影が薄いけど魔法使いやっています
第6話毒舌少女の人形使い
一見大人しそうな少女から出た言葉は、毒舌すぎるもので僕は衝撃を受けた。
「ああ、そういえばアリスって男性に対してはすごい毒舌なの忘れてた。だから普段は人形を使って会話しているの」
「それ言うの遅くない?」
思わぬ精神的なダメージを受けた僕は、しばらく立ち直れない。
「男は皆魔物に喰われてしまえばいい」
「ねえ、僕この子に何かした? 初対面のはずなんだけど」
「さっきからいやらしい目で私を見てる」
「ちっ、違う。僕はそんな……セレナまでそんな目で僕を見ないで」
あんな後ろから見られていたら、気にもなるはず……だよね? 僕にはそんなやましい気持ちなんて一ミリもなかったんだから。
「……セレナ、どうしてこんなゴミとパーティを組んだの?」
「ぐふっ」
「アリス、それ以上はやめてあげて。ユウマ、死んじゃうから」
「死ねば?」
「何で追い打ちするの?! あとユウマもそこの川に身を投げ出そうとしないで、お願いだから」
嫌だもう、死にたい。
「そ、それでアリスはどうして私達を付けてきたの?」
「……さっきの話が気になったから」
「さっきの話?」
例の倭の国についての事を言っているのだろうか? 周りの話を聞くと、滅多に会える人ではないから僕がこうしてここにいるのは奇跡に近いらしい。
とは言っても、僕は本当に倭の国の人間ではないので、気になると言われてもどう答えればいいか分からない。
「ちなみにお前には答える権利はない」
「本人が話さないと説明なんてできないんだけど」
「セレナが通訳して」
「そこまでして聞きたいの?!」
「まあまあ」
すごく疲れる。主に疲れているのは僕だけなのだけど、この精神的なダメージはいつになったら消えてくれるのだろうか。
「とりあえずそこのカフェでゆっくり話しましょう。アリスもそれがいいでしょ?」
「うん」
僕とは対照的に、セレナには普通の対応をするアリス。男女差別よくない。
「ほら、ユウマも行こう」
「う、うん」
「来ないで」
「アリスもいい加減にしないと、私も怒るわよ?」
■□■□■□
僕とセレナとアリスは三人で近くの喫茶店へ。ドリンクメニューはやはり独特というべきか、どれも飲めそうな気がしないのでシンプルに水だけもらった。
「それでアリスはユウマに何か聞きたい事があるの?」
「倭の国について私は知りたい。この男に聞くのはすごく癪だけど」
「そう言われると説明したくないんだけど。それに僕にもうまく説明はできないんだ」
「役立たず」
色々アリスに言われるけど、実際説明しにくいのは事実だ。倭の国と僕の日本が同じとは言えないし、適当な説明をすると倭の国の方に失礼な気もする。
『でも倭の国は、ユウマの住む日本とほとんど変わらない国だよ。私も行ったことはないけど』
またシレナの声が聞こえる。本当どうでもいい時だけ出てくるけど暇なのかな。
『ユウマが話しかけてこないのが悪いのよ。折角私が付いているというのに』
最初の危機の時に助けてくれなかったくせに、何を言っているんだこの女神様は。
「ユウマ? どうしたの」
「あ、えっとごめん。どう話せばいいか考えてみたんだけど、やっぱり説明は……」
出来ないと言おうとしたところで、突然街中に鐘が鳴り響いた。
「何?」
「どうやらお話は後にした方がいいみたいね」
「どういう事?」
「何かがここを攻めてきた。多分魔王軍の配下」
僕の疑問に、アリスが普通に答えてくれる。
(魔王軍の配下?)
セレナから軽くか説明は受けていたけど、やっぱりそういうのは来るんだ。そしてそれを倒すのが僕達の役目という事だから、もしかして、
「もしかして今から僕達戦うの?」
「当たり前でしょ。それが私達の役目でもあるんだから」
「でもギルドに沢山人はいたんだし、わざわざ僕達が戦わなくても」
「何言ってんのユウマ、今こそユウマが目立つ最大のチャンスでしょ」
「そ、それは」
あれ、セレナにこの事話した事あったっけ?
