この夏俺は世界を守る巫女に生まれ変わりました
第38話女の戦い
『君はそっちを選ぶか。じゃあボクもその声に応えてあげないとね』
シャイニーの決意の直後、彼女達の前に闇が現れそこからラファエルが現れる。
「ついにおいでなすりましたね」
「まさか君がそんな答えを出すとは思わなかったから驚きだよ。でもボクは手加減できないから、命落とすかもよ君」
「それはどうでしょうか」
何かを唱え始めるシャイニー。わずか数秒で詠唱が終わり、彼女の近くから何かが出てくる。
「闇を振り払いし光剣エクスリバー。これであなたを倒します」
「ふーん、言葉だけじゃないんだ。それじゃあボクも」
それに応えるかのようにラファエルも同じように一本の剣を取り出す。
「光には闇をってね。ボクは手加減できないけど、いいかな」
「必ず光は闇をうち滅ぼせます。だから私はあなたには絶対に負けません!」
「その自信、いつまで続くかな」
「行きます!」
シャイニーの一言共に、光と闇の相反するもの同士の戦いの火蓋が切って落とされた。
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
シャイニーとラファエルが激突した一方で、もう一つの戦いが始まろうとしていた。
「いきなり何をするのじゃ。危ないじゃろ」
「大地の姫巫女、まさかこんな所であなたに会えるなんてね!」
それはムウナとコロナ。恨みの矛先が先代とはいえど、彼女も大地の姫巫女である以上、コロナにとっては敵だった。だが突然の攻撃にも多少反応が遅れても、ムウナは何とか不意の一撃を回避できた。
「妾は確かに大地の姫巫女じゃが、初対面の人間に刃を向けるとは、礼儀の知らんやつじゃの」
「礼儀なんか知らないわよ! あなたのせいでほとんどの人の命が奪われたのよ。殺されて当然の存在なのよ!」
「それは妾ではない。先代の話じゃ」
「先代だろうが関係ないわ。あの水の姫巫女も私が討つんだから」
「残念じゃが、その水の姫巫女は昨日殺されたのじゃ……。あのラファエルという人間に」
「な、何ですって。あの女ついに私の邪魔をしたのね」
「お主は何者なんじゃ。妾の命を狙うとは愚か者!」
「強気になるのは構わないけど、そんな小さな身体でどう戦うつもりなのかしら」
「小さいからって舐めてもらっては困るのじゃ! 大地の姫巫女の力、見せてやるのじゃ」
シャイニーと同様、何かを唱え始めるムウナ。すると地面が急に揺れ始め、コロナはその場で立っていられなくなる。
「我、大地を統べる者。大地を汚し者の全てを取り込め!」
「な、何なの」
声に応えるかのように大地が割れる。そしてその地割れはコロナを取り込まんとするが、コロナはそれを何とか回避する。
「うまく避けられたようじゃが、まだ妾の攻撃は終わっておらん」
一気に距離を詰めた彼女が放ったのは、何と一発の正拳突き。小さい体から放たれるとは思えないその一撃を、コロナはもろに受けてしまう。
「が、は」
「どうじゃ、妾を馬鹿にした罰じゃ。伊達に大地の姫巫女をやっておらん」
「まさ……か、ここまでの……力があるなんて」
ムウナは大地の姫巫女、コロナは一般人に近い。力の差は歴然だった。だがそれは、コロナが一般人であればという話だが……。
「だけど……私だって負けられないのよ!」
「ほう、今の一撃を耐えるとは、面白いのう」
「まだ終わってないわよ! この恨み晴らすまでは」
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
「流石は光の姫巫女というところだけど、やはり所詮その程度だよね」
一方シャイニーとラファエルの戦いは、ラファエルが圧倒的な力でシャイニーを圧倒的。もうシャイニーもボロボロの状態だった。
「シャイニー、あなたもう戦えないじゃない!」
「だからって諦めるんです……か。ミスティアさんはどうなるんですか? 私は助けると決めた以上、諦められないんです!」
