この夏俺は世界を守る巫女に生まれ変わりました
第20話世界が平和である為に
という事で姫巫女三人で同じ部屋で眠ることになった俺は、大きな心配事が一つだけあった。
(お、落ち着け俺。俺は今男ではない。女なんだ)
それは男の性であるが故の避けては通れぬ壁。いくら見た目は完全な女だとはいえ、中身は歴とした男。その為こんな至近距離で寝ることになったら、理性との戦いになってしまう。
「じゃあミスティアさんは真ん中ね」
「え? ま、真ん中ですか?」
「そうよ。体格的にそれがいいかなって思ったんだけど、何か問題でもある?」
「い、いえ。別に問題は……」
ミスティアにとってではなく、俺にとってはすごく問題があるのだけど……。
「それじゃあ決定ね。左がシャイニー、真ん中がミスティアさん、右が私って形で寝るわよ」
「と、ど、どうして私だけ呼び捨てなんですか」
「特に理由はないわ」
「な、ないならやめてください!」
結局俺は真ん中で寝ることになり、俺は色々覚悟することになる羽目になってしまった。
だが俺の不幸は、まだまだ終わらなかった。
「さあて、今日は疲れているし寝るわよ」
「ま、まだ私達お風呂に入っていませんよ?」
「あ、そっか。じゃあ三人で入ろう」
それは一緒に寝るよりも難易度が高いこと。今までは一人で入っていたので、あえて触れはしなかったが、一応この世界にもお風呂という概念が存在する。地球の物と大して変わらず、大きさはやはり豪邸レベルの大きさだった。
未だに裸になることには慣れていないが、他人の裸を見るとなるとそれはまた別の問題だ。一名裸に近い服装の人間がいるが、それは除く。
「えっと、私も一緒に入らないと駄目なんですか?」
「当たり前よ。それとも男として女性と一緒に入るのは抵抗があるの?」
「そ、そんなの当たり前に決まっているじゃないですか。布団で一緒に寝ることだって男としてはアウトなんですから」
「ふーん。あなたもしかして、女性との経験がないわね」
「そ、そういう事じゃないですよ!」
「だったら入りましょう。経験があるんでしょ?」
「うっ……」
やばい、この人かなりのやり手だ。俺が男である事を逆手にとって、あえて攻めてくるだなんて予想外だ。
あ、ちなみに経験はちゃんとあるからな!
「じゃあ行くわよ」
「わ、わ、私も行くんで待ってください」
「あ、ちょっと二人とも。着替えはどうするんですかー」
何も反論できなくなった俺は、結局三人でお風呂に入る事に。
だが、本当の地獄はこれからだった。
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
三人分の着替えはセリーナから借りて、三人でお風呂へ。
「あのセリーナさん? 私は服を持ってくるように頼んだだけなんですけど、どうしてセリーナさんまで裸なんですか」
「まだ私もお風呂に入っていなかったので、折角ですのでご一緒しようかと」
しかし入る直前にセリーナも乱入。既に彼女は裸になっており、俺は若干目線を逸らしながら会話を続けた。
「あなたも知っているはずですよね? 私の事」
「だからこそに決まっているじゃないですか」
(セリーナ、お前もか!)
どうしてここの女性は、男に対しての羞恥心がないのだろうか? まあ確かに俺は完全に見た目は女性だ。だが、中身は男だ。それを分かった上で入ろうとしているのは、確信犯のレベルだ。
「セリーナさんは女性なんですよ? いくら中身は男だからといって、そういうのは避けてはいけないと思います。それにユキネちゃんが裸の時は平気だったのに、私達の時は駄目だなんて酷いですよ」
「あ、あれは特別なだけであって……」
「とにかく入ります」
「あ、ちょっとセリーナさん」
セリーナにも論破され、反論できないまま四人でお風呂へ入る事になったのだった。
そこからの時間はまさに地獄だった。なるべく他の三人と距離を取りながら体を洗ったりしていたのだが、わざとなのかあちら側からすごく絡んできて、俺にとっては本当に辛いイベントになってしまった。
けど浴槽に浸かった後は、やはり今日の疲れが残っているのか皆がまったりお風呂を楽しんでいた。
「あー疲れた。何でメインは私じゃないのに、こんなに疲れたんだろう」
「パーティーで疲れたというより、その後私をイジメたりするから疲れたんじゃないですか?」
「違うわよ。シャイニーがここにいるから疲れるのよ」
「なな何で私のせいになるんですか!」
「イジメるのが楽しいからだと思う」
そんなまったり空間でする会話は相変わらずのものだけど、こんなまったりした時間もたまにはいいのかもしれない。皆が姫巫女という重要な仕事を任され、苦労ばかりの毎日なのかもしれないけど、何も考えずに過ごせるこの時間だけは本当に幸せだ。
「グリアラ様とシャイニー様はしばらく仕事がないかもしれないですけど、巫女様はちゃんと仕事がありますからね明日も」
「人が折角のんびりしているのに、そういうこと言わないでくださいよ」
「でもそれが当たり前なのよセリーナさん」
「当たり前って、何がですか?」
「どんなに平和な時間を過ごしていようとも、常に姫巫女という役目と隣り合わせなの。だから儀式をするのだって当たり前、仕事をこなすのだって当たり前。それが私達なのよ」
「何かちょっと、悲しいですねそれ」
「で、でも私達はそうやって生きてきたんです。この世界が平和である為にも」
「世界が平和である為にも……ですか」
