東方狐著聞集

稜さん@なろう)

八十六尾 紅白色の巫女さん

 〜博麗神社〜

今、博麗神社にいるんだが……肝心の霊夢が見当たらない……どこに行ったんだ?

「霊夢、いないのか?」
  返事がない……そう言えば魔理沙が
『霊夢に用があるときは賽銭箱にお金を入れると飛んでくる』と言っていたがもしかして……物は試しだ。

 チャリンと空の賽銭箱に小銭の音が虚しく響く


――――ドタドタ‼ 

 ……? なんだこの音は……

「お賽銭を入れてくれた優しい人は……って、ラグナか」
「……本当に来た⁈」  
「どうかした? お賽銭入れてくれたんだからお茶くらい出してあげるわよ」


 〜博麗神社居間〜

「はい、粗茶」
「ありがとう」
 このお茶美味いな。ふぅ〜生き返る

「それで、何の用?」
「あ、ああ」
「言わなくてもわかるわ。お母さんのことでしょ?」
「霊夢……まさか記憶が戻ったのか?」
「昨日ね。まさか、あなたがあの神社の神だったなんて……」
「すまなかった」
「謝らないで」
「お前の気がすむのなら私を消してくれ」
「そんなんじゃないわ。ただ、私の大切なことを忘れていたことが許せないだけよ」
「……」
「それて、あんたはこの事を話すために来たの?」
「ああ、そうだ。この事と私の見た夢について話に来た」
「そう、なら夢の事を話してもらえるかしら?」
「わかったよ」

  私が霊夢に夢の話、白羽の話をし終える頃には外は暗闇に飲まれていた。


「というわけだ」
「そう」
「私は帰るよ」
私が立ち上がると霊夢が何かを思いついたように言った、

「待ちなさい」
「な、なんだ?」
「今日泊まっていきなさい」
「は? どうしたんだ霊夢」
「ぉ、お母さんの話を聞かせてよ」

 私は、真っ赤な顔で恥ずかしげに頼む霊夢を見てつい笑ってしまった。

「ちょ、笑わないでよ!」
「ふふ、すまないな」
「それで、聞かせてくれるの?」
「ああ、なんでも聞いてくれ」


  その夜、私は一睡もできなかった。


つづく

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