「まだ立つの? もうこれ以上は無理だと分かっているのに」
「そんなの分からないじゃないですか。奇跡は起きるかもしれない」
「じゃあその奇跡、起こらないことをボクが証明してあげる。開け闇への扉」
突然何もない空間にブラックホールが現れると、周りの全てを飲み込まんとする勢いで、吸い込み始めた。
「な、何ですか、これ」
「ボクが持つ最大の技だよ。これに吸い込まれた者は永遠の闇に囚われる」
「シャイニー!」
吸い込まれないようにシャイニーは踏みとどまろうとするが、先程の戦いでボロボロになっている為、まともに身体を動かせない。グリアラ達も助けに向かいたいが、一歩でも動いたら巻き込まれてしまう。
「ごめんなさい……どうやら私はここまでみたいですね」
それが分かっていたシャイニーは、自分の終わりを察したかのようにグリアラにそう言う。その間にも身体は少しずつ吸い寄せられている。
「な、何を言い出すのよ。諦めちゃダメよ」
目の前で大切な仲間が吸い込まれていくのを見ていることしかできないグリアラは、必死に叫ぶ。
(嫌よ、こんな所であなたを失うなんて……)
たかが五年、されど五年。彼女はまるで自分の妹みたいな存在だった。それが今終わろうとしているなんて、信じられなかった。
「ごめんなさいグリアラさん。私……短い間でしたけど、光の姫巫女をやれて、幸せでした」
「シャイニー!」
目を閉じ、全てに身を任せるシャイニー。もはやグリアラの声も届かない。いよいよ身体が吸い込まれそうになる時、彼女はこんな事を思う。
(私、きっと幸せでしたよね)
結局お姉ちゃんには何にも勝てるところはなかったけど、沢山の人と出会えて、自分は幸せだった。だから最後に一言、彼女はこう言うのであった。
「グリアラさん、ムウナさん、そしてミスティアさん。ありがとうございました」
そして彼女の身体は、完全に闇の中へと消えて行ってしまったのであった。
「シャイニーぃぃ!」
    光の姫巫女、ここに散る。
シャイニーの決意の直後、彼女達の前に闇が現れそこからラファエルが現れる。
「ついにおいでなすりましたね」
「まさか君がそんな答えを出すとは思わなかったから驚きだよ。でもボクは手加減できないから、命落とすかもよ君」
「それはどうでしょうか」
何かを唱え始めるシャイニー。わずか数秒で詠唱が終わり、彼女の近くから何かが出てくる。
「闇を振り払いし光剣エクスリバー。これであなたを倒します」
「ふーん、言葉だけじゃないんだ。それじゃあボクも」
それに応えるかのようにラファエルも同じように一本の剣を取り出す。
「光には闇をってね。ボクは手加減できないけど、いいかな」
「必ず光は闇をうち滅ぼせます。だから私はあなたには絶対に負けません!」
「その自信、いつまで続くかな」
「行きます!」
シャイニーの一言共に、光と闇の相反するもの同士の戦いの火蓋が切って落とされた。
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シャイニーとラファエルが激突した一方で、もう一つの戦いが始まろうとしていた。
「いきなり何をするのじゃ。危ないじゃろ」
「大地の姫巫女、まさかこんな所であなたに会えるなんてね!」
それはムウナとコロナ。恨みの矛先が先代とはいえど、彼女も大地の姫巫女である以上、コロナにとっては敵だった。だが突然の攻撃にも多少反応が遅れても、ムウナは何とか不意の一撃を回避できた。
「妾は確かに大地の姫巫女じゃが、初対面の人間に刃を向けるとは、礼儀の知らんやつじゃの」
「礼儀なんか知らないわよ! あなたのせいでほとんどの人の命が奪われたのよ。殺されて当然の存在なのよ!」
「それは妾ではない。先代の話じゃ」
「先代だろうが関係ないわ。あの水の姫巫女も私が討つんだから」
「残念じゃが、その水の姫巫女は昨日殺されたのじゃ……。あのラファエルという人間に」
「な、何ですって。あの女ついに私の邪魔をしたのね」
