不老少女とふわふわたあめ
136 「なんだこれ」
完成したばかりのテーブルとイスをお手伝いさんがアトリエに運び込んでいると――、
「ハッ?! この足音はー!」
と、急に錬金術士のテンションが上昇した。目を輝かせて、待ちきれない子供のようにソワソワとしだす。
「先生? どうしたんですか?」
とお手伝いさんが聞いている間に、とんでもない速度でソレはやってきた。
「おはようございますっ! 郵便ですっ!」
小さな身体に大きなウサミミが印象的な、郵便ちゃんことチナがやってきた。
白金色の髪をうっすら浮かんだ汗に張り付かせて、元気な笑顔を見せてくれる。
テンションが急上昇したことからもわかる通り、錬金術士は郵便ちゃんのことがいたく気に入っている。ズバリ可愛らしいからだが、少々スキンシップが過ぎるようで郵便ちゃんからは微妙に距離を置かれていた。
「はいっ、どうぞっ!」
それでも直接手渡してくれるあたり、仕事に熱心というか、真面目な女の子であった。
錬金術士はしっかりと受け取って「お疲れさまー」と労をねぎらうと、いつもはすぐに去ってしまうのたが、今日は違った。
「あの……なにかあったんですかっ?」
「んー? 何かって?」
「だって、アトリエの様子がいつもと……」
郵便ちゃんの大きな瞳は継ぎ接ぎに補修されたアトリエを眺めていた。
錬金術に失敗して大爆発したのは昨日の今日であるし、郵便ちゃんも仕事の都合でよく訪れるが毎日というわけでもない。
純粋に、様変わりしたアトリエに疑問を抱いたようだった。
「ちょっと練金に失敗しちゃってねー。ボーン! ってなって、こんな感じになっちゃった」
「なんとっ?! おケガはしてないですかっ?!」
「見ての通り、慣れてるから大丈夫だよー。お手伝い君もねー」
それを聞いてホッ、と胸を撫で下ろした郵便ちゃん。たったそれだけの仕草でも可愛らしくて、抱きしめたい欲求に駆られた錬金術士だが、ここはグッとこらえた。
「ごめんねー、ほんとはお茶にでもお誘いしたいんだけど、こんなだからさー」
「いえいえっ! こちらこそ、知っていればなにか差し入れとか持ってきたんですけどっ……!」
「いやいや、それは悪いよー! 来てくれただけでも充分だよー!」
「いえいえそんなっ!」
「いやいやー!」
「いえいえっ!」
延々と繰り返される「いやいや」と「いえいえ」の攻防。
しまいにはお互いによくわからなくなってきて、
「「イェーイ!」」
とハイタッチを交わすまでに発展していた。
(なんだこれ……)
会話に入り込む隙を見出だせなかったお手伝いさんは、苦笑いを浮かべて不毛なやりとりを眺めているしかなった。
「ハッ?! この足音はー!」
と、急に錬金術士のテンションが上昇した。目を輝かせて、待ちきれない子供のようにソワソワとしだす。
「先生? どうしたんですか?」
とお手伝いさんが聞いている間に、とんでもない速度でソレはやってきた。
「おはようございますっ! 郵便ですっ!」
小さな身体に大きなウサミミが印象的な、郵便ちゃんことチナがやってきた。
白金色の髪をうっすら浮かんだ汗に張り付かせて、元気な笑顔を見せてくれる。
テンションが急上昇したことからもわかる通り、錬金術士は郵便ちゃんのことがいたく気に入っている。ズバリ可愛らしいからだが、少々スキンシップが過ぎるようで郵便ちゃんからは微妙に距離を置かれていた。
「はいっ、どうぞっ!」
それでも直接手渡してくれるあたり、仕事に熱心というか、真面目な女の子であった。
錬金術士はしっかりと受け取って「お疲れさまー」と労をねぎらうと、いつもはすぐに去ってしまうのたが、今日は違った。
「あの……なにかあったんですかっ?」
「んー? 何かって?」
「だって、アトリエの様子がいつもと……」
郵便ちゃんの大きな瞳は継ぎ接ぎに補修されたアトリエを眺めていた。
錬金術に失敗して大爆発したのは昨日の今日であるし、郵便ちゃんも仕事の都合でよく訪れるが毎日というわけでもない。
純粋に、様変わりしたアトリエに疑問を抱いたようだった。
「ちょっと練金に失敗しちゃってねー。ボーン! ってなって、こんな感じになっちゃった」
「なんとっ?! おケガはしてないですかっ?!」
「見ての通り、慣れてるから大丈夫だよー。お手伝い君もねー」
それを聞いてホッ、と胸を撫で下ろした郵便ちゃん。たったそれだけの仕草でも可愛らしくて、抱きしめたい欲求に駆られた錬金術士だが、ここはグッとこらえた。
「ごめんねー、ほんとはお茶にでもお誘いしたいんだけど、こんなだからさー」
「いえいえっ! こちらこそ、知っていればなにか差し入れとか持ってきたんですけどっ……!」
「いやいや、それは悪いよー! 来てくれただけでも充分だよー!」
「いえいえそんなっ!」
「いやいやー!」
「いえいえっ!」
延々と繰り返される「いやいや」と「いえいえ」の攻防。
しまいにはお互いによくわからなくなってきて、
「「イェーイ!」」
とハイタッチを交わすまでに発展していた。
(なんだこれ……)
会話に入り込む隙を見出だせなかったお手伝いさんは、苦笑いを浮かべて不毛なやりとりを眺めているしかなった。
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