この夏俺は世界を守る巫女に生まれ変わりました
第27話悪夢の始まり 怨恨と思惑の章
刃を向けられ、身動きを取れない俺。一歩動けば確実に殺される。
「あなたには恨みはない。けど、水の姫巫女、いいえ、この国には恨みがある」
「い、いきなり何をするんですかコロナさん!」
「この約二週間、ウォルティアについてよく調べさせてもらったの。そして分かったの。全てのトリガーはあなた達だったことを」
「い、いきなり言われても私には分かりません」
「分からなくてもいい。どうせあなたはここで死ぬのだから」
そう言うとコロナは剣を振りかざす。やばい、あれは完全に殺す時の目だ。
(何か、何か抵抗する手は……)
「さようなら、水の姫巫女」
そしてその剣は、真っ直ぐ俺に振り下ろされ……。
「よっと」
誰かの手によって受け止められた。
「え、どうしてあなたが?」
「ボクの大切な物だから、そんな簡単に殺されても困るんだよ」
「や、闇の姫巫女?! どうしてここに」
何と俺の命を救ったのはラファエルだった。あまりに予想外の展開に、俺もコロナも動揺が隠せない。
「まさか闇の姫巫女とも繋がっているとは思わなかったわ。とことん堕ちる所まで堕ちたわね、水の姫巫女!」
「違います! 私はこんな人に手を貸した覚えなんて……」
「そうさ。彼女はボクの計画に必要な存在なだけだからね。君みたいにいつまでも過去の事を妬んでいるような人に殺されたくないんだよ」
「計画? もしかしてあなた、あれを……」
「うん。だからボクは、この国のお姫様とも取引をしているんだけど、やっぱりうまくいかないもんだね」
「今すぐやめなさい! あれがどのようなものか、あなた自身知っているでしょ」
俺の知らない所でどんどん話が進んで行く。コロナは知っているというのだろうか? ラファエルが何を企てているのかを。
「知っているからこそ、だよ。この世界はもう一度最初からやり直すべきなんだ。その為ならどんな犠牲だって厭わない」
「そんなの間違っているわ! あれは世界を滅ぼす力、そしてそこにいる姫巫女はそのトリガーとも言うべき存在。二度とあの惨劇を起こさない為にも、ここで殺さなければならないのよ!」
「そんな事は絶対にさせない!」
(水の姫巫女が、世界を滅ぼすトリガー? 一体どういう意味だ)
世界を守る為に存在するのに、何故世界を滅ぼすんだ? 誰でもいい。教えてくれ。
俺は一体何者なんだ?
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
「どうしたんですか巫女様。もう夜遅いのに、騒がしいですよ」
そんな状況が続いている中で、それを打ち破ってくれたのがセリーナだった。何も知らない彼女が突如部屋に入ってきたことによって、状況は一変する。
「どうやらこの決着は、また今度見たいね」
「絶対に殺させたりしないからね。彼女はボクのものだから」
セリーナがやって来た途端、二人は戦うのをやめラファエルは闇の中へ。コロナはセリーナとすれ違うかのように部屋を出ていってしまった。
(何だ、何が起きたんだ?)
セリーナが入ってきただけなのに、戦うのをやめてしまった二人。あれだけ言い争っていたのに、終わり方があまりにもあっさりしていたので、俺は思わずキョトンとしてしまった。だがそれ以上の反応を見せたのは、セリーナ本人だった。
「あれはコロナさんと……闇の姫巫女……。どうして二人がこの場に?」
「セリーナさん、それは私がちゃんと説明を」
「しかも今の会話……。もしコロナさんが本当に……だとしたら……」
「セリーナさん?」
「巫女様、大事な話があります」
「え、あ、はい」
突然話を振られビクッとしてしまう。だけど次に彼女が述べた言葉は、それ以上の驚きのものだった。
「巫女様、今あなたがここにいるのは危険です。どうかお逃げください」
「え、ど、どうしてですか?」
「このままだと巫女様は、いえ春風咲田様は元の世界に戻ることはおろか、この世界にすら存在ができなくなってしまいます。ですから早く……逃げ……て」
話している途中で、セリーナが倒れてしまう。な、何が起きたんだ?