「お主は何者なんじゃ。妾の命を狙うとは愚か者!」
「強気になるのは構わないけど、そんな小さな身体でどう戦うつもりなのかしら」
「小さいからって舐めてもらっては困るのじゃ! 大地の姫巫女の力、見せてやるのじゃ」
シャイニーと同様、何かを唱え始めるムウナ。すると地面が急に揺れ始め、コロナはその場で立っていられなくなる。
「我、大地を統べる者。大地を汚し者の全てを取り込め!」
「な、何なの」
声に応えるかのように大地が割れる。そしてその地割れはコロナを取り込まんとするが、コロナはそれを何とか回避する。
「うまく避けられたようじゃが、まだ妾の攻撃は終わっておらん」
一気に距離を詰めた彼女が放ったのは、何と一発の正拳突き。小さい体から放たれるとは思えないその一撃を、コロナはもろに受けてしまう。
「が、は」
「どうじゃ、妾を馬鹿にした罰じゃ。伊達に大地の姫巫女をやっておらん」
「まさ……か、ここまでの……力があるなんて」
ムウナは大地の姫巫女、コロナは一般人に近い。力の差は歴然だった。だがそれは、コロナが一般人であればという話だが……。
「だけど……私だって負けられないのよ!」
「ほう、今の一撃を耐えるとは、面白いのう」
「まだ終わってないわよ! この恨み晴らすまでは」
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「流石は光の姫巫女というところだけど、やはり所詮その程度だよね」
一方シャイニーとラファエルの戦いは、ラファエルが圧倒的な力でシャイニーを圧倒的。もうシャイニーもボロボロの状態だった。
「シャイニー、あなたもう戦えないじゃない!」
「だからって諦めるんです……か。ミスティアさんはどうなるんですか? 私は助けると決めた以上、諦められないんです!」
「まだ立つの? もうこれ以上は無理だと分かっているのに」
「そんなの分からないじゃないですか。奇跡は起きるかもしれない」
「じゃあその奇跡、起こらないことをボクが証明してあげる。開け闇への扉」
突然何もない空間にブラックホールが現れると、周りの全てを飲み込まんとする勢いで、吸い込み始めた。
「な、何ですか、これ」
「ボクが持つ最大の技だよ。これに吸い込まれた者は永遠の闇に囚われる」
「シャイニー!」
吸い込まれないようにシャイニーは踏みとどまろうとするが、先程の戦いでボロボロになっている為、まともに身体を動かせない。グリアラ達も助けに向かいたいが、一歩でも動いたら巻き込まれてしまう。
「ごめんなさい……どうやら私はここまでみたいですね」
それが分かっていたシャイニーは、自分の終わりを察したかのようにグリアラにそう言う。その間にも身体は少しずつ吸い寄せられている。
「な、何を言い出すのよ。諦めちゃダメよ」
目の前で大切な仲間が吸い込まれていくのを見ていることしかできないグリアラは、必死に叫ぶ。
(嫌よ、こんな所であなたを失うなんて……)
たかが五年、されど五年。彼女はまるで自分の妹みたいな存在だった。それが今終わろうとしているなんて、信じられなかった。
「ごめんなさいグリアラさん。私……短い間でしたけど、光の姫巫女をやれて、幸せでした」
「シャイニー!」
目を閉じ、全てに身を任せるシャイニー。もはやグリアラの声も届かない。いよいよ身体が吸い込まれそうになる時、彼女はこんな事を思う。
(私、きっと幸せでしたよね)
結局お姉ちゃんには何にも勝てるところはなかったけど、沢山の人と出会えて、自分は幸せだった。だから最後に一言、彼女はこう言うのであった。
「グリアラさん、ムウナさん、そしてミスティアさん。ありがとうございました」
そして彼女の身体は、完全に闇の中へと消えて行ってしまったのであった。
「シャイニーぃぃ!」
    光の姫巫女、ここに散る。
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