東方狐著聞集
二十二尾 風邪ひき狐
桜鬼と戦った翌日、私は不甲斐ないことに熱を出し寝込んでしまっていた。
まぁ、無理もないだろう。あの戦いの後動けなくなってしまい地面の上で寝てしまったからだろ。
「ごほ……ごほ。うーきつい……」
「お姉さま大丈夫ですか?」
雪無には私の看病を任せっぱなしで面目ない……治ったらなにかしてあげないとな。
「ごめん……心配させちゃって。ゴホ……」
「いいえ、大丈夫ですよ。それよりお姉様こそ大丈夫ですか?」
――ガラリとラグナの寝ている部屋の戸があけられた。
……なんで、桜鬼が酒をもってこの部屋にいるんだ! と、思いだした。
ここは、桜鬼の家だったな。
「大丈夫かい? まさか、あんたが風邪をこじらせるなんてねぇ。笑えるな」
この鬼、酒を片手に笑い転げている。治ったらもう一度、退治してヤル!
しかし、なんでこの鬼はやかまし封土に元気なんだ。
「うっさい。なんでお前は……何ともないんだ。ゴホ……ゴホ」
「鬼だからね」
あぁ、そうか普通、妖怪は病気にならないのか。なら、なんで私は……だめだ、眠……たい
「すぅ。すぅ」
桜鬼shift
「あい? なんだい、寝ちまったよ」
ラグナの見舞いにきた私はラグナと軽口をたたきあっていたが、どうやらラグナは眠ってしまったようだ。
そこで私はラグナからその妹、雪夢へと標的を変えた。
「あれ? 本当ですね。んーもしかしたら妖力が減ってきているのが今回の原因かもしれませんね」
この、真っ白な少女を見たとき私は「本当にラグナの妹なのか?」と聞いてしまった。
すると、雪夢は『当り前じゃないですか。ほら、似てませんか?』と真っ白な尻尾を見せてきた。なるほど、ラグナの尻尾と……同じなのか?
まぁ、同じなのだろう。
「そういえば、気になっていたんだが。お前さん人妖大戦のときはどこにいたんだい?」
「人妖大戦ですか……まだ、生まれてもいないですね」
驚いた。ラグナとは数千歳も年が離れているのか。どうりで、妖力が若い訳だ。ラグナの妖力? そんなもの干からびた人間と同じくらいだ。
「そうかい。なら、私とラグナの因縁について聞いていくかい?」
「よろしいのですか?」
「あぁ、酒を飲みながら話してやるよ」
そういって私は盃に酒を注いだ。
まだ、夜は永いだろう。
shiftOut
何が何やら、私が目を覚ますと雪夢と桜鬼に囲まれていた。何がどうなっている?
だが、妖怪に挟まれて寝るのは悪くないな。さて、もう少し寝るとしよう。
つづく
まぁ、無理もないだろう。あの戦いの後動けなくなってしまい地面の上で寝てしまったからだろ。
「ごほ……ごほ。うーきつい……」
「お姉さま大丈夫ですか?」
雪無には私の看病を任せっぱなしで面目ない……治ったらなにかしてあげないとな。
「ごめん……心配させちゃって。ゴホ……」
「いいえ、大丈夫ですよ。それよりお姉様こそ大丈夫ですか?」
――ガラリとラグナの寝ている部屋の戸があけられた。
……なんで、桜鬼が酒をもってこの部屋にいるんだ! と、思いだした。
ここは、桜鬼の家だったな。
「大丈夫かい? まさか、あんたが風邪をこじらせるなんてねぇ。笑えるな」
この鬼、酒を片手に笑い転げている。治ったらもう一度、退治してヤル!
しかし、なんでこの鬼はやかまし封土に元気なんだ。
「うっさい。なんでお前は……何ともないんだ。ゴホ……ゴホ」
「鬼だからね」
あぁ、そうか普通、妖怪は病気にならないのか。なら、なんで私は……だめだ、眠……たい
「すぅ。すぅ」
桜鬼shift
「あい? なんだい、寝ちまったよ」
ラグナの見舞いにきた私はラグナと軽口をたたきあっていたが、どうやらラグナは眠ってしまったようだ。
そこで私はラグナからその妹、雪夢へと標的を変えた。
「あれ? 本当ですね。んーもしかしたら妖力が減ってきているのが今回の原因かもしれませんね」
この、真っ白な少女を見たとき私は「本当にラグナの妹なのか?」と聞いてしまった。
すると、雪夢は『当り前じゃないですか。ほら、似てませんか?』と真っ白な尻尾を見せてきた。なるほど、ラグナの尻尾と……同じなのか?
まぁ、同じなのだろう。
「そういえば、気になっていたんだが。お前さん人妖大戦のときはどこにいたんだい?」
「人妖大戦ですか……まだ、生まれてもいないですね」
驚いた。ラグナとは数千歳も年が離れているのか。どうりで、妖力が若い訳だ。ラグナの妖力? そんなもの干からびた人間と同じくらいだ。
「そうかい。なら、私とラグナの因縁について聞いていくかい?」
「よろしいのですか?」
「あぁ、酒を飲みながら話してやるよ」
そういって私は盃に酒を注いだ。
まだ、夜は永いだろう。
shiftOut
何が何やら、私が目を覚ますと雪夢と桜鬼に囲まれていた。何がどうなっている?
だが、妖怪に挟まれて寝るのは悪くないな。さて、もう少し寝るとしよう。
つづく
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