「ボクもあまり手荒なマネはしたくなかったんだけど、彼女には少しだけ寝ていてもらうよ」
彼女が倒れこんだ先にいたのは、先ほど帰ったはずのラファエル。
「ラファエル! セリーナさんに何をしたんですか?!」
「ちょっと寝てもらっただけだって。すぐに目を覚ますから心配しなくていいよ。それよりも」
ラファエルは一歩ずつ俺に寄ってくる。だが俺は、全く動けずにいた。
「君に少し見せたい物があるから来てほしいんだ。別に悪いことはしないからさ」
「もし断ったら?」
「断れないさ。ボクには彼女がいるんだから」
パチン
ラファエルは一回指を鳴らすと、彼女の手元に一つの白い玉みたいなものが現れた。
「これは君の幼馴染の魂さ。どうやらあのコロナっていう子に憑依していたみたいだから、ついでに借りたんだ」
「な、何で向日葵の魂が。そ、そんな嘘に騙されると思うか?」
「残念だけど嘘じゃないんだよ。前にも言ったよね? いつか彼女がこの世界にくるかもしれないって。それが少し早まっただけさ」
「そんな……馬鹿な!」
「嘘だと思うなら聞いてみる? 彼女の声」
そう言ってラファエルは白い塊を俺の耳に近づける。そこから聞こえてきたのは‥…。
『咲ちゃん、会いたいよ』
「っ!?」
完全に向日葵の声だった。
「あなたには恨みはない。けど、水の姫巫女、いいえ、この国には恨みがある」
「い、いきなり何をするんですかコロナさん!」
「この約二週間、ウォルティアについてよく調べさせてもらったの。そして分かったの。全てのトリガーはあなた達だったことを」
「い、いきなり言われても私には分かりません」
「分からなくてもいい。どうせあなたはここで死ぬのだから」
そう言うとコロナは剣を振りかざす。やばい、あれは完全に殺す時の目だ。
(何か、何か抵抗する手は……)
「さようなら、水の姫巫女」
そしてその剣は、真っ直ぐ俺に振り下ろされ……。
「よっと」
誰かの手によって受け止められた。
「え、どうしてあなたが?」
「ボクの大切な物だから、そんな簡単に殺されても困るんだよ」
「や、闇の姫巫女?! どうしてここに」
何と俺の命を救ったのはラファエルだった。あまりに予想外の展開に、俺もコロナも動揺が隠せない。
「まさか闇の姫巫女とも繋がっているとは思わなかったわ。とことん堕ちる所まで堕ちたわね、水の姫巫女!」
「違います! 私はこんな人に手を貸した覚えなんて……」
「そうさ。彼女はボクの計画に必要な存在なだけだからね。君みたいにいつまでも過去の事を妬んでいるような人に殺されたくないんだよ」
「計画? もしかしてあなた、あれを……」
「うん。だからボクは、この国のお姫様とも取引をしているんだけど、やっぱりうまくいかないもんだね」
「今すぐやめなさい! あれがどのようなものか、あなた自身知っているでしょ」
俺の知らない所でどんどん話が進んで行く。コロナは知っているというのだろうか? ラファエルが何を企てているのかを。
「知っているからこそ、だよ。この世界はもう一度最初からやり直すべきなんだ。その為ならどんな犠牲だって厭わない」
「そんなの間違っているわ! あれは世界を滅ぼす力、そしてそこにいる姫巫女はそのトリガーとも言うべき存在。二度とあの惨劇を起こさない為にも、ここで殺さなければならないのよ!」
「そんな事は絶対にさせない!」
(水の姫巫女が、世界を滅ぼすトリガー? 一体どういう意味だ)
世界を守る為に存在するのに、何故世界を滅ぼすんだ? 誰でもいい。教えてくれ。
俺は一体何者なんだ?
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「どうしたんですか巫女様。もう夜遅いのに、騒がしいですよ」
そんな状況が続いている中で、それを打ち破ってくれたのがセリーナだった。何も知らない彼女が突如部屋に入ってきたことによって、状況は一変する。
「どうやらこの決着は、また今度見たいね」
「絶対に殺させたりしないからね。彼女はボクのものだから」
セリーナがやって来た途端、二人は戦うのをやめラファエルは闇の中へ。コロナはセリーナとすれ違うかのように部屋を出ていってしまった。
(何だ、何が起きたんだ?)
セリーナが入ってきただけなのに、戦うのをやめてしまった二人。あれだけ言い争っていたのに、終わり方があまりにもあっさりしていたので、俺は思わずキョトンとしてしまった。だがそれ以上の反応を見せたのは、セリーナ本人だった。
「あれはコロナさんと……闇の姫巫女……。どうして二人がこの場に?」
「セリーナさん、それは私がちゃんと説明を」
「しかも今の会話……。もしコロナさんが本当に……だとしたら……」
「セリーナさん?」
「巫女様、大事な話があります」
「え、あ、はい」
突然話を振られビクッとしてしまう。だけど次に彼女が述べた言葉は、それ以上の驚きのものだった。
「巫女様、今あなたがここにいるのは危険です。どうかお逃げください」
「え、ど、どうしてですか?」
「このままだと巫女様は、いえ春風咲田様は元の世界に戻ることはおろか、この世界にすら存在ができなくなってしまいます。ですから早く……逃げ……て」
話している途中で、セリーナが倒れてしまう。な、何が起きたんだ?
「ボクもあまり手荒なマネはしたくなかったんだけど、彼女には少しだけ寝ていてもらうよ」
彼女が倒れこんだ先にいたのは、先ほど帰ったはずのラファエル。
「ラファエル! セリーナさんに何をしたんですか?!」
「ちょっと寝てもらっただけだって。すぐに目を覚ますから心配しなくていいよ。それよりも」
ラファエルは一歩ずつ俺に寄ってくる。だが俺は、全く動けずにいた。
「君に少し見せたい物があるから来てほしいんだ。別に悪いことはしないからさ」
「もし断ったら?」
「断れないさ。ボクには彼女がいるんだから」
パチン
ラファエルは一回指を鳴らすと、彼女の手元に一つの白い玉みたいなものが現れた。
「これは君の幼馴染の魂さ。どうやらあのコロナっていう子に憑依していたみたいだから、ついでに借りたんだ」
「な、何で向日葵の魂が。そ、そんな嘘に騙されると思うか?」
「残念だけど嘘じゃないんだよ。前にも言ったよね? いつか彼女がこの世界にくるかもしれないって。それが少し早まっただけさ」
「そんな……馬鹿な!」
「嘘だと思うなら聞いてみる? 彼女の声」
そう言ってラファエルは白い塊を俺の耳に近づける。そこから聞こえてきたのは‥…。
『咲ちゃん、会いたいよ』
「っ!?」
完全に向日葵の声だった。
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