異世界で始める人生改革 ~貴族編〜(公爵編→貴族編

ノベルバユーザー202613

第23話 王都に向かう一行

正直に言えば行きたくない。

人がいっぱいいるところに行きたくないのではない。
街を見たりするのは結構好きだし、そもそも俺は引きこもりではない。
まあ引きこもりにさえなれなかったのだが。

そうではなく、話し掛けられたくないのだ。
そして話したくないのだ。
自分の発言に自信が持てない。
うっかり相手を傷つける可能性さえあるのだ。
あの場でそんな発言をしたらうっかりでは済まない。子供だけに話し掛けられるならまだしも大人に話し掛けられる可能性がある。

俺は公爵家の長男でお父様ももう俺が跡を継ぐことを確信している。
そろそろ冒険者になる事を言うべきだ。
遅くなれば遅くなるほどこじれる。

まあそれは置いておいて、そうなると次から次へと挨拶されるだろう。

あと、ぶっちゃけ面倒くさいっす。
名前覚えるのも苦手だしな。
俺の感覚としては自分が公爵という感覚はない。
俺の心は未だ平民以下なのだ。
そんな所に次から次へと貴族に頭を下げられたりしたら吐くと思う。

(途中で抜け出す算段を整えないと)

そう思い、今から緊張する俺だった。


そして出発の日がやってきて、馬車数十台と、騎士が50人近くがついての大名行列だ。

子供は俺と第2夫人の長男と次男と第3夫人の長女の四人だ。

第2夫人の次男は本来まだなのだが、(敵だらけの)家に置いておけないという第2夫人の発言で連れて行く事になった。

あとはお父様とお母様、第2夫人と第3夫人が来る。

奴隷はスクナとアイナを連れてきた。
パーティは毎回王都で行われるので、街をぶらつくのにきてもらうためだ。

そうこうしている間に準備が終わり、いざ出発の時間となる。

後ろで第2夫人が
「跡取りは公爵家の次女であるこの私の長男であるプロウスと周りにおっしゃってくださいまし!!」

と、お父様言い寄っている。
因みに、プロウスというのは第2夫人の長男である。

お父様は鬱陶しそうに
「オリオン家を継ぐのはレインだ!
結婚する時にもちゃんと説明しただろう!」
とお怒り気味だ。

(まあ、俺じゃなく俺同腹の弟か第4夫人の男の子に任せるがな)
お母様は1年と半年前には弟を産んだ。

この国というか大陸全体で女性貴族というのは風当たりが強い。
いないわけではないし実際この国にもいない事はないが、やはり陰口はある(らしい)。

それに苦しめられてきた人間としては妹達にそんな想いはして欲しくない。

いい加減イラついたようで早々に自分の馬車に乗りこむ。
因みに俺はお母様と第3夫人とその娘レイシアと同じ馬車だ。

(美少女と美女3人に囲まれてラッキー!!


な訳が無いだろうー!!)

すごい居づらい。
3人は桃色の空気を振りまきながら、お喋りに花を咲かせている。

(迂闊だった。お父様が怒ってなかったらあっちの馬車に行っていたのに・・・
第2夫人、許すまじ)

と仕方ないので、しばらく窓の外を神眼で見ていると、

「〜〜」

「ねー!レインお兄様ってば!!」

と意識を無理やり馬車に連れて来させられる。

「な、何ぞや!?」
「ぞや?」

「あ、いや何?」

「レインお兄様はどんな女性がオコノミなのですか!!」
と目を輝かせて俺のことを見てくる。
(ま、眩しい!おじさん溶けてしまいそうだよ!!

ゴホン、冗談はこれぐらいにしておませなレイシアにはなんと言えばいいのか・・・)

「そうだね、やはりお淑やかで可愛い子がいいかな」

と、無難に答えておく。

「レイン、もう少し具体的な好みはないのかしら?」

とお母様が横槍をいれてくる。

「まだ5歳ですので、それに同年代の女性とはまだほとんど会った事がありませんからね」

「あら、それもそうね」

とまた3人で話を再開させるので俺も神眼での周辺探索を開始する。

すると、150メートルほど先に本に書いてあったゴブリンみたいな生物がいた。

(ウオーーーー!!!初めて見たーーーー!
まさしく緑っぽい体表と歪んだような顔をした生物がそこにいるーーーー!!!)

と初めて見たゴブリンに興奮してしまった。
そうすると、

「レイン、レイン!凄い汗かいているじゃありませんか!大丈夫なの!馬車酔いでもしたの?」

「い、いえ、大丈夫です!本当に大丈夫ですから」

ゴブリン如きで何興奮してんだよ、と思われるかもしれないが
(いや、リアルで見るとマジで興奮する!!)

ついうっかり手に汗を握ってしまったらしい。体中も汗びっしょりだ。
ゴブリンはこちらに気づいたようだが人数が多すぎるため諦めてさっさと逃げてしまった。

また暫くして一度休憩になって馬車を降りることができたので、次はお父様の馬車に乗る。

すると、王女様方の名前と王子様方の名前、それに対する諸注意というか失礼の無いようにだとかを言われ、
最後に、
「私と同じ様に最後は好きな女を選べ、私はそれを応援する」
といっていた。

それからは、妻たちに対する愚痴を聞きながら、王都を目指していた。


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