この夏俺は世界を守る巫女に生まれ変わりました
第15話水の姫巫女求めて三千里
翌日、結局昨日目覚めることがなかった少女が目を覚ましたという事で、セリーナと共に彼女が眠っていた部屋へ。
「あなた達は誰?」
俺達が入ると、少女はベッドから降りていて、ずっと窓の外を眺めていた。俺達が入ってきても振り向きもせず、一言だけそう発した。
「えっと一応、私達が倒れていたあなたを助けたのですけど」
「そう」
「そうって、助けてもらってお礼の一つもないのですか」
「だって頼んでないし、別にあの場で放置していても構わない。あなた達が勝手に助けて、私が勝手に助けられた。これのどこにお礼をいう理由があるの?」
「そうは言っても、放っておきかわけにはいかなかったです。あの場で何か起きてしまってからでは手遅れになっても意味がないのですら」
「だからそれが余計な迷惑なの。まあ、そこまで言うなら一応お礼は言っておくけど、私もう出て行くから」
ようやくこちらに顔を向けたかと思うと、そのまま俺たちを無視して部屋から立ち去ろうとする。だがそれを止めたのは、セリーナだった。
「待ってください。いくらなんでも身勝手すぎますよ」
「だからあなた達には関係ないって言っているでしょ。私はこれから向かわなければならない所があるから。放って置いて」
「そこまで言うのでしたら、私達が協力しますよ。その向かわなければならない場所へ連れて行ってあげますから、それまではここにいてもらえないでしょうか?」
意地でも引こうとしない少女に対して、思わぬ提案をするセリーナ。突然そんな事を言い出すと言うことは、何か考えがあるのだろうか?
「な、何をいきなり言い出すのよ! 別に協力してほしいなんて一度も言ってない!」
「ではどうして用もないのに、あんな場所で倒れていたのですか?」
「そ、それは……」
確かにそれは不自然な点だった。そもそも彼女が倒れていたのは城のほぼ目の前にある大広場。その周りには特に目立つ建物はなく、そこに来る者は大概大広場で他愛のない時間を過ごすか、ウォルティア城に用がある者の二択くらいしか浮かばない。
彼女はその広場で倒れていたということは、そのどちらかの選択になる訳だが、明らかに彼女はここの人間のようには思えない。更に周りの人から話を聞いた所、彼女はどこかへ向かっている途中だったらしい。そこから導き出される結論は一つ。
「もしかしてあなた、このウォルティア城に用があってここまで来たのじゃないですか?」
そうだとしたら何というツンデレ少女だろうか。ここまで自分の本心に素直じゃない子は色々と扱いが面倒臭いわけで……。
「べ、別に用があったわけじゃないのよ。ただ新しく誕生した水の姫巫女に会ってみたかっただけで……」
「結局は用事があったんですね」
結論まで持っていくのがすごく面倒臭い。ということはもしかして、彼女が向かいたい場所って……。
「ねえセリーナさん、もしかしてと思うのですけど……」
「私も同じこと考えていました。もしかして彼女が向かいたい場所って……」
「な、何よ! ここに水の姫巫女にいるなら早く出しなさいよ! いないなら今度こそ本当に帰らせてもらうから!」
「どうやらここらしいですね」
「しかも巫女様に会いに来たという」
何でこんな簡単な答えを出すのに時間がかかってしまったのだろうか?
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
「え? じゃあこの人が水の姫巫女なの?!」
「はい。そうですけど、この格好を見て気がつきませんでしたか?」
「ごめんなさい! 私突然倒れてから、頭が混乱してて。私コロナって言うの。よろしく水の姫巫女さん」
「よ、よろしくお願いします」
先程までの態度から一変して、デレの態度になったコロナという少女。向日葵の顔と本当に似ているせいか、まるで向日葵がツンデレになった気分だ。まあ本人は決してツンデレではなかったけど。
そんな彼女は、次に更なる衝撃発言をする。
「わあ、会えてよかった。一週間頑張って歩いてここまで来た甲斐があった」
「い、一週間」
「歩いてきた?!」
この俺、じゃなくてミスティアに会いにか?
「で、でもまだ一週間前では私は誕生していませんよ?」
「水の姫巫女の儀式をするって情報を少し前から聞いていたの。時期的にもそろそろかと思っていたから、すごく嬉しい」
「じ、時期的とかあったんですか?」
「はい。先代の巫女様がお亡くなりになられてから、半年以内の満月が水面を照らす時間に次なる巫女を生み出さなければならないという条件があるのです」
「それでその条件があったのが」
「四日前ということですか」
て、コロナはそのタイミングに合うようにわざわざ一週間かけてここまで歩いてきたという事か。それは倒れるよな。
(誰かに会いたくてわざわざ長い道のりを歩いて探しに向かう。昔のアニメにそんなのあったな)
まさに『水の姫巫女求めて三千里』というやつか。
「あー!」
「どうしたのですか? 急に声を出して」
「帰りどうしよう」
「あっ……」
確かに彼女はここまで歩いて来たのだから、当然帰りも歩いて帰らなければならない。というかそこまで考えていなかったのか?