「倭の国の人間の力、見せて」
「そんな無茶な」
「とにかく行くわよ」
こうして僕はセレナとアリスに連れられ、冒険者が集まる街の入口へと半ば強制的に向かう羽目になったのであった。
『頑張って、ユウマ』
他人事だと思ってこの女神は……。
■□■□■□
街の入口へやって来ると、多くの冒険者がすでに集まっていた。どうやらあの鐘は、言うまでもなく魔王軍の襲来を示していたようだ。
「あ、あれがうわさの魔法使いだ」
「おぉ、共に戦ってくれるのは心強い」
僕がその場に現れると、噂が早くも回っていたのか色々なところで歓声が湧く。変に期待されても僕としてはすごく困るんだけど。
「ほら、やっぱり期待されているじゃない。頑張りなさいよユウマ」
「セレナも戦ってよね」
「こんな男に期待したくない」
「ここまで連れてきておいて、その言い草はないよね?」
そんなやり取りをしているうちに、前方に数え切れないほどの兵士の数が見えた。
「え、ちょ、あれが敵?」
「勿論。だからこれだけの冒険者が集まっているし、皆ユウマに期待しているの」
僕にあの数の敵の一部を相手しろと。そんなの無茶だ。
「や、やっぱり帰ろう」
「駄目よ、ユウマ」
ですよね。
「ああ、そういえばアリスって男性に対してはすごい毒舌なの忘れてた。だから普段は人形を使って会話しているの」
「それ言うの遅くない?」
思わぬ精神的なダメージを受けた僕は、しばらく立ち直れない。
「男は皆魔物に喰われてしまえばいい」
「ねえ、僕この子に何かした? 初対面のはずなんだけど」
「さっきからいやらしい目で私を見てる」
「ちっ、違う。僕はそんな……セレナまでそんな目で僕を見ないで」
あんな後ろから見られていたら、気にもなるはず……だよね? 僕にはそんなやましい気持ちなんて一ミリもなかったんだから。
「……セレナ、どうしてこんなゴミとパーティを組んだの?」
「ぐふっ」
「アリス、それ以上はやめてあげて。ユウマ、死んじゃうから」
「死ねば?」
「何で追い打ちするの?! あとユウマもそこの川に身を投げ出そうとしないで、お願いだから」
嫌だもう、死にたい。
「そ、それでアリスはどうして私達を付けてきたの?」
「……さっきの話が気になったから」
「さっきの話?」
例の倭の国についての事を言っているのだろうか? 周りの話を聞くと、滅多に会える人ではないから僕がこうしてここにいるのは奇跡に近いらしい。
とは言っても、僕は本当に倭の国の人間ではないので、気になると言われてもどう答えればいいか分からない。
「ちなみにお前には答える権利はない」
「本人が話さないと説明なんてできないんだけど」
「セレナが通訳して」
「そこまでして聞きたいの?!」
「まあまあ」
すごく疲れる。主に疲れているのは僕だけなのだけど、この精神的なダメージはいつになったら消えてくれるのだろうか。
「とりあえずそこのカフェでゆっくり話しましょう。アリスもそれがいいでしょ?」
「うん」
僕とは対照的に、セレナには普通の対応をするアリス。男女差別よくない。
「ほら、ユウマも行こう」
「う、うん」
「来ないで」
「アリスもいい加減にしないと、私も怒るわよ?」
■□■□■□
僕とセレナとアリスは三人で近くの喫茶店へ。ドリンクメニューはやはり独特というべきか、どれも飲めそうな気がしないのでシンプルに水だけもらった。
「それでアリスはユウマに何か聞きたい事があるの?」
「倭の国について私は知りたい。この男に聞くのはすごく癪だけど」
「そう言われると説明したくないんだけど。それに僕にもうまく説明はできないんだ」
「役立たず」
色々アリスに言われるけど、実際説明しにくいのは事実だ。倭の国と僕の日本が同じとは言えないし、適当な説明をすると倭の国の方に失礼な気もする。
『でも倭の国は、ユウマの住む日本とほとんど変わらない国だよ。私も行ったことはないけど』
またシレナの声が聞こえる。本当どうでもいい時だけ出てくるけど暇なのかな。
『ユウマが話しかけてこないのが悪いのよ。折角私が付いているというのに』
最初の危機の時に助けてくれなかったくせに、何を言っているんだこの女神様は。
「ユウマ? どうしたの」
「あ、えっとごめん。どう話せばいいか考えてみたんだけど、やっぱり説明は……」
出来ないと言おうとしたところで、突然街中に鐘が鳴り響いた。
「何?」
「どうやらお話は後にした方がいいみたいね」
「どういう事?」
「何かがここを攻めてきた。多分魔王軍の配下」
僕の疑問に、アリスが普通に答えてくれる。
(魔王軍の配下?)
セレナから軽くか説明は受けていたけど、やっぱりそういうのは来るんだ。そしてそれを倒すのが僕達の役目という事だから、もしかして、
「もしかして今から僕達戦うの?」
「当たり前でしょ。それが私達の役目でもあるんだから」
「でもギルドに沢山人はいたんだし、わざわざ僕達が戦わなくても」
「何言ってんのユウマ、今こそユウマが目立つ最大のチャンスでしょ」
「そ、それは」
あれ、セレナにこの事話した事あったっけ?
「倭の国の人間の力、見せて」
「そんな無茶な」
「とにかく行くわよ」
こうして僕はセレナとアリスに連れられ、冒険者が集まる街の入口へと半ば強制的に向かう羽目になったのであった。
『頑張って、ユウマ』
他人事だと思ってこの女神は……。
■□■□■□
街の入口へやって来ると、多くの冒険者がすでに集まっていた。どうやらあの鐘は、言うまでもなく魔王軍の襲来を示していたようだ。
「あ、あれがうわさの魔法使いだ」
「おぉ、共に戦ってくれるのは心強い」
僕がその場に現れると、噂が早くも回っていたのか色々なところで歓声が湧く。変に期待されても僕としてはすごく困るんだけど。
「ほら、やっぱり期待されているじゃない。頑張りなさいよユウマ」
「セレナも戦ってよね」
「こんな男に期待したくない」
「ここまで連れてきておいて、その言い草はないよね?」
そんなやり取りをしているうちに、前方に数え切れないほどの兵士の数が見えた。
「え、ちょ、あれが敵?」
「勿論。だからこれだけの冒険者が集まっているし、皆ユウマに期待しているの」
僕にあの数の敵の一部を相手しろと。そんなの無茶だ。
「や、やっぱり帰ろう」
「駄目よ、ユウマ」
ですよね。
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