高校生は蛇になる

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76話 魔王ノ使命

「何を話していたのだ?」

 何を話していたと言われても。

「リリアを配下にするための交渉だ」

「なぜだ、なぜリリアを配下にする必要がある?」

 なぜと言われても。

「リリアが慈愛魔王だから」

「なぜそれを。私もさっき教えてもらったばかりだと言うのに」

 予想してたけど面倒くさい。

「それを知れるスキルがあるんだよ」

「むぅ、お前、いや、お前達は一体何者なのだ」

「俺とフィートのことか?俺達は、使命を果たそうとするただの魔王だよ」

「使命か、その使命を聞かせてもらってもいいか?」

 どうしようか、使命が2つ、願いが1つ。
……あの使命だけ教えるか。

「お前は知ってるか?全ての魔王に課せられた使命を」

 それっぽく言ってみた。

「なに?」

 お、食いついてる食いついてる。

「そもそもこの世界の魔王は神の1柱、邪神によって生み出された。その目的は何だと思う?自分が死ぬためだ。生きすぎたせいで死にたくなってしまった。俺は哀れな末路だと思うよ」

「……つまりそれが我々魔王に課せられた使命だと。邪神がどれ程生きてきたのかは知らないが、少なくとも私がそう思ったことはない。だが、お前はどうしてその魔王を配下にするのだ?」

「俺が魔神になるための条件だからだ」

「魔神になるために魔王の力を欲するか。それ以上の力は必要ないと思うのだがな」

「邪神殺すために全て消したら意味無いだろ」

「それもそうか」

「それよりもそろそろ戻るぞ」

「そうだな」

 よし、使命1つ分の説明で済んだ。

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