異世界で始める人生改革 ~貴族編〜(公爵編→貴族編

ノベルバユーザー202613

第32話 プリムと街に行く

「おお、おお!よくぞこれは大変失礼致しました!ほ、本日はどういったご用件で参られたのでしょうか!?」

とさっきと同じ質問をしてきた。

(いや、今言ったよ!)

仕方ないのでもう一度同じことを言う。

「はい!ですのでプリムさんともしよろしければ一緒に街を歩きたいなと思いまして」

「そうでした、これは大変失礼致しました!
因みにこの件はオリオン公爵は存じてらっしゃるのかな?」

「はい!父には私の方から既に伝えてあります」

と同意する。
知らないで公爵家長男を連れ出したとなると非常にマズイので確認してくる。

「そうでしたか!それは良かった!
プリム、行って来なさい!
絶対に!絶対に失礼の無いようにするんだぞ!
それとこれはお小遣いだ。使い切って構わないぞ!」

と言って金貨10枚をプリムに渡す。

(同じだけもらった俺が言うのも何だけどあげすぎだからな・・・
あと気持ちはわかるけど落ち着きなさいな)

相手がこれだけ焦ってくれると俺は逆に落ち着いてくる。

プリムはというと意味がわかっていないらしくあたふたしている。

「いえいえ、お構いなく。
では、時間も時間ですしそろそろ行きましょうか?」

と催促する。

「そうですな、ではプリム、行ってらっしゃい。絶対失礼の無いように」

と最後に念を押して送り出す。

家を出てしばらく歩く。

(ヤバい、緊張してきた!
どうしよう、俺から話しかけるべきか?
話しかけるべきだよな?
ネタ・・・話のネタどうしよう
ヤバい思いつかない。
そ、そうだ!英雄譚があるじゃないか!
グロリアスの伝説ぐらいは知っているだろう
よし!!)

と気合を入れ、話そうとした瞬間、

「あ、あのレイン様!あのレイン様はと、とてもエライカタなのですか?」

と先手を取られた。

「ん?え?なっ、え?」

予想外の質問に戸惑ってしまう。

「あの、お父さんのああいうところ見たことなくて、だ、だからそのレイン様はあの、おうしゃまなのかなって・・・」

「いえ、違いますよ。
僕の家は王家ではありません。
公爵家というまあそれなりのお家柄の人間ですよ」

「そ、そうなのですか・・・
おうしゃまではないのですか・・・」

とホッとしたように言った。

(おうしゃまって、噛んでたわけではなかったのね。
可愛いから許す!!)

とバカなことを考えながら取り敢えず彼女をエスコートする。

「嫌いなものとかありますか?」

「嫌いなもの?お野菜!!」

と元気よく答えた。

「そ、そうですか、私も嫌いです。
いつも残してますね」

5歳の味覚にあれは強烈だ。
前世の野菜よりマズイ気がする。
他は家柄もあり、前世よりも美味しいものが圧倒的に多い。
その度に控えてるメイドが急かしてくる。
本当にやめて欲しい。

(ああ、ハンバーガーとか食べたくなってきた。
作ろうと思えば作・・・れるのか?)

取り敢えず今度試してみることにする。

「では、好きな食べ物は何でしょう?」

「野菜以外ならなんでも!!」

と、目をキラキラさせて意気込んできた。

「そ、そうですか」

(食いしん坊キャラだったのね)

ならばと予定を変更してちょっと高いお店をチョイスし、お腹を満たした。

それからまた街を暫く歩いていると少しものものしい雰囲気で街を巡回する兵隊が増えてきた。

(・・・兵の数が3日前よりかなり多いな)

明らかに街を巡回するような下っ端の仕事をしなさそうな、いい装備を身につけた騎士が街を巡回していた。
暫く神眼で眺めていると

「レイン様少しお話が」

「うわっ!!何だ、びっくりさせないでください」

メイドがいるのをすっかり忘れていた。

「申し訳ございません。
あの一つお耳に入れたいことが」

「兵隊さんが増えてきたことと関係が?」

「お気付きでしたか。
では今日はもう終わりにしておかえりくださいませ」

と帰宅を要求してきた。

「そう、ですね、分かりました。
ではプリムさんを家まで送ったら帰りましょうか」

「はっ」

と言いまた定位置に戻る。

俺一人なら拒否する所だが、今はプリムがいる。
何かあった時プリムを護りながら戦えるほど俺は強くない。
ならば名残惜しいが安全優先だ。

「プリムさん」

「ふぁい?」

と食べ物を口にしながら聞いてきた。

「あ、あのですね、ものもの、いえ、兵隊さんが増えてきたようです。多分何かあったのでしょう。
名残惜しいですが今日はもう帰宅致しましょう」

「・・・いや、です」

まさかの拒否だった。

「え?な、何故でしょうか?」

「だ、だってレイン様と会えるの、今日だけ、だから」

「・・・」

(え?これなんてラブコメ?俺5歳なんだけど)

「まだもっとずっといたいもん」

「お、おお!そうですか!では」

即座に意見を撤回した。

「レイン様、ダメですよ」

「そうだ駄目だ」

そうだ!安全優先だ。

「いや!」

「そうだよね嫌だよね」

俺も嫌だ。

「レイン様」

「俺は一体どうすればいいんだーーー!!!」

魂の叫びをしてしまった。



・・・というわけで



「絶対ですよ!!絶対だからね!!」

「はい、今度其方の領地にお邪魔いたしますのでよろしくお願いします」

俺がハーバー領に遊びに行くことで決着した。
やっとのことでプリムを帰らせる事に成功した。
家の前で別れ際にギュッとされた。
つい喜びの雄叫びをあげそうになるのを抑え、頭を撫でるだけにとどまった。

「いい判断でしたよ、これで会う口実ができました」

メイドのナイス機転だ。本当によくやったと言いたい。

「ありがとうございます。
では帰りましょう」

「そうですね」

そして、帰り道の途中、神眼で辺りを探索していると220メートル程先の一軒家で怪しい2人組がいた。
あの辺りはスラム街でメイドから立ち入りを禁止されている。

神眼でステータスを見てみる。

[ワルオ・バリアント/Lv. 32]
[男性/B/6479/9/10]
[犬人族/人攫い    ヴァグド盗賊団]
[HP 485
MP 312
STR 95
VIT 85
AGI95]
[魔法]
[スキル
レア度3    鑑定

だった。

(・・・職業人攫いって貴方)

びっくりだ。
取り敢えず見てしまった以上にがすわけにもいかないため追いかける事にする。

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