僕と狼姉様の十五夜幻想物語 ー温泉旅館から始まる少し破廉恥な非日常ー
19節ーお風呂上がりー
逃げようとする蛇姫をひっ捕え、恐ろしく冷たい笑みを浮かべた九尾狐に表情を強張らせ、どこか助けを求めるような目を銀露に向けたが……。
「いい機会じゃ。ようく灸を据えてもらうとよい」
情けの一つもかけてもらえず、むしろ仕置を肯定するような言葉をかけられ……。
「わ……わっちゃあ痛いのは嫌でありんす」
「大丈夫ですよ、すぐに嫌じゃなくなりますので」
「わっちゃあなにをされるのかやっ!!」
……——。
そろそろのぼせてしまいそうだったから、僕は汰鞠と子鞠と一緒に湯からあがって着替えて大きな切り株の椅子に座って銀露たちを待つことに。
汰鞠は僕の隣に座って、子鞠は僕の膝の上。
子鞠の少しクセのある髪の水気を、タオルを使って取って乾かしてあげてるとこ。
「んー……」
「はい、できたよ子鞠。ちょっと乾くとふわふわになったねー!
「ふわわ……」
子鞠の髪はほんとにふわふわで触ってると気持ち良いなぁ。
わしゃわしゃしてあげると子鞠の尻尾が嬉しそうに揺れて、隣の子鞠がその尻尾をそっと手で押さえた。
「子鞠、兄様のお顔に当たっていますよ」
「あっ……ごめんなさい、あにさま」
「いいよいいよっ。全然痛くないから!」
尻尾が顔に当たってるからといってなんの問題もないし、むしろ不破くすぐったくて心地いい。とっさの時の銀露の尻尾での一撃は別だけど。あれは痛い。
「やあやあ千草君。ご無事で何よりです。最後までお助けできなくてもうしわけねーですよ」
「いえ、大丈夫でした。銀露も来てくれましたし……」
もはやいつもしていた狐面で顔を隠すこともしなくなった九十九生徒会長。
いかにもお風呂上がりだという艶やかな金髪と、大きな狐耳、そして仕立てのいい朱色の着物。
そして何より、後ろに見える九本の大きな尻尾!
九尾狐が九尾である所以であり、その力の強さを示す部分はすっかり乾いてありありともふらせオーラを放ってる。
僕がこういうのもなんだけど、九十九さんは銀と黒の銀露とは対照的にとんでもなく派手な神様なんだよね。
「わしがついておる限りうぬの助けなぞいらぬわ」
「ほお、よく言いやがりましたね! 私が千草君を保護しなければここの遊女たちの餌食になっていたところだというのに!」
「喧嘩するのはいいけど……その前になんで蛇姫様そんな涙目で震えてるのか教えて」
銀露の着物を掴んで離れようとしない蛇姫様は何があったのか涙を目一杯に溜めて震えてる。
「こやつの仕置を受けての。反省中じゃ」
「もう二度とこんなことをしないよう躾けておきましたので、これからは安心ですよ、千草君」
「な……何されたの蛇姫様……」
「わっちの口ではとても言えぬ……」
「なんでそこで赤くなるの。ねえなにされたの、千草気になっちゃう」
「いい機会じゃ。ようく灸を据えてもらうとよい」
情けの一つもかけてもらえず、むしろ仕置を肯定するような言葉をかけられ……。
「わ……わっちゃあ痛いのは嫌でありんす」
「大丈夫ですよ、すぐに嫌じゃなくなりますので」
「わっちゃあなにをされるのかやっ!!」
……——。
そろそろのぼせてしまいそうだったから、僕は汰鞠と子鞠と一緒に湯からあがって着替えて大きな切り株の椅子に座って銀露たちを待つことに。
汰鞠は僕の隣に座って、子鞠は僕の膝の上。
子鞠の少しクセのある髪の水気を、タオルを使って取って乾かしてあげてるとこ。
「んー……」
「はい、できたよ子鞠。ちょっと乾くとふわふわになったねー!
「ふわわ……」
子鞠の髪はほんとにふわふわで触ってると気持ち良いなぁ。
わしゃわしゃしてあげると子鞠の尻尾が嬉しそうに揺れて、隣の子鞠がその尻尾をそっと手で押さえた。
「子鞠、兄様のお顔に当たっていますよ」
「あっ……ごめんなさい、あにさま」
「いいよいいよっ。全然痛くないから!」
尻尾が顔に当たってるからといってなんの問題もないし、むしろ不破くすぐったくて心地いい。とっさの時の銀露の尻尾での一撃は別だけど。あれは痛い。
「やあやあ千草君。ご無事で何よりです。最後までお助けできなくてもうしわけねーですよ」
「いえ、大丈夫でした。銀露も来てくれましたし……」
もはやいつもしていた狐面で顔を隠すこともしなくなった九十九生徒会長。
いかにもお風呂上がりだという艶やかな金髪と、大きな狐耳、そして仕立てのいい朱色の着物。
そして何より、後ろに見える九本の大きな尻尾!
九尾狐が九尾である所以であり、その力の強さを示す部分はすっかり乾いてありありともふらせオーラを放ってる。
僕がこういうのもなんだけど、九十九さんは銀と黒の銀露とは対照的にとんでもなく派手な神様なんだよね。
「わしがついておる限りうぬの助けなぞいらぬわ」
「ほお、よく言いやがりましたね! 私が千草君を保護しなければここの遊女たちの餌食になっていたところだというのに!」
「喧嘩するのはいいけど……その前になんで蛇姫様そんな涙目で震えてるのか教えて」
銀露の着物を掴んで離れようとしない蛇姫様は何があったのか涙を目一杯に溜めて震えてる。
「こやつの仕置を受けての。反省中じゃ」
「もう二度とこんなことをしないよう躾けておきましたので、これからは安心ですよ、千草君」
「な……何されたの蛇姫様……」
「わっちの口ではとても言えぬ……」
「なんでそこで赤くなるの。ねえなにされたの、千草気になっちゃう」
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