この夏俺は世界を守る巫女に生まれ変わりました
3.永遠の罪
世界が終焉を迎えてしまった日からどれくらいの時が経ったのだろう。私の中にはずっと後悔と自責の念が渦巻いていて、誰かと顔を合わせる度に胸が苦しくなってしまう。
(どうして……こんな事に!)
あれからノワールさんとも会っていない。いや、会えなかった。私達は罪人同士であり、顔を合わせようとしても世界が許さなかった。もしかしたらノワールさんは死んでしまったのではないかと思うくらいだ。
『でも君のおかげで、世界の闇は僕の力になり、そして今ここに形となった』
「……誰?」
閉め切りの部屋の中のどこからか声が聞こえる。
『君の後ろだよ』
「え? きゃっ!」
言われた通り後ろを振り返ると、私よりも幼い顔立ちの巫女服の少女が一人、そこに立っていた。突然の登場に思わず尻餅をついてしまう。というかいつの間に私の部屋に入って来たのだろうか?
「へへ、ビックリした?」
「ビックリしたもなにも、どうやってこの部屋に? それに今の言葉はどういう事?」
「一つ一つ説明するから、落ち着いて」
「いや、私充分落ち着いているけど」
驚いてはいたけど。
「それでまず、ボクは何者なのか教えてあげるよ。ボクはこの世界の闇、ラファエル。闇の姫巫女ラファエルだよ」
「闇の姫巫女? そんな名前聞いたことないわ」
「知らなくて当然だよ。生み出したのは君達なんだから」
「私達?」
達って事はノワールさんも含まれているのだろうか?
「少し前、君達は取り返しのつかないことをしてしまった。そうだよね?」
「……うん」
「その取り返しのつかない事をしてしまい、世界は壊滅的な状況に陥ってしまった。そして君達は重罪人として世界から恨まれるようになったんだよね?」
「それがどうしたっていうのよ! 私だって、こんな結末になるとは思っていなかった。それにあんたには何一つ関係ないでしょ!?」
「関係があるから、今こうして君褒めの前にいる。ボクは……ボク達はその恨みつらみから生み出された者。君達は一種のボク達の親みたいなものだから」
「私達が生みの親?」
世界を壊滅させてしまって、人々の恨みを買ってしまった。そしてそれが形になったのが、闇の姫巫女。彼女はそういう事を言いたいのだろうか?
「一度外に出てみれば分かるよ。ボク達って意味が」
「でも私、外には出たくない。怖いから」
「そっか。それは残念だね。君はそうやって現実から逃げるんだ。大地の姫巫女と同じだね」
「まさかあんた、ノワールさんにも」
「会ってきたよ。反応は君と変わらなかったけどね」
「それは突然あんたが出てきたら、ビックリするでしょ」
「そうじゃない。彼女もまた君と同じように、現実から逃げていた。でも逃げていたって何も解決しない。君達には償ってもらう必要があるんだよ。自分達が犯した罪を」
「自分達の罪……」
私はたった一度の過ちで、世界を壊滅させてしまった。それは紛れもない事実で、目を背けてはいけないのは分かっている。けれど、怖い。外へ出たら何をされるか分からないし、何が起きるかも分からない。だから出たくなかった。
「ボクはね君に知っておいてもらいたいんだよ。ボク達がどのような存在であって、世界にとってどんな存在になりうるかを」
「……」
「ほら行くよ。外へ」
半ば強引にラファエルに引っ張られながら、私はどれくらいぶりか分からない外へと出ることになった。
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
国から出る間も、すれ違う人に色々と言われ、いい気分ではなかったけど、それ以上の現実がこの国の外で私を待ち構えていた。
「嘘……こんなの嘘よ」
「嘘じゃない。これが君達が犯した罪」
「こをんなのって……」
一瞬見た時は幻覚か何かと思ってしまった。けど違う。今私の目の前に広がっているのは、この世界の全て。この荒廃しきってしまった土地が、全て。夢でも幻覚でもない。これが私達の罪。
「少し先の森が見える? あそこ少し黒くなっているよね? あれがボク達なんだ」
「あれが?」
少し離れた先の森が確かに黒くなっている。あれは元からなっているというよりは、何かに囚われているかのように見えた。あれが世界の闇ということだろうか?
「あれは原点のボクの存在がなくなれば、消すことはできる。けどその闇は全て人の元に戻り、平和を取り戻し始めていた世界は再び闇を取り戻してしまう。そう、それはまるで牢獄のようだね」
「闇の……牢獄」
私は、いやこの世界は囚われてしまったのか。世界の闇という牢獄に。
「この牢獄は永遠。ボクが存在するという事はつまり、世界は永遠に闇と隣り合わせで動いていく。これが君達が負わなければならない罪。忘れないでね」
「あ、ちょっと……」
まだ聞きたいことがあったのに、ラファエルは闇の中へと消えてしまった。一人残されてしまった私の目からは涙が溢れ出す。
「うぅっ……」
思いもしなかった。
自分が犯した罪がこんなにも大きかったのを。
気づかなかった。
その罪は半永久的なのを。
逃げ出したかった。
こんな現実から。
だけど……。
私は逃げられない。この罪から。
「うわぁぁぁぁ」
(どうして……こんな事に!)