「もう、仕方ないですね。すぐにとはいきませんが、帰りは私達が送っていってあげますよ」
「え? 本当?」
そんな困っているコロナに対して手を差し伸べたのはやはりセリーナだった。
「はい。一週間歩いて来たとなるとかなり時間が必要かと思いますので、出発には多少は時間がかかりますけど、大丈夫ですか?」
「勿論大丈夫。ありがとう巫女様」
「巫女は私ではないですけどね」
ということで俺達はしばらくの間、責任を持って彼女を預かることになったのであった。それにしても、
(本当向日葵にそっくりだな)
「あなた達は誰?」
俺達が入ると、少女はベッドから降りていて、ずっと窓の外を眺めていた。俺達が入ってきても振り向きもせず、一言だけそう発した。
「えっと一応、私達が倒れていたあなたを助けたのですけど」
「そう」
「そうって、助けてもらってお礼の一つもないのですか」
「だって頼んでないし、別にあの場で放置していても構わない。あなた達が勝手に助けて、私が勝手に助けられた。これのどこにお礼をいう理由があるの?」
「そうは言っても、放っておきかわけにはいかなかったです。あの場で何か起きてしまってからでは手遅れになっても意味がないのですら」
「だからそれが余計な迷惑なの。まあ、そこまで言うなら一応お礼は言っておくけど、私もう出て行くから」
ようやくこちらに顔を向けたかと思うと、そのまま俺たちを無視して部屋から立ち去ろうとする。だがそれを止めたのは、セリーナだった。
「待ってください。いくらなんでも身勝手すぎますよ」
「だからあなた達には関係ないって言っているでしょ。私はこれから向かわなければならない所があるから。放って置いて」
「そこまで言うのでしたら、私達が協力しますよ。その向かわなければならない場所へ連れて行ってあげますから、それまではここにいてもらえないでしょうか?」
意地でも引こうとしない少女に対して、思わぬ提案をするセリーナ。突然そんな事を言い出すと言うことは、何か考えがあるのだろうか?
「な、何をいきなり言い出すのよ! 別に協力してほしいなんて一度も言ってない!」
「ではどうして用もないのに、あんな場所で倒れていたのですか?」
「そ、それは……」
確かにそれは不自然な点だった。そもそも彼女が倒れていたのは城のほぼ目の前にある大広場。その周りには特に目立つ建物はなく、そこに来る者は大概大広場で他愛のない時間を過ごすか、ウォルティア城に用がある者の二択くらいしか浮かばない。
彼女はその広場で倒れていたということは、そのどちらかの選択になる訳だが、明らかに彼女はここの人間のようには思えない。更に周りの人から話を聞いた所、彼女はどこかへ向かっている途中だったらしい。そこから導き出される結論は一つ。
「もしかしてあなた、このウォルティア城に用があってここまで来たのじゃないですか?」
そうだとしたら何というツンデレ少女だろうか。ここまで自分の本心に素直じゃない子は色々と扱いが面倒臭いわけで……。
「べ、別に用があったわけじゃないのよ。ただ新しく誕生した水の姫巫女に会ってみたかっただけで……」
「結局は用事があったんですね」
結論まで持っていくのがすごく面倒臭い。ということはもしかして、彼女が向かいたい場所って……。
「ねえセリーナさん、もしかしてと思うのですけど……」
「私も同じこと考えていました。もしかして彼女が向かいたい場所って……」
「な、何よ! ここに水の姫巫女にいるなら早く出しなさいよ! いないなら今度こそ本当に帰らせてもらうから!」
「どうやらここらしいですね」
「しかも巫女様に会いに来たという」
何でこんな簡単な答えを出すのに時間がかかってしまったのだろうか?
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
「え? じゃあこの人が水の姫巫女なの?!」
「はい。そうですけど、この格好を見て気がつきませんでしたか?」
「ごめんなさい! 私突然倒れてから、頭が混乱してて。私コロナって言うの。よろしく水の姫巫女さん」
「よ、よろしくお願いします」
先程までの態度から一変して、デレの態度になったコロナという少女。向日葵の顔と本当に似ているせいか、まるで向日葵がツンデレになった気分だ。まあ本人は決してツンデレではなかったけど。
そんな彼女は、次に更なる衝撃発言をする。
「わあ、会えてよかった。一週間頑張って歩いてここまで来た甲斐があった」
「い、一週間」
「歩いてきた?!」
この俺、じゃなくてミスティアに会いにか?
「で、でもまだ一週間前では私は誕生していませんよ?」
「水の姫巫女の儀式をするって情報を少し前から聞いていたの。時期的にもそろそろかと思っていたから、すごく嬉しい」
「じ、時期的とかあったんですか?」
「はい。先代の巫女様がお亡くなりになられてから、半年以内の満月が水面を照らす時間に次なる巫女を生み出さなければならないという条件があるのです」
「それでその条件があったのが」
「四日前ということですか」
て、コロナはそのタイミングに合うようにわざわざ一週間かけてここまで歩いてきたという事か。それは倒れるよな。
(誰かに会いたくてわざわざ長い道のりを歩いて探しに向かう。昔のアニメにそんなのあったな)
まさに『水の姫巫女求めて三千里』というやつか。
「あー!」
「どうしたのですか? 急に声を出して」
「帰りどうしよう」
「あっ……」
確かに彼女はここまで歩いて来たのだから、当然帰りも歩いて帰らなければならない。というかそこまで考えていなかったのか?
「もう、仕方ないですね。すぐにとはいきませんが、帰りは私達が送っていってあげますよ」
「え? 本当?」
そんな困っているコロナに対して手を差し伸べたのはやはりセリーナだった。
「はい。一週間歩いて来たとなるとかなり時間が必要かと思いますので、出発には多少は時間がかかりますけど、大丈夫ですか?」
「勿論大丈夫。ありがとう巫女様」
「巫女は私ではないですけどね」
ということで俺達はしばらくの間、責任を持って彼女を預かることになったのであった。それにしても、
(本当向日葵にそっくりだな)
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