超迷宮奇譚伝 『このアイテムは装備できません!』
ラン家の婚活事情 その②
今、サヲリさんは何て言ったんだ?
うま? ウマ? UMA?
馬? まさか馬って言ったのか?
「えっと……サヲリさん?」
「……なんだ?」とサヲリさんは短く答える。
僕を一瞥する事もせず、音のする方向を睨むように鋭い視線を向けている。
「馬って、あの動物の馬ですか?」
「他に、どんな馬がいる」
「でも……」
なんでこんな所に馬が?
その疑問をサヲリさんに聞く事はできなかった。
なぜなら、音が……いや、音の主が見えてきたからだ。
大地を揺さぶり進む巨大な生物。
荒々しい動きを見せながらも、そのフォルムと白い毛並みとは美しさを持ち合わせている。
サヲリさんは正しかった。 音の正体は馬だ。
馬。それは最強の生物だ。
もちろん、魔物を除いての話だが……
長い年月をかけた品種改良によって、巨大化した体。
国と国との戦い。戦争では騎士たちが乗り、戦場の主役となる。
僕ら探索者との戦いとは、別次元の戦い。
日常生活で、見る機会はほとんどない。
その馬が現れた……というよりも、こちらに向かってきている!
「ちょ……サヲリさん、これ逃げたほうがいいんじゃ?」
「大丈夫だ」
しかし、とても大丈夫に見えない。
白い馬は、一直線に僕らに向かって走ってる。依然として荒々しく、大地を揺らしながら……
しかし、次の瞬間――――
「とっ飛んだ!?」
白馬は僕等に向かって大きくジャンプ。
潰される!
反射的に背中を向けて逃げ出そうと……ダメだった。
サヲリさんに羽交い絞めにされる。 なんで!?
空中から落下してくる巨大な蹄。
「うわぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああっっっ!!」
絶叫が周囲に広がる。もちろん、絶叫の主は僕だ。
そして衝撃が体を激しく揺らす。
「……生きてる?」
僕はそっと、目を開ける。すると……
目の前に白馬がいた。
やっぱり、デカい。 品種改良に品種改良を重ねた巨体は象を同じサイズらしい。
僕は、馬と同様に実物の象を見た事がないので、イマイチ想像できていなかったわけだが……
しかし、なんでこんな所に馬が?
近隣諸国で戦争が起きたなんて話は聞いた事もない。
だとしたら……もしかして……
人が乗っているのか? それも本物の騎士様が?
僕の位置は馬の真正面。首を可動域限界まで曲げて見上げても、人の有無はわからない。
けど、すぐに――――
「やぁやぁ、久しぶりだね!」
頭上から声がした。
人の声。しかも、女性の声。 つまり、女騎士?
そう思ったのも束の間、黒い影が見えた。
馬から人が飛び降りたのだ。
ダンっと音を鳴らして着地した女騎士。
その立ち姿は美しい。真っ直ぐに伸びた背筋。
おそらくは実力に裏付けされているであろう自信のようなものがにじみ出ている。
そして、装備は――――
無骨であるはずの鎧だが、細部に装飾が施され、不思議と美しさを感じてしまう。
そんな女騎士さまは、破顔の表情を見せて、こう言った。
「やぁやぁ!サヲリちゃん!久しぶりだよね!」
僕は驚いて、サヲリさんを見る。
サヲリちゃんと呼ばれた彼女はというと――――
「ご無沙汰しています。お姉たま」
と無表情で言った。
うま? ウマ? UMA?
馬? まさか馬って言ったのか?
「えっと……サヲリさん?」
「……なんだ?」とサヲリさんは短く答える。
僕を一瞥する事もせず、音のする方向を睨むように鋭い視線を向けている。
「馬って、あの動物の馬ですか?」
「他に、どんな馬がいる」
「でも……」
なんでこんな所に馬が?
その疑問をサヲリさんに聞く事はできなかった。
なぜなら、音が……いや、音の主が見えてきたからだ。
大地を揺さぶり進む巨大な生物。
荒々しい動きを見せながらも、そのフォルムと白い毛並みとは美しさを持ち合わせている。
サヲリさんは正しかった。 音の正体は馬だ。
馬。それは最強の生物だ。
もちろん、魔物を除いての話だが……
長い年月をかけた品種改良によって、巨大化した体。
国と国との戦い。戦争では騎士たちが乗り、戦場の主役となる。
僕ら探索者との戦いとは、別次元の戦い。
日常生活で、見る機会はほとんどない。
その馬が現れた……というよりも、こちらに向かってきている!
「ちょ……サヲリさん、これ逃げたほうがいいんじゃ?」
「大丈夫だ」
しかし、とても大丈夫に見えない。
白い馬は、一直線に僕らに向かって走ってる。依然として荒々しく、大地を揺らしながら……
しかし、次の瞬間――――
「とっ飛んだ!?」
白馬は僕等に向かって大きくジャンプ。
潰される!
反射的に背中を向けて逃げ出そうと……ダメだった。
サヲリさんに羽交い絞めにされる。 なんで!?
空中から落下してくる巨大な蹄。
「うわぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああっっっ!!」
絶叫が周囲に広がる。もちろん、絶叫の主は僕だ。
そして衝撃が体を激しく揺らす。
「……生きてる?」
僕はそっと、目を開ける。すると……
目の前に白馬がいた。
やっぱり、デカい。 品種改良に品種改良を重ねた巨体は象を同じサイズらしい。
僕は、馬と同様に実物の象を見た事がないので、イマイチ想像できていなかったわけだが……
しかし、なんでこんな所に馬が?
近隣諸国で戦争が起きたなんて話は聞いた事もない。
だとしたら……もしかして……
人が乗っているのか? それも本物の騎士様が?
僕の位置は馬の真正面。首を可動域限界まで曲げて見上げても、人の有無はわからない。
けど、すぐに――――
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おそらくは実力に裏付けされているであろう自信のようなものがにじみ出ている。
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