 顔色が変わった霊夢は体を揺らされ少し顔色が青くなった魔理沙を引っ張って連れて行ってしまった。
「ふむ、一人になったか……神社の屋根で飲むか」
 一人置いてきぼりにされたラグナは酒を一本掴むとすぅーと浮かび屋根に向かって飛んだ。
「久しぶりに一人で静かに飲むな。そして、天の川を目視しながら酒を飲むなんて贅沢だ」
  
「感傷に浸りながら酒をちびちび飲む姿は美しく思う。 と私八雲紫はスキマの中で思った。っと」
「なにを言っているんだ」
 気がつくと妖怪の賢者こと八雲紫が顔を真っ赤にして真横で何か言っていた。
「いえいえ。私は酔ってないですわよ」
「いや、何も聞いてないんだが。まぁ、今日は彦星と織姫の出会える日なんだ無礼講といこうじゃないか」
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