東方狐著聞集
十尾 隙間と雪と狐
守矢神社から旅立ち早くも二週間が過ぎていた。
そ私は現在進行形で困惑していた。
なぜ困惑しているかと言うとそれは、二日前に遡る。
~回想~
それは、いつものように野宿をしており寝る準備をしている時だった。そして、いざ寝ようとしたときに何処からか一枚の紙が落ちてきたのだ。それも、私宛に。
内容は『今すぐ帰ってくるように』だ。差出人不明。最初はうちの巫女さんかと思ったが手紙を瞬間移動させる能力は持っていない。なら、だれが? と悩んでいるとまた紙がおいてあった。その紙を見てみると『手紙 母より』と綺麗な字で書かれていた。差出人が分かってすっきりした私は再度寝ようとしてふと思った。『あれ? そういえば私の生まれ育った山ってどこだろう』と。
そして、私は二日間その場から動けずにいた。
~回想END~
「さて、どうするか」
 ……? 妖気? いったい何処から? 
「私が送って差し上げましょうか?」
「なっ⁈ いつの間に?!」
 気づくと私の後ろに派手な紫色の服を着た少女いや女性が立っていた。
「初めましてラグナさん。私は八雲紫と申しますわ。以後お見知りを」
「八雲とやら聞かせてもらおうか。なぜ私の名前を知っている? 答えてもらうぞ」
そういって私は霊力で作り出した剣を八雲の首筋に当てた。
「あらあら、怖いですわ」
「真面目に答えろ」
この妖怪怖がった振りをして平然としている。妖力も隠しているようだがおそらく大妖怪クラスだろう。能力次第では負けるだろうな。
「貴女のお母さまから頼まれたんですわ」
「それは本当なんだな?」
「えぇ、本当ですわよ。それに嘘をつく意味がない」
嘘は言っていないようだな。ならあの手紙もこの妖怪の仕業か。
「すまない」
私はどうやら変な勘違いをしていたようだ。首筋に当ていた剣を消して八雲に謝罪をした。
「お気になさらず。では、参りましょうか」
「まて、どうやって行くんだ?」
「それはこうやって」
八雲は右手に持っていた扇子を振るうとリボンの付いた不気味な穴が空中に開いた。
「これはスキマと言って私の能力で作ったものですわよ」
「能力?」
「えぇ、境界を操る程度の能力ですわ」
「そのスキマは境界を操って育った山に繋がっていると言った訳か」
「ご名答。では参りましょう」
――隙間の中の目玉が入って来た二人をギョッと見つめる。
「出口か」
あまりいい空間じゃないな。ただ昔どこかで見たことのあるような……ッ頭が
――隙間をでるとそこには懐かしい姿があった。
~??山~
「ついたのか?」
隙間を出ると同時に頭の痛みは消えた。
「おおやっと来たか。ラグナ」
そして私の前には巨大な狐がいた。なんかデジャヴだな。
「お母さま。なぜ私の名前を知っているのですか?」
「ホッホホホホ。名前ぐらい予知できるわ」
「そうでしたか。お母さま。ラグナ、ただいま帰ってきました」
「うむ、よくぞ無事に成長したなラグナ。お主はもう一人前じゃ」
「ありがとうございます。それでなぜ、私を呼び戻したのですか?」
そう、旅を中断してまで帰ってこさせるなんて何かあったんだろ。
「お前を呼んだ理由はお前の妹に合わせるためじゃ」
「妹?」
何もなかったようだ。妹に合わせるためだったのか。
――空気になりかけていた紫が動きを見せた。
「そろそろお暇させてもらいますわね。それじゃ天狐、ラグナまた会いましょう」
「送ってくれてありがとう」
「紫、助かったぞ。またいつでも来るがいい」」
「それでは」
――そのまま倒れるかのように自身を隙間に飲ませ消えた。
行ったか。話を戻すか。
「それで、お母さま。妹とやらは?」
「そうじゃったのう。いま呼ぶからまっとくれ。雪夢(ゆきむ! でてくるのじゃ」
――夏だというのに雪が降り始め。あたり一面が真っ白になった。雪が止むとそこには
雪と同じ白い髪の毛に白い肌そして白い尻尾を持った少女が立っていた。
「この子が?」
「そうじゃお前の妹の雪夢じゃ」
この子はこの若さで紫と同じかそれ以上の妖力を持っているみたいだ。ただ、制御ができていないようで無駄な妖力があふれている。
「貴女が私のお姉さま?」
しかし、この値踏みをするような目はやめてほしい。月の太った貴族にみられている気分だ。
「そうなるな。ラグナだ」
「雪夢だよ。ねぇ、お姉さまはどんな能力を持っているの?私は雪を操る程度の能力だよ」
この子は自分の能力に絶対的な自信を持っているみたいだな。だが、自分の力に自信を持つのはいいがそれを過信しすぎるとあまりいいとは言えないな。
「残念だが、私は能力がないんだ」
私はこの後の彼女の言葉に耳を疑った。
「えーお母様の子なのに? ただの出来損ないじゃん、妖力も全くないし」
なんだ? このクソガキは……いやまてこの子は生まれてまだ間もないんだ。
言葉をあまり知らないんだろう。だろう?