俺にはちょっと規模が大きすぎる話だなそれ。
(お、落ち着け俺。俺は今男ではない。女なんだ)
それは男の性であるが故の避けては通れぬ壁。いくら見た目は完全な女だとはいえ、中身は歴とした男。その為こんな至近距離で寝ることになったら、理性との戦いになってしまう。
「じゃあミスティアさんは真ん中ね」
「え? ま、真ん中ですか?」
「そうよ。体格的にそれがいいかなって思ったんだけど、何か問題でもある?」
「い、いえ。別に問題は……」
ミスティアにとってではなく、俺にとってはすごく問題があるのだけど……。
「それじゃあ決定ね。左がシャイニー、真ん中がミスティアさん、右が私って形で寝るわよ」
「と、ど、どうして私だけ呼び捨てなんですか」
「特に理由はないわ」
「な、ないならやめてください!」
結局俺は真ん中で寝ることになり、俺は色々覚悟することになる羽目になってしまった。
だが俺の不幸は、まだまだ終わらなかった。
「さあて、今日は疲れているし寝るわよ」
「ま、まだ私達お風呂に入っていませんよ?」
「あ、そっか。じゃあ三人で入ろう」
それは一緒に寝るよりも難易度が高いこと。今までは一人で入っていたので、あえて触れはしなかったが、一応この世界にもお風呂という概念が存在する。地球の物と大して変わらず、大きさはやはり豪邸レベルの大きさだった。
未だに裸になることには慣れていないが、他人の裸を見るとなるとそれはまた別の問題だ。一名裸に近い服装の人間がいるが、それは除く。
「えっと、私も一緒に入らないと駄目なんですか?」
「当たり前よ。それとも男として女性と一緒に入るのは抵抗があるの?」
「そ、そんなの当たり前に決まっているじゃないですか。布団で一緒に寝ることだって男としてはアウトなんですから」
「ふーん。あなたもしかして、女性との経験がないわね」
「そ、そういう事じゃないですよ!」
「だったら入りましょう。経験があるんでしょ?」
「うっ……」
やばい、この人かなりのやり手だ。俺が男である事を逆手にとって、あえて攻めてくるだなんて予想外だ。
あ、ちなみに経験はちゃんとあるからな!
「じゃあ行くわよ」
「わ、わ、私も行くんで待ってください」
「あ、ちょっと二人とも。着替えはどうするんですかー」
何も反論できなくなった俺は、結局三人でお風呂に入る事に。
だが、本当の地獄はこれからだった。
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
三人分の着替えはセリーナから借りて、三人でお風呂へ。
「あのセリーナさん? 私は服を持ってくるように頼んだだけなんですけど、どうしてセリーナさんまで裸なんですか」
「まだ私もお風呂に入っていなかったので、折角ですのでご一緒しようかと」
しかし入る直前にセリーナも乱入。既に彼女は裸になっており、俺は若干目線を逸らしながら会話を続けた。
「あなたも知っているはずですよね? 私の事」
「だからこそに決まっているじゃないですか」
(セリーナ、お前もか!)
どうしてここの女性は、男に対しての羞恥心がないのだろうか? まあ確かに俺は完全に見た目は女性だ。だが、中身は男だ。それを分かった上で入ろうとしているのは、確信犯のレベルだ。
「セリーナさんは女性なんですよ? いくら中身は男だからといって、そういうのは避けてはいけないと思います。それにユキネちゃんが裸の時は平気だったのに、私達の時は駄目だなんて酷いですよ」
「あ、あれは特別なだけであって……」
「とにかく入ります」
「あ、ちょっとセリーナさん」
セリーナにも論破され、反論できないまま四人でお風呂へ入る事になったのだった。
そこからの時間はまさに地獄だった。なるべく他の三人と距離を取りながら体を洗ったりしていたのだが、わざとなのかあちら側からすごく絡んできて、俺にとっては本当に辛いイベントになってしまった。
けど浴槽に浸かった後は、やはり今日の疲れが残っているのか皆がまったりお風呂を楽しんでいた。
「あー疲れた。何でメインは私じゃないのに、こんなに疲れたんだろう」
「パーティーで疲れたというより、その後私をイジメたりするから疲れたんじゃないですか?」
「違うわよ。シャイニーがここにいるから疲れるのよ」
「なな何で私のせいになるんですか!」
「イジメるのが楽しいからだと思う」
そんなまったり空間でする会話は相変わらずのものだけど、こんなまったりした時間もたまにはいいのかもしれない。皆が姫巫女という重要な仕事を任され、苦労ばかりの毎日なのかもしれないけど、何も考えずに過ごせるこの時間だけは本当に幸せだ。
「グリアラ様とシャイニー様はしばらく仕事がないかもしれないですけど、巫女様はちゃんと仕事がありますからね明日も」
「人が折角のんびりしているのに、そういうこと言わないでくださいよ」
「でもそれが当たり前なのよセリーナさん」
「当たり前って、何がですか?」
「どんなに平和な時間を過ごしていようとも、常に姫巫女という役目と隣り合わせなの。だから儀式をするのだって当たり前、仕事をこなすのだって当たり前。それが私達なのよ」
「何かちょっと、悲しいですねそれ」
「で、でも私達はそうやって生きてきたんです。この世界が平和である為にも」
「世界が平和である為にも……ですか」
俺にはちょっと規模が大きすぎる話だなそれ。
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