高校生は蛇になる

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65話 守護ノ現在 意地

「誰だ」

 それが私の第一声だった。

「カヴァタだ。他に名乗るとしたら技能魔王になるな」

 蛇改め技能魔王カヴァタはそう名乗った。
 技能魔王か。ただの魔王なのにダンジョンによる最高級の解析から隠蔽するとは、何か別の力を隠しているな。

「ただの魔王にしてはかなりの力を持つようだが?」

「気にするな。と言うより気にしないでくれ」

 むぅ、流石に教えてはくれぬか。
だがこれでカヴァタが何か別の力を隠し持っていることが確定した。

「……まあいい。私はクリスタだ。それよりもなぜここに来た?何のようだ?」

 私は単刀直入に疑問をぶつけた。
 そう言えばこのクリスタと言う名はリリアと言う妖精に付けて貰ったのだったな。
……懐かしい。また会って守ってやりたいものだ。

「単刀直入に言おう。配下になれ」

 カヴァタからも単刀直入に用件をぶつけられた。
 配下になれ、か。
確かに魔王にとってダンジョンマスターであるこの私を配下に付けることは大きな得になるだろう。
 では私に得は有るのか?

「なぜだ?お前の配下になって何か良いことでも有るのか?」

 これが私の疑問だ。
 私に得が無いのなら配下になどなる気は無い。

「そうだな。俺の庇護下になることで、絶対に守ってやる。ってのはどうだ?」

 守護魔神である、この私を、守る?

「魔王が魔神を、それも守護魔神を脅かす程の相手から守れるのか?」

「ああ、守れる。そう断言できる」

 そこまで断言するか。
 ただの魔王にここまで断言されると守護魔神としてプライドが傷付く。

 恐らく強大な力の持ち主であろうことは理解している。

「ふっ、面白い。ならばそれが出来ることを証明してみよ」

 だが、見てみなければ、そして実践して見なければ分からないことも有る。
であるのなら――

「カヴァタよ。私と勝負しろ」

 その力を私に見せてみよ。
力で、私を屈伏させてみよ、カヴァタ!

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