「……霊力、神力も使えるぞ?」
「はぁ……バカみたいな嘘付かないでよ。バカに見えるよ出来損ないのお・姉・さ・ま?」
あ、もう無理かもしれない。
「そう思うなら戦って見るがよい」
――二人を見かねた天狐が一つの案を提案した。
「えぇー下手したらお姉様が死んじゃうよ? でも、お母様が言うなら。いいよ戦ってあげる。先にどうぞ」
「そうか、一発で落ちるなよ?
消し飛ばさないように加減はして。全力で殴る!
「バカにしないでもらますかぁ? できそこ……ガフッ?!」
――妖力で強化された拳が雪夢の腹を打ち抜いた。
「誰が出来損ないだって?」
「ゲホ……はぁ……はぁ……お前……だ! 『雪だるま爆弾』 」
――――雪だるまのような形をした弾幕が無数に降り注ぎ爆ぜた。
「効くか、そんな弱い攻撃じゃ傷にすらならないな」
数で攻めるか。合格だが、私にしてみればそよ風に過ぎないな。
「なんで生きているの?! あれは私の最高傑作なのに!」
「それはお前が弱いからだ。お前が力を過信しすぎているからだ。終わりにしよう。『妖力全開放』」
――隠していた尻尾が増え妖力が解放される。
今の私は九つの尻尾をぶら下げている。この尻尾一尾一尾が重いからあまり好きになれないな。
尻尾だけじゃないぞ? 体の周りには黒い靄、妖気を纏っている。
ちなみに全部私の妖力だ。
「オカシイよ……なんで全然なかった妖力が……増えたの!?」
「終わりだ。妖記『幻想日記』
――紫色の大小さまざまな弾幕が雪夢を飲み込んだ。
「嘘だぁ! 私が負けるなんて!? きゃああああああ!?」
つづく
そ私は現在進行形で困惑していた。
なぜ困惑しているかと言うとそれは、二日前に遡る。
~回想~
それは、いつものように野宿をしており寝る準備をしている時だった。そして、いざ寝ようとしたときに何処からか一枚の紙が落ちてきたのだ。それも、私宛に。
内容は『今すぐ帰ってくるように』だ。差出人不明。最初はうちの巫女さんかと思ったが手紙を瞬間移動させる能力は持っていない。なら、だれが? と悩んでいるとまた紙がおいてあった。その紙を見てみると『手紙 母より』と綺麗な字で書かれていた。差出人が分かってすっきりした私は再度寝ようとしてふと思った。『あれ? そういえば私の生まれ育った山ってどこだろう』と。
そして、私は二日間その場から動けずにいた。
~回想END~
「さて、どうするか」
 ……? 妖気? いったい何処から? 
