桃太郎になっちゃた?

青キング

犬川からの難問

 俺達は白い服の男性達に食料を渡された。
 「これで一日過ごせと?」
 太平洋戦争末期の日本国民を連想させるほどの少なさにも耐えるしかなかった。
 住民の阿鼻叫喚も落ち着いてきた。
 それでもまだ混乱している人はいるのだ。
 「みんな寝れないわね」
 住民の心情を犬川は代弁したかのようだった。
 「猿吉はよく寝れるわよね」
 俺たちの近くで熟睡中の猿吉は空気という単語を知らないのだろうか?
 「キジミエルがずっと泣いてた」
 行動範囲ないの隅で小一時間はうずくまっている。声をかけるのも失礼だろう。
 渡されたつぶらなパンを口に頬張る。
 「一口で完食ね」
 俺の食べている所をマジマジと見つめる。
 「欲しい私の分」
 俺は頷き、片手を差し出す。
 「あげるなんて一言もいってませんよー」
 犬川が白い歯大胆に見せる。このやろー!
 「でも食べたいなら条件がある」
 「条件?」
 「着いてきて」
 犬川は木と木の間を進んでいく。俺もあとに続く。
 少し歩くと光が目に入ってくる。
 道が開け、そこには小さな湖がポツリと。
の周りは木々に囲まれており、生き物の気配もない。
 犬川は湖を目の前にして、ほとりに座り込む。
 「隣・・・・・・来て」
 いつもより犬川に緊張がうかがえる。
 俺は隣に座り湖を眺める。
 きれいだ。なんの汚れもなく純真な湖だ。俺の心も優しくなりそうだ。
 風が吹いてくる。それにともない、木々の梢が揺れて湖に穏やかな波を打たせる。
 犬川は何も話しかけてこない。
俺は犬川に視線を移す。
 それに気付いたのか犬川も俺を真っ直ぐに見つめ返してくる。やっぱり可愛いな。
 「どうかしたの?」
 「なぜここに連れてきたのかわからなくて」
 「鈍感だな志乃は」
 犬川は一つ溜め息。
 「私が志乃の事をどう思ってるか知ってる?」
 「何、仲間?」
 ぷっと笑いを堪えられず吹き出した犬川に俺は理由を尋ねる。
 「例えば近くに少女が居ます」
 唐突に例えばなしを始める犬川に俺は首を傾げる。
 「あなたがその少女から離れるとしつこく着いてきましたそこであなたは何でと聞きました。さて少女はなんと答えたでしょう」
 駄目ださっぱと解けない。
 「答えはなんだよ」
 「教えません」
 「はぁ?」
 そのあと俺が何回聞いても犬川は答えを教えてはくれなかった。
 「私寝るから。しつこく着いてくるくらいなら一緒に寝ちゃう?」
 「なんでそうなるんだよ」
 最後に不敵な笑みを浮かべて犬川は自分の寝床に向かった。
 俺も自分の床についたが、答えが気になって安眠することができなかった。
 結局、なんだったのだろうか?

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