不老少女とふわふわたあめ
176 「空からの助っ人」
「その声はもしかして……大先生ですか?!」
「おーよ。他に誰がいるってんだ?」
箒にまたがって空から糸に吊るされているかのように降りて来たのは、肌の露出が多い、魔女のような格好をした女性だった。
彼女は錬金術士の師匠であり、お手伝いさんにとっては先生の先生。
お手伝いさんは師匠の姿を見て、より確信を強くする。初めて見たときから魔女のような人だと思っていたが、箒に跨る姿は魔女そのもの。
師匠が魔女なのだから、その弟子であるところの錬金術士もまた、魔女。
「いや、そんなことはどうだっていいんだ」
思いもよらない援軍に、お手伝いさんは心の中で歓声をあげた。師匠の力を得ることができれば、このような状況は簡単に突破できる。
地獄のような特訓で、師匠の強さは身に染みている。
「大先生! よかったら手伝ってくれませんか?!」
「やなこった」
「はいぃ?!」
なんとかしてヴィオから体の所有権を奪い取り発言するも、簡単に拒否されてしまい、素っ頓狂な声をあげる。
「どうしてですか?!」
「テメーを手伝いにきたんじゃねーからな。あの子はどこだ?」
師匠の言う「あの子」とは錬金術士のこと。ふわふわとしたあの少女ならば、きっと今ごろはアトリエで不機嫌に頬を膨らませていることだろう。襲われていなければ、だが。
騎士団の連中は足止めをすることが目的なのか、下手に攻めてくるような真似はしてこない。どう見ても魔女のような女性が空からやってきたので、様子をうかがっているようだ。
体の操作をヴィオに任せ、お手伝いさんは思考を回転させる。即席の役割分担も同一人物であれば何の問題もなく行える。
「先生ならアトリエです! 僕がいま向かおうとしているんです! 大先生には向こうにいる隊長と看守さんを助けてあげて欲しいんです!」
お手伝いさんを錬金術士の元へ向かわせるための隙を作ってくれた二人。実力は折り紙つきだが、多勢に無勢ということもある。
自分が見事に足止めを食らっている以上、向こうもこう着状態にあるかもしれない。そして長期戦になった場合、不利なのは間違いなくこちら側。
「アトリエ……ここにはいねーのか」
「先生のことは僕に任せてください! 絶対に助けてみせますから!」
「やっぱりマズイ状況なんだな……?」
お手伝いさんの叫びを聞いて、嫌な予感が的中したと苦い顔をする師匠。今にもアトリエの方へ飛び立ってしまいそうな彼女をお手伝いさんは必死に呼び止めた。
「大先生! 隊長さんと看守さんは命の恩人なんです! 大切な約束も交わしたんです! こんなところで失いたくないんです!」
「…………」
お手伝いさんの心からの叫びは、
「ったくしゃーねーな。あとで覚えておきやがれ」
耳をかっぽじってイライラを美しい美貌に表しながらも、不承不承頷いてくれたのだった。
「おーよ。他に誰がいるってんだ?」
箒にまたがって空から糸に吊るされているかのように降りて来たのは、肌の露出が多い、魔女のような格好をした女性だった。
彼女は錬金術士の師匠であり、お手伝いさんにとっては先生の先生。
お手伝いさんは師匠の姿を見て、より確信を強くする。初めて見たときから魔女のような人だと思っていたが、箒に跨る姿は魔女そのもの。
師匠が魔女なのだから、その弟子であるところの錬金術士もまた、魔女。
「いや、そんなことはどうだっていいんだ」
思いもよらない援軍に、お手伝いさんは心の中で歓声をあげた。師匠の力を得ることができれば、このような状況は簡単に突破できる。
地獄のような特訓で、師匠の強さは身に染みている。
「大先生! よかったら手伝ってくれませんか?!」
「やなこった」
「はいぃ?!」
なんとかしてヴィオから体の所有権を奪い取り発言するも、簡単に拒否されてしまい、素っ頓狂な声をあげる。
「どうしてですか?!」
「テメーを手伝いにきたんじゃねーからな。あの子はどこだ?」
師匠の言う「あの子」とは錬金術士のこと。ふわふわとしたあの少女ならば、きっと今ごろはアトリエで不機嫌に頬を膨らませていることだろう。襲われていなければ、だが。
騎士団の連中は足止めをすることが目的なのか、下手に攻めてくるような真似はしてこない。どう見ても魔女のような女性が空からやってきたので、様子をうかがっているようだ。
体の操作をヴィオに任せ、お手伝いさんは思考を回転させる。即席の役割分担も同一人物であれば何の問題もなく行える。
「先生ならアトリエです! 僕がいま向かおうとしているんです! 大先生には向こうにいる隊長と看守さんを助けてあげて欲しいんです!」
お手伝いさんを錬金術士の元へ向かわせるための隙を作ってくれた二人。実力は折り紙つきだが、多勢に無勢ということもある。
自分が見事に足止めを食らっている以上、向こうもこう着状態にあるかもしれない。そして長期戦になった場合、不利なのは間違いなくこちら側。
「アトリエ……ここにはいねーのか」
「先生のことは僕に任せてください! 絶対に助けてみせますから!」
「やっぱりマズイ状況なんだな……?」
お手伝いさんの叫びを聞いて、嫌な予感が的中したと苦い顔をする師匠。今にもアトリエの方へ飛び立ってしまいそうな彼女をお手伝いさんは必死に呼び止めた。
「大先生! 隊長さんと看守さんは命の恩人なんです! 大切な約束も交わしたんです! こんなところで失いたくないんです!」
「…………」
お手伝いさんの心からの叫びは、
「ったくしゃーねーな。あとで覚えておきやがれ」
耳をかっぽじってイライラを美しい美貌に表しながらも、不承不承頷いてくれたのだった。
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