この夏俺は世界を守る巫女に生まれ変わりました
第30話森羅の国グリーンウッド
それから飛空挺を出たのは三時間後。本来ならもう少し早く出れたのだが、
「もう、何で移動中に寝ておかなかったんですか!?」
「セリーナさんもですよ!」
あの後二人ともまさかの爆睡。かろうじて俺が起きれたから救われたものの、このまま二人とも寝続けていたら何のために二日前に来たのか分からなくなってしまう。
「本当相変わらずねミスティアさん」
喧嘩しながら飛空挺から出てくるのを迎えたのは、何とグリアラ。俺たち二人のやり取りに若干呆れながらも、出迎えてくれた。
「グリアラさん、少しお久しぶりですね」
「あなたが闇に捕まって以来かしら」
「その節は巫女様がお世話になりました」
グリアラと会うのは、大体一週間とちょっとぶり。俺が闇に捕らわれてから会っていないので、あの時のことを少し話したいのだが、それはまた後ででもいいだろ。
「早速だけどミスティアさん、あなたに用事があるから少し来てくれる?」
「私ですか?」
「そうよ。あなたと少し話があるので」
「分かりました」
「じゃあ私は荷物を宿の方に置いて来ますので」
「ありがとうございます、セリーナさん」
「それでは」
セリーナは俺と自分の分の荷物を持って、俺達の元から去っていく。二人になったグリアラと俺は、歩きながら会話をした。
「どう? グリーンウッドに来た感想は」
「あの荒廃した土地と比べると、自然の多い国ですね」
「当たり前でしょ。森の姫巫女の私がいるんだから」
「そうでした」
グリーンウッドはウォルティアとはまた違って、沢山の生い茂る森の中にあった。しかも建物のほとんどが木の上にあるというちょっと変わった仕組みになっている。まあ、水の上にあるウォルティアと大差はないんだけど。
「それで話とは」
「忘れない内に話しておこうと思って。この前の事」
「例の闇の牢獄の事ですか?」
「ええ。あの日あなたは突然闇に捕らわれたから、分からないかもしれないけど、実はその直後ある事が起きていたの」
「ある事?」
「ほんの一瞬だったんだけど、私の中に声が聞こえたの」
「声?」
ラファエルの事だろうか?
「女性の声だったのだけど、助けを求めていたの。理由は分からないんだけど、その声をどこかで聞いたことがあると思ったんだけど」
「心当たりがあるんですか?」
「ええ。長らく聞いていなかったけど、ようやく思い出したの。あの声は、ずっと身を潜めていた大地の民の巫女、大地の姫巫女よ」
「え?」
大地の姫巫女は確か二百五十年前の惨劇の原因となった一人。二百五十年も生きているって事は多分ないだろうけど、今はそこが問題ではない。何故姫巫女が闇の中にいて助けを求めていたのか? マリアーナの話からまとめて考えると、もしかしたら……。
「それもしかしたら……」
「何か心当たりがあるんですか?」
「はい。でもその可能性があるとしたら、どうしてグリアラさんがその声を知っているの、不思議なんですけど」
「あら? 私の年教えていなかった? 私もう三桁越えているわよ?」
「さ、三桁!?」
そ、それなら話が合うけど、何故そんなに生きているんだ?
「何故も何も、姫巫女は不老不死の身体。私も一度死んでいるのだから、当たり前でしょ」
「あ、当たり前って……」
死んだ事をサラッと言われたら、驚かない方がおかしい。というかマリアーナさんといいグリアラといい何故皆死んでいる? もしかして姫巫女の原理って、そういうものなのか?
「それで、その声の主は誰なのよ」
「まだ腑に落ちない事ばかりなんですけど……」
「説明しなさい」
「分かりましたよ……」
やさぐれながらも俺の考えを話す。確信的なものはないけれど、恐らくその声の正体は大地の姫巫女ノワール。根拠としては、あの災害以降マリアーナさんは会えていない。単純に会えていないだけなのかもしれないが、あり得ない話でもない。グリアラさんがいつその声を聞いたことがあるのかにもよるが、長い間ノワールを誰も見ていない可能性がある。
「なるほどね。その可能性否めないか」
「私の考えが間違っているかもしれませんけど」
『いえ、あなたの考えは正しいのじゃ」
「え?」
突然地面から声がしたかと思うと、俺の目の前の土が盛り上がって、何かが飛び出して来た。
(な、何だ!)
飛び出して来た何かは、目の前に着地した……はずだったが、姿が見えない。
「あれ? どこへ行きましたか?」
「ここじゃっ!」
ドスッ
鈍い音がしたかと思うと、鳩尾に強烈な痛みが入る?
