東方狐著聞集
閑話 私の名前は
「グガガガ」
ココハ、ここはどこだ? うぅ、暗い、寒い……もしかして、地底なのか?
大黒猫と呼ばれるようになってどのくらいの年月が過ぎたのだろう。私は元々火車という種族だったのだがいつの間にか化け猫と言われ恐れられるようになった。その時からだろうか、私に別の人格が芽生え始めたのは。
「あの、陰陽師まさか、いらない人格を封印して消してしまうとわねぇ。おかげで助かったが、妖力も封印することはないだろうよ」
しかし、この猫の姿に戻ったのはいつ以来だろうね。ん? 向こうからだれか来る?
「おや、珍しい。猫が何でこんなところにいるんだ?」
「あんたは?」
「おや、ただの猫じゃないのか、ン―その見た目からしてあんた火車だろ?」
「わかるのかい? 私は大黒猫と呼ばれていた火車だよ。あんたは?」
「私は黒谷ヤマメ。昔大暴れした土蜘蛛さ」
「あぁ、都の水に病原菌をばらまいて感染病を広めた土蜘蛛か」
「おや、私も有名になったんだねぇ。ところであんた、名前は?」
「私の名前は火焔猫燐、お燐とでも呼んでよ」
「なら、私はヤマメと呼んでくおくれ。よし、お燐、広場に行こうよ。ここのことをいろいろ教えてあげるからさ」
「あぁ、頼むよ。ヤマメ」
大黒猫、火焔猫燐の第二の妖生が今始まった。
つづく
ココハ、ここはどこだ? うぅ、暗い、寒い……もしかして、地底なのか?
大黒猫と呼ばれるようになってどのくらいの年月が過ぎたのだろう。私は元々火車という種族だったのだがいつの間にか化け猫と言われ恐れられるようになった。その時からだろうか、私に別の人格が芽生え始めたのは。
「あの、陰陽師まさか、いらない人格を封印して消してしまうとわねぇ。おかげで助かったが、妖力も封印することはないだろうよ」
しかし、この猫の姿に戻ったのはいつ以来だろうね。ん? 向こうからだれか来る?
「おや、珍しい。猫が何でこんなところにいるんだ?」
「あんたは?」
「おや、ただの猫じゃないのか、ン―その見た目からしてあんた火車だろ?」
「わかるのかい? 私は大黒猫と呼ばれていた火車だよ。あんたは?」
「私は黒谷ヤマメ。昔大暴れした土蜘蛛さ」
「あぁ、都の水に病原菌をばらまいて感染病を広めた土蜘蛛か」
「おや、私も有名になったんだねぇ。ところであんた、名前は?」
「私の名前は火焔猫燐、お燐とでも呼んでよ」
「なら、私はヤマメと呼んでくおくれ。よし、お燐、広場に行こうよ。ここのことをいろいろ教えてあげるからさ」
「あぁ、頼むよ。ヤマメ」
大黒猫、火焔猫燐の第二の妖生が今始まった。
つづく
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