超迷宮奇譚伝 『このアイテムは装備できません!』
呪怨の卵編 始まりの村
事件が終わり、彼は僕にこう言った。
「ある日、畑で野良仕事をしてたら『コレ』が落ちてきた。上を見上げても雲一つ浮かんでない。だから、『これ』はきっと……神様から送られたアイテムに違いない」
全てを失った彼は、満面の笑みを浮かべた。
その笑みだけが彼に残った唯一のものだった。
それだけはどんな呪われたアイテムでも奪えないのだろう。
そう、呪われたアイテム『呪怨の卵』であっても……
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
―――数日前―――
武器と防具の国 コウガ―――
そこを後にした僕たちは……まだ、コウガにいた。
「まさか、オントの奴も僕がコウガから逃げ出してコウガにいるとは思うまい!」
「ちょっと、何を言ってるのか、わかりませんね」とドラゴンの突っ込みを背後に受けて、ため息をついた。
そのまま歩みを止め―――
道端にも関わらず、取り出したのは世界地図。
緊急回避とコウガの中心街から逃げ出したのは良いが、次の目的地は未決定。
探索者なら1度は訪れてみたいダンジョン100選と世界地図を並べて「う~ん」と唸り声を上げてみても目的地は決まらない。
クリムから「お父さん、優柔不断」と笑われる。
いかん、父としての威厳が失われていくと焦りも生まれ、余計に目的地はきまらない。
さて、どうしたものか?と歩き続けていくと……
建築物が見えてきた。 そこに向かうのと比例して、徐々に人の気配も増えて……
増えてこない?それどころか―――
「おかしい。人の気配がない」
クリムとドラゴンに確認と取ってみる。
「人の体温、生活に必要な火や灯りは……感知できない」とクリム。
……そんな能力があったのか。
一方のドラゴンは「完全にゴーストタウンですね。ダンジョン外の魔物がうろついて見えます」と報告してくれた。こっちは、直接、人間離れした視力で目視したらしい。
コウガダンジョンのラスボスであるケロちゃん……ケロべロスのダンジョン経営ベタの影響だろうか?
国のメインダンジョンが野ざらし状態ならば周囲のダンジョンも荒れてしまう。
酷い割れ窓効果だ。
「どうしますサクラさん?魔物たちを蹴散らします?」
「いや、迂闊に近づかない方が良い。近隣の村は……」
僕は世界地図を仕舞い、近隣の地図と取り出す。
「近くの村なり、町なりで情報を集めよう」
町……いや、村が見えてきた。
「ある日、畑で野良仕事をしてたら『コレ』が落ちてきた。上を見上げても雲一つ浮かんでない。だから、『これ』はきっと……神様から送られたアイテムに違いない」
全てを失った彼は、満面の笑みを浮かべた。
その笑みだけが彼に残った唯一のものだった。
それだけはどんな呪われたアイテムでも奪えないのだろう。
そう、呪われたアイテム『呪怨の卵』であっても……
・・・
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―――数日前―――
武器と防具の国 コウガ―――
そこを後にした僕たちは……まだ、コウガにいた。
「まさか、オントの奴も僕がコウガから逃げ出してコウガにいるとは思うまい!」
「ちょっと、何を言ってるのか、わかりませんね」とドラゴンの突っ込みを背後に受けて、ため息をついた。
そのまま歩みを止め―――
道端にも関わらず、取り出したのは世界地図。
緊急回避とコウガの中心街から逃げ出したのは良いが、次の目的地は未決定。
探索者なら1度は訪れてみたいダンジョン100選と世界地図を並べて「う~ん」と唸り声を上げてみても目的地は決まらない。
クリムから「お父さん、優柔不断」と笑われる。
いかん、父としての威厳が失われていくと焦りも生まれ、余計に目的地はきまらない。
さて、どうしたものか?と歩き続けていくと……
建築物が見えてきた。 そこに向かうのと比例して、徐々に人の気配も増えて……
増えてこない?それどころか―――
「おかしい。人の気配がない」
クリムとドラゴンに確認と取ってみる。
「人の体温、生活に必要な火や灯りは……感知できない」とクリム。
……そんな能力があったのか。
一方のドラゴンは「完全にゴーストタウンですね。ダンジョン外の魔物がうろついて見えます」と報告してくれた。こっちは、直接、人間離れした視力で目視したらしい。
コウガダンジョンのラスボスであるケロちゃん……ケロべロスのダンジョン経営ベタの影響だろうか?
国のメインダンジョンが野ざらし状態ならば周囲のダンジョンも荒れてしまう。
酷い割れ窓効果だ。
「どうしますサクラさん?魔物たちを蹴散らします?」
「いや、迂闊に近づかない方が良い。近隣の村は……」
僕は世界地図を仕舞い、近隣の地図と取り出す。
「近くの村なり、町なりで情報を集めよう」
町……いや、村が見えてきた。
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