超迷宮奇譚伝 『このアイテムは装備できません!』
真相???その③
「動機?いや、ちょっと待てよ、ドラゴン」
「え? 何ですか? 他にも疑問か何か?」
「いや、動機よりも……もっと重要な部分があるだろ?」
「動機よりも? はて?何でしょうか?」
「何でしょうかって……恍けるなよ。そもそも、この事件を企んだのがタナカくんだとしたら、おかしな所がある」
「どこのことでしょうか? 話を聞きましょう」
「タナカくんは誰にやられた?」
そうだ。 タナカくんは重傷を負って、ダンジョンの入り口で発見された。
まさか、容疑者から外れるために自傷を負ったとでもいうのか?
自らの手で? 重傷になるほどのダメージ受けた自作自演だと言うのか?
そんなの調べれば自傷なんて簡単にわかるはず。
「なかなか、良い目の付け所ですね」とドラゴンは平然と言う。
まるで、僕の言葉はすでに検討済だと言わんばかりの態度だった。
「まず、普通に考えてみてください。これらの出来事がタナカくん1人で可能でしょうか?」
「……不可能だ。つまり共犯がいるという事か?」
まず、思いついたのはクリムの事。
正直に言って、まだまだ、彼女の存在には謎が多すぎる。
父親を捜す幽霊少女。実際は人間であり、本体が別に存在している。
タナカくんが幽霊騒動を起こした時、その本体はダンジョンにあった。
しかし、その後————タナカくんが意識不明で発見されて、すぐに―――
僕は学校の渡り廊下でクリムと対峙している。
その時のクリムの様子は『おぼろげ』や『希薄な存在』ではなかった。
幽霊に見間違う事はなかった。つまり、本体の力が強まっていた。
つまり、その現象は―———
クリムの本体がダンジョンから学校校舎に移動している?
タナカくんが倒れた直後に何者かが、本体を動かせたという事だろうか?
いや、今のクリムなら、自分の本体をどこかに隠し持って移動する事も……可能か?
彼女は外見通りに存在が不安定だ。彼女が自身の意志で何かと仕出かしているとは思えない。
今回の件で彼女の役割は、まるで彼女の存在そのものが罠として……
それを罠として……あれ?罠?なんのための罠だ? 誰に対しての罠?
それじゃ……まるで……
「おや?どうかしましたか?顔色が優れない感じですが?」
こんな話をしておいて、顔色がよくなるのはお前ぐらいだよ。
いやいや、そんな事よりも……
「今回の事件、犯人の目的は僕なのか?」
「あれれ? 話の流れをぶった切って、動機に戻します?」
「いいですか? サクラさん? 思い出してください」とドラゴンはグッっと顔を寄せてて来た。
整った顔のズームにドギマギと……いや、そんな事を考えている場合じゃない。
「あなたの通うシュット学園には、あなたの武器を狙っている存在がいるという事を」
僕はハッと気づく。
思い出すのはオーク王の上洛。あれを行った人物が、今回も絡んでいるというのか?
「必ずしも、あの時の人物が真犯人……とは限りませんが、確率は高いと思います。
タナカくんはダンジョンの手前で倒れていました。 誰の仕業でしょうか?
もしかしたらゲンゴロウ氏への暗殺が失敗して、直接的な戦闘になった結果なのかもしれまん。
あるいは、ダンジョン入り口付近で落ち合う予定だった真犯人に裏切られたのか?
さて、真相はわかりませんが……おそらくタイミング的に、この時にタナカくんはクリムの本体をダンジョンから持ち出したのではないでしょうか?」
「うむ……」と頷く。そこまでは想像していた。
「要するに、幽霊少女のクリムちゃんがダンジョンから、学園内に移動したのは、タナカくんが彼女の本体を持ちだし、学園内に潜む真犯人が、保有しているから……私は、そう推測しています」
「……はぁ」と僕はため息をついた。
「なぁ、ドラゴン」
「はい?」
「僕はどうしたらいい?」
「どうも、何も……することはないんじゃないですかね?」
予想すらしていなかった言葉に「え?」と聞き返す。
「いいですか?サクラさん。もう、この事件は終わった事なんですよ」
「終わった……こと?」
「真犯人の目的はサクラさんから武器を奪う事。それには様々な計画を練っていたのでしょ……しかし、それを実行する事はできなかったのです」
「できなかった? なぜ?」
「犯人にとって予想外な出来事が起きたのです。謎の人物が乱入、それも時空の歪を利用して現れたのです。まぁ、私の事なんですけれどもね。まさか、私の登場まで計画に織り込み済みだったとしたら、その推理力や洞察力は人間のキャパシティを超えてますね」
確かにそうかもしれない。
仮に僕をクリムを接触させ、『龍の足枷』を奪う計画だったとしてら……
初手の段階で破綻している?
