異世界で始める人生改革 ~貴族編〜(公爵編→貴族編

ノベルバユーザー202613

第24話 王様への初の謁見

それからお父様としばらく話していると、王都に到着する。

馬車のドアから外に顔を出し王都の城壁を見上げる。

「・・・でかっ!」

そうとしか言えないぐらい立派な城壁がそこにあった。

(いやでかくね?15メートルくらいあんぞ!
俺の家の城壁が精々10メートルだからな。
前世の世界でもこの高さの城壁はそうそう無いぞ・・・
うちって小国だったよな?文明の違いってやつか)

城マニアでは別に無いが友達がいなかった高校時代色々な趣味に手を出していたため、これでも結構器用貧乏だっだりする。

特に三国志や日本の戦国時代などの戦争ものは結構好きだったためそれなりに勉強している。

城門前には人がいるが当然素通りしてほぼ顔パスで王都に入る。

「おお・・・おおおぉぉぉ!!!」

と都に入って流石の大きさに圧倒される。

「ハッハッハッ、驚いたかレイン、これがわが国最大の都である王都である」

「はい!とても驚きました。
道や広場などが僕の領土より一回り大きいですね、しかも遠くにお城が見えます
あそこに陛下が住んでおられるのですね」

「うむ!その通り!これから何度も来ることになるからよく見ておくのだぞ!」

「はい!お父様!」

そうこうしているうちに段々と街並みが変わり、さっきまでとは明らかに一段上の家々がある場所に来る。

一つ一つその場の雰囲気を壊さないが少しずつ違う趣のある家々が建ち並んでいた。

その中でも悪い意味でなんか派手な家があった。
「ハハッ!あの家を見てください!異彩を放ち過ぎてますよ!」

「ああ、ヒルデ(第二夫人)の実家の別邸だな」

「・・・」

沈黙が走った。
(やべっ、昔の癖が出たかな、いやいや、そんな悪いことは言って無いはず。
取り敢えずフォロー)
「い、良い意味でなんというかこう趣のあるうつく・・・」
「無理せんで良いぞ。
私も同感だ。わざわざ見せ付けるようにこんな場所に建てなくても良かろうに」

「そ、そうですね、ハハハ・・・」

と乾いた笑いが出る。

街の風景の為に大きい家は場所が用意されているのだが、素人が見ても明らかに無理やりねじ込んだようにそこに建っていて、無駄に目立つ。

(周りとの差を見せつけてやりたいだけだなこりゃ)

そう思いながらもまた暫く進むと今度はもっとまともな意味での豪邸がある。

「おお!綺麗な家ですね、お父様!」

「そうだろそうだろ!我が別荘に到着だ!」

「ここでしたか、さすがお父様!良いご趣味をしてらっしゃる」

「ワハハハハハ」

「ハハッ」

とご機嫌に家に入っていく。

と、家の前で執事達が勢揃いで並んでいた。

「お待ちしておりました。長旅ご苦労様でこざいました、旦那様方」

「そなた達もご苦労。何か変わった事は無かったか?」

「はい旦那様。これといった事は御座いませんでした」

「そうかそれは良かった。それと私とレインは今からすぐに出かけなければなら無い。ソフィー達を頼むぞ」

「畏まりました。
奥様方、さあ、こちらにどうぞ。
お荷物はこちらでお持ち致します」

「うむ。ではこのまま戻り王城へ向かう」

「はい、畏まりました。いってらっしゃいませ」

(えっ?今から行くの?いやいやダルいっすよ。勘弁して欲しいっす)

この国では別荘がある都市に来たらまず顔を見せ、労をねぎらうのがしきたりになっている。

「ちょっとお待ちください!王様にお会いになるのでしたら私もお連れしてくださいまし!!」

案の定、第二夫人が邪魔を入れてくる。

「ならん!この国のしきたりを忘れたのか?」

「覚えております、覚えておりますとも!
ですから王様にはこのプロウスが・・・」

「ならんと言っておろう!既にレインが行く事の連絡は済ませておる!今更変えられはせぬわ!」

とお怒り気味で言う。
取り敢えず大声出されると心臓に悪いからやめて欲しい。
あと、正直代わって欲しい。

だが当然文句など言えるわけもなく仕方なくそのまま馬車に揺られる。

(ハア〜、初の王様とのご対面かよ・・・
ああ、緊張してきた、気持ち悪い)
つい前世の癖で貧乏ゆすりをしてしまう。

「こらこらレイン、貧乏ゆすりはみっともないから辞めなさい。
気持ちはわかるが落ち着きなさい。

「そうは言われましても、やはり緊張はしますよ」

「安心しろ。
普通にしていれば良い。
紹介とご説明は私の方からしておいたからお前は黙っていれば良い」

(しておいたって、すでに連絡済みかよ
あと黙ってれば良いってそれ質問フラグだからな)

