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影が薄いけど魔法使いやっています

りょう

第2話女騎士セレナとの出会い

 女性の騎士の方と草原を逃げ回る事数十分。ようやく熊から逃げる事に成功。

「はぁ……はぁ….…どうして逃げる必要があったの? さっきのように戦えばよかったのに」

「そ、それは訳があって……と、とにかくここまで来れば追ってはこないと思うから」

 お互い長時間走っていたせいか息切れしている中、近くの街へと向かう。これ以上あの草原にいるのは危険なのは分かったけど、まさかラスダン前の場所だとは……。

(というか魔王の城って……)

 ここもRPG的な要素が存在しているんだ。その辺りの説明をあの女神様は一切してくれなかったしなぁ。

「それよりもどうして君は、あんな危険な場所にいたの?」

「それが僕にもうまく説明しできなくて。あ、それと自分は高坂悠馬って言うんだけど、まだ名前を聞いてなかったっけ」

「タカサカユウマ? 随分と変わった名前なんだね。えっと、私はセレナって言うの。職業は見ての通りの騎士をやっているの。よろしくね」

「うん、よろしく」

 握手を交わす僕とセレナ。何だか見た感じ悪い人ではなさそうだし、僕は結構運がいいのかもしれない。

「それで、ユウマは見た所によると魔法使いみたいだけど、合ってる?」

「多分僕もそれで合っていると思う。ただ、まだここに来て一時間も経ってないから、本当なのかも分からないけど」

 頼りにするはずだった女神様も声すら聞こえてこないので、その辺りを自分で説明するのは難しい話だった。

(本当にどうしてこうなったんだろ)

「い、一時間?! それ本当? だったら益々理由が分からないんだけど」

「ごめん、僕も本当にサッパリで」

 そんな会話している内に街に到着する。その町は僕みたいな初心者が決してくるような場所ではない、いかにも上級職の方々しか来れないような場所だった。
 現に街中を歩いている人達は、いかにもな装備をしている方ばかりなのが、その証拠なのかもしれない。

「とりあえずこの周辺にユウマがいるのは危険だと思うの。まずは最初の街に向かって……」

「す、すごい、本物だ」

「ユウマ?」

 僕はそんな光景に思わず感激してしまう。今までゲームの中での世界だと思っていた全てが、今僕の目の前に広がっている。それがどれだけ衝撃的なものなのか、言葉に表せない。
 エルフや天族といった種族、更には妖精。果たしてこの世界でもそうと呼ばれているのかは分からないけど、ずっと幻想でしかなかったそれらは、全て本物として僕の目の前にある。

「そういえばさっきここに来てって言っていたけど、もしかしてユウマって」

「早速見に行こうセレナ!」

「ちょっと、無視しないで。ここはそんな楽しむような場所じゃなくて」

 そんな光景を目にしていてもたってもいられなかった僕は、セレナの言葉を無視して、街へと駆け出した。

 ■□■□■□
 十分後。

「買い物できなかった……」

「だから言ったでしょ? ここはこれから決戦へ向かう人達が集う街だから、相場もそれ相応の物だって」

 僕は無一文である事、そしてここは現時点で来る場所ではないという現実を突きつけられながら、セレナと共にトボトボと街を歩いていた。

 最果ての街 ドゥレイク

 セレナが何度も言っているように、ここは魔王の城に一番近い位置にある為、集まっている人達は皆高レベル。その為街の相場もそれに合ったものであり、たとえお金があったとしても絶対に買い物なんてできなかった。

「お金があればきっと」

「それでも足りなかったと思うな、私」

 だけど、そんな事を嘆いている暇もないくらいの問題が僕達にはは発生していた。

「それにしてもまさかお金もないなんて……。ユウマ、君は本当に何者なの?」

「その説明は、する時がくればするよ。それより問題なのはセレナもお金を持っていないって事だよね」

「し、仕方ないでしょ! さっきあの熊から逃げる時に落としちゃったんだから」

 セレナならお金は多少持っていると思っていたのだけど(装備とかあの草原にいた事とか考える限り)、先程の戦闘で落としてしまったらしい。

 そう、宿に泊まるお金すらも僕らの手元にはないのだ。

「とりあえず今日中には街を出たかったんだけど」

「徒歩で? そんなの危険だって」

「分かってる。だから私に考えがあるの」

「考え?」

 日も傾いてきたし、休める場所があるならそれは助かるけど、どうも合法な香りがしないのは気のせいだと思いたい。

 二時間後。

 外もすっかり暗くなった頃、セレナは宣言通り休める場所を確保してくれた。してくれたのはいいのだけど、

「ねえセレナ、これ法とかには触れてないよね」

「ちゃ、ちゃんと馬主の人には納得してもらえたし、変な検問にさえかからなければきっと大丈夫」

「僕ものすごく不安なんだけど」

 僕達が寝床として確保したのは今夜この街を出発の馬車の荷台の中。セレナは先程馬主の方に説明して、何とか納得はしてくれたらしい。ただしお金は払えないので、こうして荷物と一緒に揺られている。
 一応二人で寝れるくらいのスペースはわざわざ用意していただいたのだけど、それでも広さはたかが知れているので、

「あ、あの、これって」

「スペースがないから我慢して。わ、私だってこういうの慣れていないんだから」

 僕とセレナはほぼ密着状態になった。まさか最初からこんなドキドキイベントに遭遇するなんて男の自分としてはすごく嬉しい。

「へ、変な気を少しでも起こしたら馬車から降ろすからね」

「そ、そんな無茶な。僕だって男なんだし」

「分かった?」

「はい……」

 まあセレナにものすごく威圧されてしまった為、それ以上の事は起きなさそうだけど。

(なんか今から出荷される気分だな)

 こんな時は歌でも歌いたくなる気分だ。

「ドナドナ〜」

「なにその歌?」

 荷馬車が揺れる〜。

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