あれからノワールさんとも会っていない。いや、会えなかった。私達は罪人同士であり、顔を合わせようとしても世界が許さなかった。もしかしたらノワールさんは死んでしまったのではないかと思うくらいだ。
『でも君のおかげで、世界の闇は僕の力になり、そして今ここに形となった』
「……誰?」
閉め切りの部屋の中のどこからか声が聞こえる。
『君の後ろだよ』
「え? きゃっ!」
言われた通り後ろを振り返ると、私よりも幼い顔立ちの巫女服の少女が一人、そこに立っていた。突然の登場に思わず尻餅をついてしまう。というかいつの間に私の部屋に入って来たのだろうか?
「へへ、ビックリした?」
「ビックリしたもなにも、どうやってこの部屋に? それに今の言葉はどういう事?」
「一つ一つ説明するから、落ち着いて」
「いや、私充分落ち着いているけど」
驚いてはいたけど。
「それでまず、ボクは何者なのか教えてあげるよ。ボクはこの世界の闇、ラファエル。闇の姫巫女ラファエルだよ」
「闇の姫巫女? そんな名前聞いたことないわ」
「知らなくて当然だよ。生み出したのは君達なんだから」
「私達?」
達って事はノワールさんも含まれているのだろうか?
「少し前、君達は取り返しのつかないことをしてしまった。そうだよね?」
「……うん」
「その取り返しのつかない事をしてしまい、世界は壊滅的な状況に陥ってしまった。そして君達は重罪人として世界から恨まれるようになったんだよね?」
「それがどうしたっていうのよ! 私だって、こんな結末になるとは思っていなかった。それにあんたには何一つ関係ないでしょ!?」
「関係があるから、今こうして君褒めの前にいる。ボクは……ボク達はその恨みつらみから生み出された者。君達は一種のボク達の親みたいなものだから」
「私達が生みの親?」
世界を壊滅させてしまって、人々の恨みを買ってしまった。そしてそれが形になったのが、闇の姫巫女。彼女はそういう事を言いたいのだろうか?
「一度外に出てみれば分かるよ。ボク達って意味が」
「でも私、外には出たくない。怖いから」
「そっか。それは残念だね。君はそうやって現実から逃げるんだ。大地の姫巫女と同じだね」
「まさかあんた、ノワールさんにも」
「会ってきたよ。反応は君と変わらなかったけどね」
「それは突然あんたが出てきたら、ビックリするでしょ」
「そうじゃない。彼女もまた君と同じように、現実から逃げていた。でも逃げていたって何も解決しない。君達には償ってもらう必要があるんだよ。自分達が犯した罪を」
「自分達の罪……」
私はたった一度の過ちで、世界を壊滅させてしまった。それは紛れもない事実で、目を背けてはいけないのは分かっている。けれど、怖い。外へ出たら何をされるか分からないし、何が起きるかも分からない。だから出たくなかった。
「ボクはね君に知っておいてもらいたいんだよ。ボク達がどのような存在であって、世界にとってどんな存在になりうるかを」
「……」
「ほら行くよ。外へ」
半ば強引にラファエルに引っ張られながら、私はどれくらいぶりか分からない外へと出ることになった。
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
国から出る間も、すれ違う人に色々と言われ、いい気分ではなかったけど、それ以上の現実がこの国の外で私を待ち構えていた。
「嘘……こんなの嘘よ」
「嘘じゃない。これが君達が犯した罪」
「こをんなのって……」
一瞬見た時は幻覚か何かと思ってしまった。けど違う。今私の目の前に広がっているのは、この世界の全て。この荒廃しきってしまった土地が、全て。夢でも幻覚でもない。これが私達の罪。
「少し先の森が見える? あそこ少し黒くなっているよね? あれがボク達なんだ」
「あれが?」
少し離れた先の森が確かに黒くなっている。あれは元からなっているというよりは、何かに囚われているかのように見えた。あれが世界の闇ということだろうか?
「あれは原点のボクの存在がなくなれば、消すことはできる。けどその闇は全て人の元に戻り、平和を取り戻し始めていた世界は再び闇を取り戻してしまう。そう、それはまるで牢獄のようだね」
「闇の……牢獄」
私は、いやこの世界は囚われてしまったのか。世界の闇という牢獄に。
「この牢獄は永遠。ボクが存在するという事はつまり、世界は永遠に闇と隣り合わせで動いていく。これが君達が負わなければならない罪。忘れないでね」
「あ、ちょっと……」
まだ聞きたいことがあったのに、ラファエルは闇の中へと消えてしまった。一人残されてしまった私の目からは涙が溢れ出す。
「うぅっ……」
思いもしなかった。
自分が犯した罪がこんなにも大きかったのを。
気づかなかった。
その罪は半永久的なのを。
逃げ出したかった。
こんな現実から。
だけど……。
私は逃げられない。この罪から。
「うわぁぁぁぁ」
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