今から憂鬱だ。


「おおぉぉぉ・・・」

現在俺は下から王城を見上げている。
俺の家も城のようなものだが、やはりこちらも2回りほどでかい。

開門、という声とともに扉が開いていく。

馬車を置いて王城の上へと登っていく。

「急に来て大丈夫なのですか?」
「連絡は入れてあるに決まっているだろう」

そらそうか。

「あの、お父様、気分が優れないので帰ってもよろしいでしょうか?」
「駄目だ」

ですよね〜。

「お、お腹が痛く・・・」
「我慢しろ」

くっ。

「そ、そういえば先約が・・・」
「諦めろ。というかお前まだ友達いないだろう」

今も昔も、ね。

そして一際異彩の放つ扉の前に来る。

「ハアァァ・・・フウゥゥゥゥ・・・」

と何度目か分からない深呼吸をする。

「ポルネシア王!オリオン公爵様とその御子息様がいらっしゃいました!」

なかから通せ、という声が聞こえ、ドアが開かれる。

「では、行こうかレイン」
「はい、お父様」

と謁見の間に2人ではいる。

そして、少しうつむきながらはいり、膝をつく。

「ロンド・デュク・ド・オリオンとその長男レイン・デュク・ド・オリオンただいま参上致しました」

「うむご苦労、面をあげよ」

と顔を上げるとそこにはポルネシア王がいた。(当然だが)
顔は渋目の、まあ王様って言ったらこんな感じかなと想像するようなお顔だ。
イケメン度では俺のお父様だが、これは好みではっきり分かれるだろう。
「よく来てくれたな、ロンド」

「ハッ、お呼びとあらば何時でも参上致します」

と、世間話のようなものを続けていく。

俺は少しうつむきながら心の中で

(早く終われ、早く終われ)
と祈っていた。

「ところでそなたか。お前の子で類稀なる数のスキルを保有しているものは」

「ハッ!類稀なるMP量と足の速さを持っております。それに未だ分からぬスキルがありまして」

「ふむ、まだ分からぬのか?」

「はい、八方に問い合わせたのですがこれといった情報は御座いません」

(本で知っていたがやはりスキルの詳しい説明は魔眼石では見れないようだな)

「ふむ、では我御付きの魔眼スキル持ちを特別に貸そうではないか」

「おお!ハハッ!ポルネシア王のお心遣い感謝致します!」

「うむ」

(マ、マズイ!やばい状況だ!俺の魔法レベルは明らかに異常だ。既に肉体レベルも52を超えている。一流の冒険者さえ上回る!多分この国でも3指に入る。
バレたらただじゃ済まないぞ…。
取り敢えず時間稼ぎを!)

「お、お父様…何の話でしょうか?」

「ああ、お前のスキルに一つわからないものがあってな、それを聞こうというのだ」

(どれだ?我が矛か?いや、なら今までの態度が説明つかない。
なら魔導王か?いやそれも違うな。なら魔導書を見せない理由がわからんからな…。
もしかして神眼か?
いやいやいや待て待て待てまずいまずい!それはまずい!!
何としてでも防がないと俺のアドバンテージが死ぬ!)


「あ、あの不躾ながら王様にお願いしたい事が御座います!」

「ほう、なんじゃ?」

「はい!あの、自身の能力は自分で調べるもの。私も本をたくさん読んでおりますからいずれ見つかる事でしょう。
知識を探求する者として、他者の口から全てを話されるのは恥であります。
御提案は大変嬉しく思いますが出来るのであれば辞退させて頂きたく思います!」

と言って頭を下げる。

そしてしばらく若干重い沈黙が流れる。

(さ、さすがに不敬だったかな?
首飛ばされたらどうしよう?
逃げるか……)

すると

「ははははは!!!おお!なるほど!未だ5歳というのに素晴らしい考えを持っておるな!うむ!そうだな!知る事、知ろうとする事は大切だ!よろしい!」

とご機嫌だった。

「ポルネシア王!私の息子が大変失礼致しました!」

「よいよい!我の方こそ余計なお世話だった様だ!許せ!」

「とんでもございません!私の息子の願い聞き届けてくださって誠に感謝申し上げます!」

「うむ!では下がってよいぞ!」

「ハハッ!」

と言って退出する。

(アアアアァァァァ〜〜〜……ツカレタアアァァァァ〜……。ナントカナッタアアァァァァ〜……。
ウウ、ゲロ吐きそう。
てか本当に喉まで胃液が出てきている。)

と俺が脱力していると横からお父様が

「ハアァ〜、お前な!めちゃくちゃ焦ったではないか!!急に何を言いだすのだ!」

「い、いえあのここで自分のスキルを全部知ってしまうと後で後悔するような気がしまして……」

「なんだそれは?勘か?」

「はい、勘もありますがなんというか僕が気持ち悪いのですよ
後で自分で調べたかった〜とかなりそうで…」

「…そうか取り敢えずそれで納得しよう。
だが!次からはちゃんと話し合いしてから行くからな!」

と怒った感じで言う。
顔は若干笑っている。

子供が知識に対して貪欲な事が嬉しいのだ。
だが同時に今回の様な(立場的に)危険な事はしてほしくないという複雑な気持ちなのだ。

「さあ別邸に帰ろう!」

「はい!」

こうしてレインの初謁見は無事終えたのだった。

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