不老少女とふわふわたあめ
169 「誓って」
囲まれたお手伝いさんを凶刃から救ったのは、隊長のサミと看守のグランデ。
それぞれが力一杯に押し返し、状況を振り出しに戻した。
「この状況を簡単には飲み込めないんだが、オレたちどうやらハメられたらしいぜ」
「利用されたって言った方が正しそうよ。私とグランデはね」
三人で背中合わせに構え、周囲を警戒しつつ言葉を交わす。このことを知らされていなかったのは、サミとグランデの二人だけのようだ。
信じたくはないが、多くの部下にさえ、裏切られた形になる。
軽く言葉を交わす二人に、お手伝いさんは疑問を口にした。
「お二人は敵じゃないんですね?」
「そいつはどうかな。そもそも騎士団だって敵じゃない。今だけは、おたくの味方をしてるだけだ」
「何も聞かされてない以上、客人は守るのが騎士よ」
お手伝いさんにもどうしてこんな状況になったのかはわからない。だがわかることは、アトリエに急いで戻らなくては、錬金術士が危険だということ。
グランデは相手を鋭い剣幕で睨みつけ牽制しつつ、口角を上げて笑う。
「それに、オレはおたくのこと気に入ってんだ。魔女だかなんだか知らんが、魔女ってことは女なんだろ?」
「は、はい……。魔女だっていうのは僕も初めて知ったので、それを確かめる意味でも急いで戻りたいです」
「なら話は簡単だ。男が女に会いに行く理由なんざ、聞くだけ野暮ってもんよ!」
彼はお手伝いさんの背中を押してくれる。味方をしてくれる。それが命令違反だとしても、自分を貫くために。
「私は別にそこまで熱血じゃないけど、こういう騙し討ちみたいな真似は大っ嫌いなのよね。見つけたらぶっ潰したくなる」
サミも顔面を凶悪に染めて、身体中からほとばしる気迫は鬼の如し。その姿を見ただけで、騎士団の連中は尻込みすらしていた。
「こいつらは俺らが抑えてやる」
「あんたはその隙に行きなさい!」
「……ありがとう、ございます……!」
声だけで最大限の感謝を二人に。
お手伝いさんは、精一杯に踏み込んで目の前の一番近い地にいる馬に向かって駆け出す。
障害となる騎士団の隙間を縫うように駆け抜け、突き飛ばし、足をかけ、体当たりをし、傷つけないようにしつつ突破。
二人もそれを援護する形でついてきて、お手伝いさんは馬へと跨った。視点は高くなり、壁として立ちはだかってくれる二人は小さく、しかしその後ろ姿の頼もしさに大きく感じた。
「このお礼はいつか必ず!」
「酒と美味いもんでも奢ってくれや!」
「あんたはまだ呑めないでしょ! でも美味しいものには賛成よ!」
「……誓って!」
約束を心に刻み、お手伝いさんは馬を走らせる。
目的地は、アトリエ。
錬金術士が待つ大切な場所へ。
それぞれが力一杯に押し返し、状況を振り出しに戻した。
「この状況を簡単には飲み込めないんだが、オレたちどうやらハメられたらしいぜ」
「利用されたって言った方が正しそうよ。私とグランデはね」
三人で背中合わせに構え、周囲を警戒しつつ言葉を交わす。このことを知らされていなかったのは、サミとグランデの二人だけのようだ。
信じたくはないが、多くの部下にさえ、裏切られた形になる。
軽く言葉を交わす二人に、お手伝いさんは疑問を口にした。
「お二人は敵じゃないんですね?」
「そいつはどうかな。そもそも騎士団だって敵じゃない。今だけは、おたくの味方をしてるだけだ」
「何も聞かされてない以上、客人は守るのが騎士よ」
お手伝いさんにもどうしてこんな状況になったのかはわからない。だがわかることは、アトリエに急いで戻らなくては、錬金術士が危険だということ。
グランデは相手を鋭い剣幕で睨みつけ牽制しつつ、口角を上げて笑う。
「それに、オレはおたくのこと気に入ってんだ。魔女だかなんだか知らんが、魔女ってことは女なんだろ?」
「は、はい……。魔女だっていうのは僕も初めて知ったので、それを確かめる意味でも急いで戻りたいです」
「なら話は簡単だ。男が女に会いに行く理由なんざ、聞くだけ野暮ってもんよ!」
彼はお手伝いさんの背中を押してくれる。味方をしてくれる。それが命令違反だとしても、自分を貫くために。
「私は別にそこまで熱血じゃないけど、こういう騙し討ちみたいな真似は大っ嫌いなのよね。見つけたらぶっ潰したくなる」
サミも顔面を凶悪に染めて、身体中からほとばしる気迫は鬼の如し。その姿を見ただけで、騎士団の連中は尻込みすらしていた。
「こいつらは俺らが抑えてやる」
「あんたはその隙に行きなさい!」
「……ありがとう、ございます……!」
声だけで最大限の感謝を二人に。
お手伝いさんは、精一杯に踏み込んで目の前の一番近い地にいる馬に向かって駆け出す。
障害となる騎士団の隙間を縫うように駆け抜け、突き飛ばし、足をかけ、体当たりをし、傷つけないようにしつつ突破。
二人もそれを援護する形でついてきて、お手伝いさんは馬へと跨った。視点は高くなり、壁として立ちはだかってくれる二人は小さく、しかしその後ろ姿の頼もしさに大きく感じた。
「このお礼はいつか必ず!」
「酒と美味いもんでも奢ってくれや!」
「あんたはまだ呑めないでしょ! でも美味しいものには賛成よ!」
「……誓って!」
約束を心に刻み、お手伝いさんは馬を走らせる。
目的地は、アトリエ。
錬金術士が待つ大切な場所へ。
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