「私が送って差し上げましょうか?」
「なっ⁈ いつの間に?!」
 気づくと私の後ろに派手な紫色の服を着た少女いや女性が立っていた。
「初めましてラグナさん。私は八雲紫と申しますわ。以後お見知りを」
「八雲とやら聞かせてもらおうか。なぜ私の名前を知っている? 答えてもらうぞ」
そういって私は霊力で作り出した剣を八雲の首筋に当てた。
「あらあら、怖いですわ」
「真面目に答えろ」
この妖怪怖がった振りをして平然としている。妖力も隠しているようだがおそらく大妖怪クラスだろう。能力次第では負けるだろうな。
「貴女のお母さまから頼まれたんですわ」
「それは本当なんだな?」
「えぇ、本当ですわよ。それに嘘をつく意味がない」
嘘は言っていないようだな。ならあの手紙もこの妖怪の仕業か。
「すまない」
私はどうやら変な勘違いをしていたようだ。首筋に当ていた剣を消して八雲に謝罪をした。
「お気になさらず。では、参りましょうか」
「まて、どうやって行くんだ?」
「それはこうやって」
八雲は右手に持っていた扇子を振るうとリボンの付いた不気味な穴が空中に開いた。
「これはスキマと言って私の能力で作ったものですわよ」
「能力?」
「えぇ、境界を操る程度の能力ですわ」
「そのスキマは境界を操って育った山に繋がっていると言った訳か」
「ご名答。では参りましょう」
――隙間の中の目玉が入って来た二人をギョッと見つめる。
「出口か」
あまりいい空間じゃないな。ただ昔どこかで見たことのあるような……ッ頭が
――隙間をでるとそこには懐かしい姿があった。
~??山~
「ついたのか?」
隙間を出ると同時に頭の痛みは消えた。
「おおやっと来たか。ラグナ」
そして私の前には巨大な狐がいた。なんかデジャヴだな。
「お母さま。なぜ私の名前を知っているのですか?」
「ホッホホホホ。名前ぐらい予知できるわ」
「そうでしたか。お母さま。ラグナ、ただいま帰ってきました」
「うむ、よくぞ無事に成長したなラグナ。お主はもう一人前じゃ」
「ありがとうございます。それでなぜ、私を呼び戻したのですか?」
そう、旅を中断してまで帰ってこさせるなんて何かあったんだろ。
「お前を呼んだ理由はお前の妹に合わせるためじゃ」
「妹?」
何もなかったようだ。妹に合わせるためだったのか。
――空気になりかけていた紫が動きを見せた。
「そろそろお暇させてもらいますわね。それじゃ天狐、ラグナまた会いましょう」
「送ってくれてありがとう」
「紫、助かったぞ。またいつでも来るがいい」」
「それでは」
――そのまま倒れるかのように自身を隙間に飲ませ消えた。
行ったか。話を戻すか。
「それで、お母さま。妹とやらは?」
「そうじゃったのう。いま呼ぶからまっとくれ。雪夢(ゆきむ! でてくるのじゃ」
――夏だというのに雪が降り始め。あたり一面が真っ白になった。雪が止むとそこには
雪と同じ白い髪の毛に白い肌そして白い尻尾を持った少女が立っていた。
「この子が?」
「そうじゃお前の妹の雪夢じゃ」
この子はこの若さで紫と同じかそれ以上の妖力を持っているみたいだ。ただ、制御ができていないようで無駄な妖力があふれている。
「貴女が私のお姉さま?」
しかし、この値踏みをするような目はやめてほしい。月の太った貴族にみられている気分だ。
「そうなるな。ラグナだ」
「雪夢だよ。ねぇ、お姉さまはどんな能力を持っているの?私は雪を操る程度の能力だよ」
この子は自分の能力に絶対的な自信を持っているみたいだな。だが、自分の力に自信を持つのはいいがそれを過信しすぎるとあまりいいとは言えないな。
「残念だが、私は能力がないんだ」
私はこの後の彼女の言葉に耳を疑った。
「えーお母様の子なのに? ただの出来損ないじゃん、妖力も全くないし」
なんだ? このクソガキは……いやまてこの子は生まれてまだ間もないんだ。
言葉をあまり知らないんだろう。だろう?
「……霊力、神力も使えるぞ?」
「はぁ……バカみたいな嘘付かないでよ。バカに見えるよ出来損ないのお・姉・さ・ま?」
あ、もう無理かもしれない。
「そう思うなら戦って見るがよい」
――二人を見かねた天狐が一つの案を提案した。
「えぇー下手したらお姉様が死んじゃうよ? でも、お母様が言うなら。いいよ戦ってあげる。先にどうぞ」
「そうか、一発で落ちるなよ?
消し飛ばさないように加減はして。全力で殴る!
「バカにしないでもらますかぁ? できそこ……ガフッ?!」
――妖力で強化された拳が雪夢の腹を打ち抜いた。
「誰が出来損ないだって?」
「ゲホ……はぁ……はぁ……お前……だ! 『雪だるま爆弾』 」
――――雪だるまのような形をした弾幕が無数に降り注ぎ爆ぜた。
「効くか、そんな弱い攻撃じゃ傷にすらならないな」
数で攻めるか。合格だが、私にしてみればそよ風に過ぎないな。
「なんで生きているの?! あれは私の最高傑作なのに!」
「それはお前が弱いからだ。お前が力を過信しすぎているからだ。終わりにしよう。『妖力全開放』」
――隠していた尻尾が増え妖力が解放される。
今の私は九つの尻尾をぶら下げている。この尻尾一尾一尾が重いからあまり好きになれないな。
尻尾だけじゃないぞ? 体の周りには黒い靄、妖気を纏っている。
ちなみに全部私の妖力だ。
「オカシイよ……なんで全然なかった妖力が……増えたの!?」
「終わりだ。妖記『幻想日記』
――紫色の大小さまざまな弾幕が雪夢を飲み込んだ。
「嘘だぁ! 私が負けるなんて!? きゃああああああ!?」
つづく
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