幽霊になって弟のお世話をしています!
エルリック
僕、エルリック・レジェスティ・ローグには、
皆には見えない、僕だけに見えるねえさまがいた。
もう、物心着いたときにはねえさまはいた。
明るくて、優しくて、大好きだったねえさま。
抱き締められるとお日様の匂いがして、
僕がかわいいって言うと顔を真っ赤にして、
ずっと僕のそばにいてくれたねえさま。
あの日も、そんな日々がずっと続くんだって思ってた。失うなんて、思いもしなかったんだ。
あの運命の日、母様に呼ばれてメイドについていったら、母様が言った。
「今日から近隣諸国の言語を覚えなさい。貴方は時期国王なのですから当然全てを、です」
「・・はい。分かりましたお母様」
母様と話すときはいつもこんな感じ。時期国王だから、あれやれこれを覚えろって・・。
本当はやりたくないけど、ねえさまに教えてもらえるから勉強は好き。答えて当たると、頭をなでなでしてくれるから。可愛い僕の大好きな笑顔で「よくできました」って。
「エルリック?どうしたのです」
「・・なんでもありません」
せっかくねえさまとの思い出に浸ってたのに・・。
あぁ、胸くそ悪い。
ねえさま、はやく会いたい・・。
「では勉強するので退室してもよろしいでしょうか」
「・・好きになさい」
「失礼します」
そうしてエルは部屋を出た。
やっと帰れる!ねえさま退屈してないといいけど・・、帰ったらねえさまといっしょにお茶して、またあーんしてもらって、一緒にお昼寝しよう!
楽しみだなぁ・・
タッタッタッバタッッ!
「ただいま!おそくなってごめんね!ねえさっ・・・・え?」
エルが帰ってきたときには、部屋には誰もいなかった。
「・・ねえさま?」
呆然と名を呼び、あたりを見渡すがどこにもいない。
「ねえさま、どこ?ねえさま?
ねぇ・・ねえさま?ぼくかえったよ?ねえさま?」
僕が帰ってきたら必ず抱き締めておかえりなさいって言ってくれるのに・・
ねえさま、が、いない・・?
エルリックは、セレシアがもう何処にもいないことを、本能で理解してしまったのだ。
なんでー・・。
なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでー・・・・
なんで!!ずっと一緒にって約束したのに!!
そのときにきっと、僕の心は壊れてしまったんだ。
嬉しさも、愛しさもいらなかった。好きだって、大好きだって、必要なかった。
だって、ねえさまがいなくなってから僕の心は
悲しい寂しい悲しい寂しい悲しい寂しい悲しい寂しい悲しい悲しい寂しい悲しい寂しい悲しい悲しい寂しい寂しい・・・って、
ずっと負の感情が燻っているんだから。
こんな気持ちになるなら、感情なんてなければよかった。
こんな気持ちを教えたねえさまが・・憎い。
だけど
もっとそばにいたかった
もっと、大好きだよって伝えたかった
何気ない、些細な毎日が、色鮮やかで
ねえさまさえいれば、なにもいらなかった
ねえさま、ねえさまー・・。
ーーアイタイヨーー
***
きらびやかな部屋にある机に、一人の青年が座っている。歳の頃は20歳くらいだろうか?キラキラと輝く太陽のような、綺麗な金色の髪だ。
青年はゆっくりと、机の上に置かれた花瓶に手を伸ばした。
そしてその花瓶から一つ、燃えているような、濃い鮮やかな小さな赤が群れている花を手に取った。
目の前にかざし、目を瞑る。
そのときの青年の顔はまるで、いろんな感情がごちゃまぜになったような、愛しくて、悲しそうな顔をした。そしてポツリ、と聞いているこちらまでもが切なくなるような声で、何かを言った。
「ーーー・・・ぇさまー・・・・」
青年はつぅー・・と、そっと一筋、涙を流した。
皆には見えない、僕だけに見えるねえさまがいた。
もう、物心着いたときにはねえさまはいた。
明るくて、優しくて、大好きだったねえさま。
抱き締められるとお日様の匂いがして、
僕がかわいいって言うと顔を真っ赤にして、
ずっと僕のそばにいてくれたねえさま。
あの日も、そんな日々がずっと続くんだって思ってた。失うなんて、思いもしなかったんだ。
あの運命の日、母様に呼ばれてメイドについていったら、母様が言った。
「今日から近隣諸国の言語を覚えなさい。貴方は時期国王なのですから当然全てを、です」
「・・はい。分かりましたお母様」
母様と話すときはいつもこんな感じ。時期国王だから、あれやれこれを覚えろって・・。
本当はやりたくないけど、ねえさまに教えてもらえるから勉強は好き。答えて当たると、頭をなでなでしてくれるから。可愛い僕の大好きな笑顔で「よくできました」って。
「エルリック?どうしたのです」
「・・なんでもありません」
せっかくねえさまとの思い出に浸ってたのに・・。
あぁ、胸くそ悪い。
ねえさま、はやく会いたい・・。
「では勉強するので退室してもよろしいでしょうか」
「・・好きになさい」
「失礼します」
そうしてエルは部屋を出た。
やっと帰れる!ねえさま退屈してないといいけど・・、帰ったらねえさまといっしょにお茶して、またあーんしてもらって、一緒にお昼寝しよう!
楽しみだなぁ・・
タッタッタッバタッッ!
「ただいま!おそくなってごめんね!ねえさっ・・・・え?」
エルが帰ってきたときには、部屋には誰もいなかった。
「・・ねえさま?」
呆然と名を呼び、あたりを見渡すがどこにもいない。
「ねえさま、どこ?ねえさま?
ねぇ・・ねえさま?ぼくかえったよ?ねえさま?」
僕が帰ってきたら必ず抱き締めておかえりなさいって言ってくれるのに・・
ねえさま、が、いない・・?
エルリックは、セレシアがもう何処にもいないことを、本能で理解してしまったのだ。
なんでー・・。
なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでー・・・・
なんで!!ずっと一緒にって約束したのに!!
そのときにきっと、僕の心は壊れてしまったんだ。
嬉しさも、愛しさもいらなかった。好きだって、大好きだって、必要なかった。
だって、ねえさまがいなくなってから僕の心は
悲しい寂しい悲しい寂しい悲しい寂しい悲しい寂しい悲しい悲しい寂しい悲しい寂しい悲しい悲しい寂しい寂しい・・・って、
ずっと負の感情が燻っているんだから。
こんな気持ちになるなら、感情なんてなければよかった。
こんな気持ちを教えたねえさまが・・憎い。
だけど
もっとそばにいたかった
もっと、大好きだよって伝えたかった
何気ない、些細な毎日が、色鮮やかで
ねえさまさえいれば、なにもいらなかった
ねえさま、ねえさまー・・。
ーーアイタイヨーー
***
きらびやかな部屋にある机に、一人の青年が座っている。歳の頃は20歳くらいだろうか?キラキラと輝く太陽のような、綺麗な金色の髪だ。
青年はゆっくりと、机の上に置かれた花瓶に手を伸ばした。
そしてその花瓶から一つ、燃えているような、濃い鮮やかな小さな赤が群れている花を手に取った。
目の前にかざし、目を瞑る。
そのときの青年の顔はまるで、いろんな感情がごちゃまぜになったような、愛しくて、悲しそうな顔をした。そしてポツリ、と聞いているこちらまでもが切なくなるような声で、何かを言った。
「ーーー・・・ぇさまー・・・・」
青年はつぅー・・と、そっと一筋、涙を流した。
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