不老少女とふわふわたあめ
062 「名付けてチャッカマン」
お手伝いさんはすぐに切り替える。
取られてしまったなら取り返すなり新しい武器を見つけるなりすればいい。
取り返すのは今更だしリスキーなので、ここは周囲に落ちているガラクタから改めて使えそうな物を探したほうが良さそうだ。
しかし師匠が呑気に新しい武器を見つけるまで待ってくれるわけもない。
「オラオラ! さっきの勢いはどこ行ったよ⁈」
「くっ!」
叫ぶように言いながらスプーンで爆弾を次々と放り込んでくる。地面の土が爆弾に変化しているので、事実上無制限に爆弾を放り投げることができる。
少しでも動き回って狙いを絞らせないようにして、お手伝いさんは考える。
師匠に一撃でも有効打を与えることが出来ればこの勝負はお手伝いさんの勝ちとなる。
だから師匠に一撃を加えることだけに意識が集中していたが、何よりも厄介なのはあのスプーン。
あれさえなんとか出来れば一撃を加える事は容易いとまでは行かなくとも、ある程度容易になるのでは?
お手伝いさんの手から連結刃を絡め取ったように、師匠の手からスプーンを奪うことは出来ないだろうか。
(うーん……無理だな!)
脳内シミュレートしてみた結果、何度試そうが返り討ちにされた。
やはり勝負がついたと思われたその瞬間しかお手伝いさんに勝ち目はなさそう。
逃げ回りながらも、バレないようにコッソリと少しづつ仕掛けを施してゆく。途中で看破されてしまいそうだが、今のところは大丈夫。油断しているのかもしれない。
願わくばそのまま油断していて欲しい。そうすればより確実なものになる。
(ん……これは⁈)
走りながら適当にガラクタから掴み取った物。それは銃のような形状をした何かだった。
形は銃のそれだが、弾を入れる弾倉が見当たらない。一発限りの使い捨て? そんな銃は聞いた事がないし、仮にそうだったとして、ここに捨ててあるということはすでに使用済み?
考えていても仕方がない。
とにかく銃口を師匠に向けて引き金を引いた。もし本当に銃弾が発射されたとしても、師匠ならあのスプーンで弾いてしまうだろうが、念のためギリギリ当たらないコースを狙う。
カチッ。
「…………」
弾は出なかった。
だが何も出なかったわけではなく、銃口からマッチ程度の火が燃え上がっている。
「銃だとでも思ったか? 残念、それは消耗品のマッチに変わる火種、名付けてチャッカマンだ。ハッキリ言って攻撃には使えねーぜ?」
当然師匠はこれがどんなものか知っていたから、銃口を向けても何も反応しなかったわけだ。
だがお手伝いさんはニヤリと笑う。
「何がおかしい? 言っとくが『チャッカマン』って名前はアタシが付けたわけじゃねーぞ。本にそう書いてあっただけだからな」
それじゃ名付けてないじゃないか、というツッコミはさて置いて。
これがあれば作戦を実行できる。
準備は整った。
「僕の勝ちです」
確信をもって、お手伝いさんは宣言した。
取られてしまったなら取り返すなり新しい武器を見つけるなりすればいい。
取り返すのは今更だしリスキーなので、ここは周囲に落ちているガラクタから改めて使えそうな物を探したほうが良さそうだ。
しかし師匠が呑気に新しい武器を見つけるまで待ってくれるわけもない。
「オラオラ! さっきの勢いはどこ行ったよ⁈」
「くっ!」
叫ぶように言いながらスプーンで爆弾を次々と放り込んでくる。地面の土が爆弾に変化しているので、事実上無制限に爆弾を放り投げることができる。
少しでも動き回って狙いを絞らせないようにして、お手伝いさんは考える。
師匠に一撃でも有効打を与えることが出来ればこの勝負はお手伝いさんの勝ちとなる。
だから師匠に一撃を加えることだけに意識が集中していたが、何よりも厄介なのはあのスプーン。
あれさえなんとか出来れば一撃を加える事は容易いとまでは行かなくとも、ある程度容易になるのでは?
お手伝いさんの手から連結刃を絡め取ったように、師匠の手からスプーンを奪うことは出来ないだろうか。
(うーん……無理だな!)
脳内シミュレートしてみた結果、何度試そうが返り討ちにされた。
やはり勝負がついたと思われたその瞬間しかお手伝いさんに勝ち目はなさそう。
逃げ回りながらも、バレないようにコッソリと少しづつ仕掛けを施してゆく。途中で看破されてしまいそうだが、今のところは大丈夫。油断しているのかもしれない。
願わくばそのまま油断していて欲しい。そうすればより確実なものになる。
(ん……これは⁈)
走りながら適当にガラクタから掴み取った物。それは銃のような形状をした何かだった。
形は銃のそれだが、弾を入れる弾倉が見当たらない。一発限りの使い捨て? そんな銃は聞いた事がないし、仮にそうだったとして、ここに捨ててあるということはすでに使用済み?
考えていても仕方がない。
とにかく銃口を師匠に向けて引き金を引いた。もし本当に銃弾が発射されたとしても、師匠ならあのスプーンで弾いてしまうだろうが、念のためギリギリ当たらないコースを狙う。
カチッ。
「…………」
弾は出なかった。
だが何も出なかったわけではなく、銃口からマッチ程度の火が燃え上がっている。
「銃だとでも思ったか? 残念、それは消耗品のマッチに変わる火種、名付けてチャッカマンだ。ハッキリ言って攻撃には使えねーぜ?」
当然師匠はこれがどんなものか知っていたから、銃口を向けても何も反応しなかったわけだ。
だがお手伝いさんはニヤリと笑う。
「何がおかしい? 言っとくが『チャッカマン』って名前はアタシが付けたわけじゃねーぞ。本にそう書いてあっただけだからな」
それじゃ名付けてないじゃないか、というツッコミはさて置いて。
これがあれば作戦を実行できる。
準備は整った。
「僕の勝ちです」
確信をもって、お手伝いさんは宣言した。
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