「ぐほっ」
「ミスティアさん!」
あまりの痛みに、腹を抱えて倒れこむ。すると先程の声の主が俺の目の前に現れた。
「どうじゃ! 妾の一撃、効いたじゃろ」
それは勝ち誇った顔で俺に告げる。なんか凄くムカつく言い方なのだが、それ以上に目の前の少女の容姿に対する驚きがやって来た。
「ち、ちっさ!」
巫女服をまとった少女は、俺の身体の半分くらいの身長の少女だった。そしてそのちびっ子は、俺に更にこう告げるのであった。
「ふっふっふ、大地の姫巫女である妾の力、特と味わうがよいのじゃ」
「もう、何で移動中に寝ておかなかったんですか!?」
「セリーナさんもですよ!」
あの後二人ともまさかの爆睡。かろうじて俺が起きれたから救われたものの、このまま二人とも寝続けていたら何のために二日前に来たのか分からなくなってしまう。
「本当相変わらずねミスティアさん」
喧嘩しながら飛空挺から出てくるのを迎えたのは、何とグリアラ。俺たち二人のやり取りに若干呆れながらも、出迎えてくれた。
「グリアラさん、少しお久しぶりですね」
「あなたが闇に捕まって以来かしら」
「その節は巫女様がお世話になりました」
グリアラと会うのは、大体一週間とちょっとぶり。俺が闇に捕らわれてから会っていないので、あの時のことを少し話したいのだが、それはまた後ででもいいだろ。
「早速だけどミスティアさん、あなたに用事があるから少し来てくれる?」
「私ですか?」
「そうよ。あなたと少し話があるので」
「分かりました」
「じゃあ私は荷物を宿の方に置いて来ますので」
「ありがとうございます、セリーナさん」
「それでは」
セリーナは俺と自分の分の荷物を持って、俺達の元から去っていく。二人になったグリアラと俺は、歩きながら会話をした。
「どう? グリーンウッドに来た感想は」
「あの荒廃した土地と比べると、自然の多い国ですね」
「当たり前でしょ。森の姫巫女の私がいるんだから」
「そうでした」
グリーンウッドはウォルティアとはまた違って、沢山の生い茂る森の中にあった。しかも建物のほとんどが木の上にあるというちょっと変わった仕組みになっている。まあ、水の上にあるウォルティアと大差はないんだけど。
「それで話とは」
「忘れない内に話しておこうと思って。この前の事」
「例の闇の牢獄の事ですか?」
「ええ。あの日あなたは突然闇に捕らわれたから、分からないかもしれないけど、実はその直後ある事が起きていたの」
「ある事?」
「ほんの一瞬だったんだけど、私の中に声が聞こえたの」
「声?」
ラファエルの事だろうか?
「女性の声だったのだけど、助けを求めていたの。理由は分からないんだけど、その声をどこかで聞いたことがあると思ったんだけど」
「心当たりがあるんですか?」
「ええ。長らく聞いていなかったけど、ようやく思い出したの。あの声は、ずっと身を潜めていた大地の民の巫女、大地の姫巫女よ」
「え?」
大地の姫巫女は確か二百五十年前の惨劇の原因となった一人。二百五十年も生きているって事は多分ないだろうけど、今はそこが問題ではない。何故姫巫女が闇の中にいて助けを求めていたのか? マリアーナの話からまとめて考えると、もしかしたら……。
「それもしかしたら……」
「何か心当たりがあるんですか?」
「はい。でもその可能性があるとしたら、どうしてグリアラさんがその声を知っているの、不思議なんですけど」
「あら? 私の年教えていなかった? 私もう三桁越えているわよ?」
「さ、三桁!?」
そ、それなら話が合うけど、何故そんなに生きているんだ?
「何故も何も、姫巫女は不老不死の身体。私も一度死んでいるのだから、当たり前でしょ」
「あ、当たり前って……」
死んだ事をサラッと言われたら、驚かない方がおかしい。というかマリアーナさんといいグリアラといい何故皆死んでいる? もしかして姫巫女の原理って、そういうものなのか?
「それで、その声の主は誰なのよ」
「まだ腑に落ちない事ばかりなんですけど……」
「説明しなさい」
「分かりましたよ……」
やさぐれながらも俺の考えを話す。確信的なものはないけれど、恐らくその声の正体は大地の姫巫女ノワール。根拠としては、あの災害以降マリアーナさんは会えていない。単純に会えていないだけなのかもしれないが、あり得ない話でもない。グリアラさんがいつその声を聞いたことがあるのかにもよるが、長い間ノワールを誰も見ていない可能性がある。
「なるほどね。その可能性否めないか」
「私の考えが間違っているかもしれませんけど」
『いえ、あなたの考えは正しいのじゃ」
「え?」
突然地面から声がしたかと思うと、俺の目の前の土が盛り上がって、何かが飛び出して来た。
(な、何だ!)
飛び出して来た何かは、目の前に着地した……はずだったが、姿が見えない。
「あれ? どこへ行きましたか?」
「ここじゃっ!」
ドスッ
鈍い音がしたかと思うと、鳩尾に強烈な痛みが入る?
「ぐほっ」
「ミスティアさん!」
あまりの痛みに、腹を抱えて倒れこむ。すると先程の声の主が俺の目の前に現れた。
「どうじゃ! 妾の一撃、効いたじゃろ」
それは勝ち誇った顔で俺に告げる。なんか凄くムカつく言い方なのだが、それ以上に目の前の少女の容姿に対する驚きがやって来た。
「ち、ちっさ!」
巫女服をまとった少女は、俺の身体の半分くらいの身長の少女だった。そしてそのちびっ子は、俺に更にこう告げるのであった。
「ふっふっふ、大地の姫巫女である妾の力、特と味わうがよいのじゃ」
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