「本来の計画として、サクラさんが自ら『龍の足枷』を破棄、あるいは譲渡させるものだったのではないでしょうか? あのクリムちゃんのバックボーンとなるとヤバそうでしょ?彼女を救うために、『龍の足枷』が必要だったとか?」
「いや、待てよ。それだと……お前の言う事が正しいのなら……つまり、タナカくんは?」
「敗戦処理です。失敗した計画の事後処理として、証拠の回収を命じられて、そのまま口封じってのが真相じゃないですか?」
ドラゴンの軽い口調でいう。
それに対して、僕は――――
「え? 何ですか? 他にも疑問か何か?」
「いや、動機よりも……もっと重要な部分があるだろ?」
「動機よりも? はて?何でしょうか?」
「何でしょうかって……恍けるなよ。そもそも、この事件を企んだのがタナカくんだとしたら、おかしな所がある」
「どこのことでしょうか? 話を聞きましょう」
「タナカくんは誰にやられた?」
そうだ。 タナカくんは重傷を負って、ダンジョンの入り口で発見された。
まさか、容疑者から外れるために自傷を負ったとでもいうのか?
自らの手で? 重傷になるほどのダメージ受けた自作自演だと言うのか?
そんなの調べれば自傷なんて簡単にわかるはず。
「なかなか、良い目の付け所ですね」とドラゴンは平然と言う。
まるで、僕の言葉はすでに検討済だと言わんばかりの態度だった。
「まず、普通に考えてみてください。これらの出来事がタナカくん1人で可能でしょうか?」
「……不可能だ。つまり共犯がいるという事か?」
まず、思いついたのはクリムの事。
正直に言って、まだまだ、彼女の存在には謎が多すぎる。
父親を捜す幽霊少女。実際は人間であり、本体が別に存在している。
タナカくんが幽霊騒動を起こした時、その本体はダンジョンにあった。
しかし、その後————タナカくんが意識不明で発見されて、すぐに―――
僕は学校の渡り廊下でクリムと対峙している。
その時のクリムの様子は『おぼろげ』や『希薄な存在』ではなかった。
幽霊に見間違う事はなかった。つまり、本体の力が強まっていた。
つまり、その現象は―———
クリムの本体がダンジョンから学校校舎に移動している?
タナカくんが倒れた直後に何者かが、本体を動かせたという事だろうか?
いや、今のクリムなら、自分の本体をどこかに隠し持って移動する事も……可能か?
彼女は外見通りに存在が不安定だ。彼女が自身の意志で何かと仕出かしているとは思えない。
今回の件で彼女の役割は、まるで彼女の存在そのものが罠として……
それを罠として……あれ?罠?なんのための罠だ? 誰に対しての罠?
それじゃ……まるで……
「おや?どうかしましたか?顔色が優れない感じですが?」
こんな話をしておいて、顔色がよくなるのはお前ぐらいだよ。
いやいや、そんな事よりも……
「今回の事件、犯人の目的は僕なのか?」
「あれれ? 話の流れをぶった切って、動機に戻します?」
「いいですか? サクラさん? 思い出してください」とドラゴンはグッっと顔を寄せてて来た。
整った顔のズームにドギマギと……いや、そんな事を考えている場合じゃない。
「あなたの通うシュット学園には、あなたの武器を狙っている存在がいるという事を」
僕はハッと気づく。
思い出すのはオーク王の上洛。あれを行った人物が、今回も絡んでいるというのか?
「必ずしも、あの時の人物が真犯人……とは限りませんが、確率は高いと思います。
タナカくんはダンジョンの手前で倒れていました。 誰の仕業でしょうか?
もしかしたらゲンゴロウ氏への暗殺が失敗して、直接的な戦闘になった結果なのかもしれまん。
あるいは、ダンジョン入り口付近で落ち合う予定だった真犯人に裏切られたのか?
さて、真相はわかりませんが……おそらくタイミング的に、この時にタナカくんはクリムの本体をダンジョンから持ち出したのではないでしょうか?」
「うむ……」と頷く。そこまでは想像していた。
「要するに、幽霊少女のクリムちゃんがダンジョンから、学園内に移動したのは、タナカくんが彼女の本体を持ちだし、学園内に潜む真犯人が、保有しているから……私は、そう推測しています」
「……はぁ」と僕はため息をついた。
「なぁ、ドラゴン」
「はい?」
「僕はどうしたらいい?」
「どうも、何も……することはないんじゃないですかね?」
予想すらしていなかった言葉に「え?」と聞き返す。
「いいですか?サクラさん。もう、この事件は終わった事なんですよ」
「終わった……こと?」
「真犯人の目的はサクラさんから武器を奪う事。それには様々な計画を練っていたのでしょ……しかし、それを実行する事はできなかったのです」
「できなかった? なぜ?」
「犯人にとって予想外な出来事が起きたのです。謎の人物が乱入、それも時空の歪を利用して現れたのです。まぁ、私の事なんですけれどもね。まさか、私の登場まで計画に織り込み済みだったとしたら、その推理力や洞察力は人間のキャパシティを超えてますね」
確かにそうかもしれない。
仮に僕をクリムを接触させ、『龍の足枷』を奪う計画だったとしてら……
初手の段階で破綻している?
「本来の計画として、サクラさんが自ら『龍の足枷』を破棄、あるいは譲渡させるものだったのではないでしょうか? あのクリムちゃんのバックボーンとなるとヤバそうでしょ?彼女を救うために、『龍の足枷』が必要だったとか?」
「いや、待てよ。それだと……お前の言う事が正しいのなら……つまり、タナカくんは?」
「敗戦処理です。失敗した計画の事後処理として、証拠の回収を命じられて、そのまま口封じってのが真相じゃないですか?」
ドラゴンの軽い口調でいう。
それに対して、僕は――――
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