不老少女とふわふわたあめ
141 「チナファミリー」
「さ、どうぞ召し上がりください」
「あ……ありがとうごさいます」
目の前に出された数々の食事に戸惑いながら、お手伝いさんは頭を下げた。
彼の目の前にいる女性は、郵便ちゃんことチナをそのまま大きくしたような、大人な女性。さすがにウサミミはつけていないが、笑った顔はそっくりだ。
「ママのご飯も美味しいので、ぜひ食べてってくださいっ!」
郵便ちゃんが、花のように笑ってくれる。
そう。ここは郵便ちゃんの家。泊まる宿を探して彷徨っていたら偶然郵便ちゃんと出会い、あれよあれよという間にもてなされてしまった。
もう夜も更けて、起きている人の方が少ないような時間帯のはずだが、この家には煌々と明かりが点っている。
不思議に思っていると、それを察したのか、郵便ちゃんの母、チナママが微笑みながら教えてくれた。
「ウチは代々夜更かしな家系なんですよ。正確には、少ない睡眠時間でも問題ないからなんですけど」
「そ、そうなんですか」
いぬねこちゃんが夜行性であったが、もしかしたら郵便ちゃんの家系も、夜行性と言えるのかもしれない。
そんなことを思いながら、「いただきます」と手を合わせてから口に運ぶ。
「本当だ、美味しいです!」
何かの豆のスープに、色とりどりな野菜炒め。とにかく野菜多めのヘルシーなメニュー。
まさにベジタリアンのような食事だが、想像よりも味は濃い。
「残り物で申し訳ないけど、お口に合ったみたいで、よかったわ」
手を合わせて、チナママが目を細めて微笑んだ。
「錬金術士さんは一緒じゃないんですっ?」
郵便ちゃんの純粋な目が疑問を投げ掛けてきた。少女からすれば錬金術士とお手伝いさんはセットのようなものなのだろう。実際、別々に行動しているときに会ったのは今日が初めてだ。
「先生は……ちょっとわけがありまして、別行動してるんですよ」
真実を話すわけにもいかないので、適当に誤魔化すようなことを言うしかなかった。
「そうなんですか……」
郵便ちゃんはシュンとうなだれてしまった。錬金術士に何か用事でもあったのだろうか? 残念そうなその反応を、お手伝いさんは少しばかり意外に思った。
嫌いと言うほどではないにしろ、苦手意識はあるものと思っていたのだが。
「やっぱりアレですかっ? 例の手紙の件でっ?」
「うん、そうだよ」
飲み物で喉を潤しながら頷く。
そのとき、奥から新たな人影が現れた。
「ちょっと、こんな時間にお客さん? ダレ? うるさくて集中できないんだけど」
郵便ちゃんとその母親の中間のような外見。恐らく郵便ちゃんのお姉さんだろう。
話し声が聞こえてきて、気に障ってしまったのか不機嫌そうな表情を浮かべていた。
目が合うと、不機嫌さが悪化した。
とにかく初対面の人には自己紹介をと思い、テーブルから腰を上げて軽く頭を下げる。
「初めまして。草原のアトリエから来た、ヴィオと申します。夜分遅くにお邪魔しちゃってごめんなさい」
アトリエという単語を聞いて、彼の後頭部を見下す郵便ちゃんのお姉さんは目を剥いた。
「ちょっと来て」
「えぇ?!」
突如腕を掴まれ、別の部屋へと連れていかれてしまったお手伝いさん。
そんな光景を、郵便ちゃんとチナママは呆然と眺めていることしかできなかった。
「あ……ありがとうごさいます」
目の前に出された数々の食事に戸惑いながら、お手伝いさんは頭を下げた。
彼の目の前にいる女性は、郵便ちゃんことチナをそのまま大きくしたような、大人な女性。さすがにウサミミはつけていないが、笑った顔はそっくりだ。
「ママのご飯も美味しいので、ぜひ食べてってくださいっ!」
郵便ちゃんが、花のように笑ってくれる。
そう。ここは郵便ちゃんの家。泊まる宿を探して彷徨っていたら偶然郵便ちゃんと出会い、あれよあれよという間にもてなされてしまった。
もう夜も更けて、起きている人の方が少ないような時間帯のはずだが、この家には煌々と明かりが点っている。
不思議に思っていると、それを察したのか、郵便ちゃんの母、チナママが微笑みながら教えてくれた。
「ウチは代々夜更かしな家系なんですよ。正確には、少ない睡眠時間でも問題ないからなんですけど」
「そ、そうなんですか」
いぬねこちゃんが夜行性であったが、もしかしたら郵便ちゃんの家系も、夜行性と言えるのかもしれない。
そんなことを思いながら、「いただきます」と手を合わせてから口に運ぶ。
「本当だ、美味しいです!」
何かの豆のスープに、色とりどりな野菜炒め。とにかく野菜多めのヘルシーなメニュー。
まさにベジタリアンのような食事だが、想像よりも味は濃い。
「残り物で申し訳ないけど、お口に合ったみたいで、よかったわ」
手を合わせて、チナママが目を細めて微笑んだ。
「錬金術士さんは一緒じゃないんですっ?」
郵便ちゃんの純粋な目が疑問を投げ掛けてきた。少女からすれば錬金術士とお手伝いさんはセットのようなものなのだろう。実際、別々に行動しているときに会ったのは今日が初めてだ。
「先生は……ちょっとわけがありまして、別行動してるんですよ」
真実を話すわけにもいかないので、適当に誤魔化すようなことを言うしかなかった。
「そうなんですか……」
郵便ちゃんはシュンとうなだれてしまった。錬金術士に何か用事でもあったのだろうか? 残念そうなその反応を、お手伝いさんは少しばかり意外に思った。
嫌いと言うほどではないにしろ、苦手意識はあるものと思っていたのだが。
「やっぱりアレですかっ? 例の手紙の件でっ?」
「うん、そうだよ」
飲み物で喉を潤しながら頷く。
そのとき、奥から新たな人影が現れた。
「ちょっと、こんな時間にお客さん? ダレ? うるさくて集中できないんだけど」
郵便ちゃんとその母親の中間のような外見。恐らく郵便ちゃんのお姉さんだろう。
話し声が聞こえてきて、気に障ってしまったのか不機嫌そうな表情を浮かべていた。
目が合うと、不機嫌さが悪化した。
とにかく初対面の人には自己紹介をと思い、テーブルから腰を上げて軽く頭を下げる。
「初めまして。草原のアトリエから来た、ヴィオと申します。夜分遅くにお邪魔しちゃってごめんなさい」
アトリエという単語を聞いて、彼の後頭部を見下す郵便ちゃんのお姉さんは目を剥いた。
「ちょっと来て」
「えぇ?!」
突如腕を掴まれ、別の部屋へと連れていかれてしまったお手伝いさん。
そんな光景を、郵便ちゃんとチナママは呆然と眺めていることしかできなかった。
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