不老少女とふわふわたあめ
052 「お掃除は大変」
師匠、錬金術士、いぬねこの二人と一匹が奥の部屋で何かをやっている間、恐らくは武器の作り方を教わると言っていたので教えてもらっているのだろうが、お手伝いさんは言われた通り散乱とした部屋の掃除を一人で黙々とこなしていた。
考えてみれば、ここの掃除は一人でやった方が効率がいいことに気がついてからは、不思議と憂鬱な気分では無くなっていた。
錬金術士はそもそも掃除が出来るような人じゃない事は分かりきっていたし、師匠は会ったばかりだけどこの部屋の有様を見れば掃除が出来ない人というのはひしひしと伝わってくる。いぬねこは人じゃないから居た所でまともに掃除が出来るとは思えない。
以上の事から、掃除を一人でやる事になるのは決定事項だったのだ。
諦めもつけば少しは気が軽くなると言うもの。
お手伝いさんは手始めに散らばっている本達をもとの場所に戻す事にした。
壁際にある、すっからかんになっていた本棚は自分の存在意義について長い間疑問に思っていた事だろう。
でも安心して欲しい、もうすぐお手伝いさんがお前を本来のあるべき姿へ戻してくれる。ついでに並び順にも気を使ってキッチリ奇麗にやってくれるはずだ。
「人体錬成……」
とても危なっかしそうな本もチラホラ落ちていたが、そこは気付かぬフリをして本棚に戻していく。
中には子供に読み聞かせるような絵本まで落ちていたが、これも見なかった事にしておこう。
まさか師匠が絵本好きなんて、そんな事はないだろう。きっとこれも錬金術に必要な資料として使っているに違いない。
絵本が錬金術の資料になるかはさておいて。
分厚い本が数多くあったため結構な重労働になったが、ある程度は片付ける事が出来た。
続いては埃を払いたい所なのだが、箒と塵取り、それにゴミ箱も見当たらない。
「これでどうやって掃除しろと……」
それらが無いと掃除のしようがない。もっと言えば水拭きだってしたいのだ。箒と塵取りと一緒に雑巾も探さなくては。
「そう言えば倉庫があったな……」
二人と一匹が出て行った奥の通路に『倉庫』と書かれた部屋があった事を思い出した。
そして何かを忘れているというか、忘れられているというか、強制的な記憶の改ざんとしか言えない違和感を感じたような気がしたが、無理に思い出そうとすると泥沼にはまったかのように記憶が沈んでいってしまう。
奥の部屋で何かを見たような気がするのだが……?
とにかく倉庫に行けば目当ての物が置いてあるかも知れない。そうと決まれば行動あるのみ。さっそく倉庫を見に行ってみよう。
「うっわ……」
倉庫はさっきの部屋よりもさらにとんでもない事になっていた。
一体どうすればこんな事になるのかお手伝いさんにも意味不明である。
「ていうかこれ何……カエル?」
棚に並べられた埃まみれの瓶の中には、何かの液体に浸された一匹のカエルがそのままの状態で入っていた。身動き一つ取らないし、恐らく死んでいるだろう。
しかし埃のかぶり方から倉庫の荒れ方まで考えると、かなりの時間が経っているはずなのだが、このカエルは腐ったりしておらず、奇麗な状態で保存されていた。
「こっちはヘビ……こっちは、鳥……これは……モグラ?」
かなりグロテスクな映像にお手伝いさんの気分が段々と悪くなってくる。
確かに錬金術に必要な材料としてこうやって保存しておく事は必要かも知れないが、こんな物を見たのは初めてだった。錬金術士と今まで過ごしてきたが、こんな物を練金に使った場面は見た事が無い。
これじゃ本当に魔女みたいだ。
本格的に気分が悪くなったお手伝いさんは、目をそらした先で偶然見つけた箒と塵取り、それに雑巾を手にして先程の部屋へと戻って行った。
考えてみれば、ここの掃除は一人でやった方が効率がいいことに気がついてからは、不思議と憂鬱な気分では無くなっていた。
錬金術士はそもそも掃除が出来るような人じゃない事は分かりきっていたし、師匠は会ったばかりだけどこの部屋の有様を見れば掃除が出来ない人というのはひしひしと伝わってくる。いぬねこは人じゃないから居た所でまともに掃除が出来るとは思えない。
以上の事から、掃除を一人でやる事になるのは決定事項だったのだ。
諦めもつけば少しは気が軽くなると言うもの。
お手伝いさんは手始めに散らばっている本達をもとの場所に戻す事にした。
壁際にある、すっからかんになっていた本棚は自分の存在意義について長い間疑問に思っていた事だろう。
でも安心して欲しい、もうすぐお手伝いさんがお前を本来のあるべき姿へ戻してくれる。ついでに並び順にも気を使ってキッチリ奇麗にやってくれるはずだ。
「人体錬成……」
とても危なっかしそうな本もチラホラ落ちていたが、そこは気付かぬフリをして本棚に戻していく。
中には子供に読み聞かせるような絵本まで落ちていたが、これも見なかった事にしておこう。
まさか師匠が絵本好きなんて、そんな事はないだろう。きっとこれも錬金術に必要な資料として使っているに違いない。
絵本が錬金術の資料になるかはさておいて。
分厚い本が数多くあったため結構な重労働になったが、ある程度は片付ける事が出来た。
続いては埃を払いたい所なのだが、箒と塵取り、それにゴミ箱も見当たらない。
「これでどうやって掃除しろと……」
それらが無いと掃除のしようがない。もっと言えば水拭きだってしたいのだ。箒と塵取りと一緒に雑巾も探さなくては。
「そう言えば倉庫があったな……」
二人と一匹が出て行った奥の通路に『倉庫』と書かれた部屋があった事を思い出した。
そして何かを忘れているというか、忘れられているというか、強制的な記憶の改ざんとしか言えない違和感を感じたような気がしたが、無理に思い出そうとすると泥沼にはまったかのように記憶が沈んでいってしまう。
奥の部屋で何かを見たような気がするのだが……?
とにかく倉庫に行けば目当ての物が置いてあるかも知れない。そうと決まれば行動あるのみ。さっそく倉庫を見に行ってみよう。
「うっわ……」
倉庫はさっきの部屋よりもさらにとんでもない事になっていた。
一体どうすればこんな事になるのかお手伝いさんにも意味不明である。
「ていうかこれ何……カエル?」
棚に並べられた埃まみれの瓶の中には、何かの液体に浸された一匹のカエルがそのままの状態で入っていた。身動き一つ取らないし、恐らく死んでいるだろう。
しかし埃のかぶり方から倉庫の荒れ方まで考えると、かなりの時間が経っているはずなのだが、このカエルは腐ったりしておらず、奇麗な状態で保存されていた。
「こっちはヘビ……こっちは、鳥……これは……モグラ?」
かなりグロテスクな映像にお手伝いさんの気分が段々と悪くなってくる。
確かに錬金術に必要な材料としてこうやって保存しておく事は必要かも知れないが、こんな物を見たのは初めてだった。錬金術士と今まで過ごしてきたが、こんな物を練金に使った場面は見た事が無い。
これじゃ本当に魔女みたいだ。
本格的に気分が悪くなったお手伝いさんは、目をそらした先で偶然見つけた箒と塵取り、それに雑巾を手にして先程の部屋へと戻って行った。
「ファンタジー」の人気作品
書籍化作品
-
-
353
-
-
149
-
-
37
-
-
111
-
-
2
-
-
549
-
-
310
-
-
32
-
-
124
コメント