高校生は蛇になる

sterl

147話 深奥への道

「よっと。ここに来るのは四年ぶりか」

 青色の壁に囲まれた空間、その中心に一つの影が降り立った。どこにでも居るような、整った顔付きの青年だ。

「邪神の力が消えてるけど、カヴァタが消したんだろうな」

 先程までここに居た蛇の事を言っているのだろう。青年は、辺りを見渡し、言った。

 やがて、何かを見付けたのだろう。蛇が現れた銀の渦が在った場所に駆け寄った。

「ここから下に行ったのか、もっと楽に行く方法が有るのに。まあ知らなくても仕方無いか。俺がそれを見付けたのだって、偶々だったしな」

 そこには、底の見えない深い穴が空いていた。

「まあ、俺は俺で下に行くか」

 青年は、何の変哲も無い、青く深い色の壁の前に移動した。

「確かこの辺だったはず。……よし、ビンゴ」

 青年が壁を押すと、壁が1m程凹んだ。凹んだ壁の下には、地下へと続く階段が在った。壁の所々に松明が有り、どのような原理で燃え続けているのかは解らないが、階段を明るく照らしている。

「見付けたとしてもカヴァタはここを通れないか」

 そう呟きながら、青年は階段を降りていった。

 やがて、青年の姿が見えなくなると、壁が迫り上がり、元の状態に戻っていた。

「高校生は蛇になる」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く