不老少女とふわふわたあめ
028 「一人」
お手伝いさんといぬねこを掻っ攫って、あっという間に遠ざかっていく影を見送りつつ、
「あららららー。もうあんなに遠くに行っちゃったー」
錬金術士は特段慌てている様子を見せない。
「まー、いぬねこちゃんもいるし大丈夫だとは思うけど……」
でも心配が無い訳ではない。
お手伝いさんも丸腰じゃないし、いぬねこだってその知識量で役には立つはずだ。きっとそれらを駆使してうまく脱出するだろうが、相手は怪鳥だ。
考えてみればあの二人の組み合わせは珍しいというか、ほとんど初めてだったように思う。いぬねこはいつも錬金術士のそばについていたし、今更ながらお喋りな生き物が近くにいない事が、不自然に感じてくる。
それよりも問題なのは錬金術士の方だった。
「一人ってつまんなーい!」
錬金術士にはいぬねこがいるので話し相手には困らなかった。でも今は攫われてしまったためその姿は見当たらない。
それに、お手伝いさんも言っていたが錬金術士には体力が無い。疲れたらお手伝いさんに背負ってもらおうとか密かに考えていたのだが、当の本人がいなくなってしまったためそれも叶わない。
これから登るハメになる山は、詳しくは忘れたが結構な標高があったように記憶している。
本当に槍を杖代わりにして自力で頑張るしかないのかと思う。
お手伝いさんに甘えていたんだなと、まさかこんな所で実感する事になるなんて思ってもみなかった。
「っていうかあの怪鳥……」
山の方向に飛んでいった。
それは捉え方を変えれば、山まで運んでくれたという事にならないか?
「攫うなら私を攫ってってよー!」
そんな事を言っても後の祭りだった。
それに、錬金術士が攫われればきっとお手伝いさんは必死になって助けにきてくれるだろう。なんとも萌える……いや燃える展開じゃないか。
「はぁ……」
叫んだところで返事どころか山彦すら帰ってこない。
久々の一人きりに心細くなりつつも、師匠の所に向かっていればどこかで会えるはずだ。最悪師匠の家で待っていれば向こうからやってくるはず、と考え直す。
そうと決まれば、錬金術士の足は自然と速くなり、山の頂上付近を目指す。
師匠に会う事よりも、早く二人に再会するために。
「あららららー。もうあんなに遠くに行っちゃったー」
錬金術士は特段慌てている様子を見せない。
「まー、いぬねこちゃんもいるし大丈夫だとは思うけど……」
でも心配が無い訳ではない。
お手伝いさんも丸腰じゃないし、いぬねこだってその知識量で役には立つはずだ。きっとそれらを駆使してうまく脱出するだろうが、相手は怪鳥だ。
考えてみればあの二人の組み合わせは珍しいというか、ほとんど初めてだったように思う。いぬねこはいつも錬金術士のそばについていたし、今更ながらお喋りな生き物が近くにいない事が、不自然に感じてくる。
それよりも問題なのは錬金術士の方だった。
「一人ってつまんなーい!」
錬金術士にはいぬねこがいるので話し相手には困らなかった。でも今は攫われてしまったためその姿は見当たらない。
それに、お手伝いさんも言っていたが錬金術士には体力が無い。疲れたらお手伝いさんに背負ってもらおうとか密かに考えていたのだが、当の本人がいなくなってしまったためそれも叶わない。
これから登るハメになる山は、詳しくは忘れたが結構な標高があったように記憶している。
本当に槍を杖代わりにして自力で頑張るしかないのかと思う。
お手伝いさんに甘えていたんだなと、まさかこんな所で実感する事になるなんて思ってもみなかった。
「っていうかあの怪鳥……」
山の方向に飛んでいった。
それは捉え方を変えれば、山まで運んでくれたという事にならないか?
「攫うなら私を攫ってってよー!」
そんな事を言っても後の祭りだった。
それに、錬金術士が攫われればきっとお手伝いさんは必死になって助けにきてくれるだろう。なんとも萌える……いや燃える展開じゃないか。
「はぁ……」
叫んだところで返事どころか山彦すら帰ってこない。
久々の一人きりに心細くなりつつも、師匠の所に向かっていればどこかで会えるはずだ。最悪師匠の家で待っていれば向こうからやってくるはず、と考え直す。
そうと決まれば、錬金術士の足は自然と速くなり、山の頂上付近を目指す。
師匠に会う事よりも、早く二人に再会するために。
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