高校生は蛇になる

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69話 守護ノ心情

 配下だと言うフェニックスを鎮め、再びダンジョンを潜って来るカヴァタを見ながら、クリスタは考えていた。

「配下があのようなことをしても許す寛大な心、力だけでなく主としての素質も有る。……心、か」

 私に名前を、名前だけでなく守る意思、今の心を与えてくれたリリアと言う妖精。無事だろうか?

 もし無事なら、再び会いたい。会って、感謝の気持ちを伝えたい。
 リリアは私の恩人だ。彼女と会っていなければ今の私はいないだろう。

「ただいま。さて、また戦ってもあまり意味は無いと思うが、どうする?配下になるか?」

 考えているとカヴァタが戻ってきた。

 たしかに勝てない。だが、それだけではな。

「私の魔法の全てが通用しない、どうやっても勝てないだろうな。……条件が3つ有る。1つは私を力で屈する。これはもういい、お前には勝てない。2つ目は、お前の配下になっても私をダンジョンに置いていくこと。最後の1つは、……リリアと言う妖精に会わせてくれ」

 3つ目の条件は外せない。この期を逃せば2度と会うことはないだろう。

「リリアって、誰だ?」

「私も詳しくは分からない。だが、私に守る意思と名前を与えてくれた妖精だ」

「とりあえず探してみる」

 探す?どうやって?
……何かしている様子は無いじゃないか。

「……探しに行くのではないのか?」

 と言っても何もしようとしない。

「もっと特徴絞れないか?」

「特徴?たしか黄色に透き通った羽だったような」

「もっと絞れる特徴ない?」

 もっと絞れる特徴?

「他はこの辺に住んでるとしか……」

 特徴をばかり聞いて、何がしたいのだ?

「よし、ついてこい」

 は?

「見つけたのか?だが動いていないよな?」

「スキルで見つけた。早く行くぞ」

「わ、分かった」

 スキルでそのような物が……。
やはり未知数の力を、それも大量に隠し持っている。

 そして、私は久しぶりに外へ向かった。

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